【ライヴレポート】「私たちはこのメンバーでもう一度、東京ドームを目指します!」日向坂46「Happy Train Tour 2023」追加公演

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【ライヴレポート】「私たちはこのメンバーでもう一度、東京ドームを目指します!」日向坂46「Happy Train Tour 2023」追加公演

日向坂46はまだまだ高く飛べる。そう確信したライヴだった。会場全体を包みこんでいハッピーオーラのなかに込められた、確かな意志。それは、彼女たちが前を向いて進むという覚悟と決意だった。

このレポートは12月9、10日の2日間に渡って神奈川県のKアリーナ横浜で開催された、日向坂46のアリーナツアー「Happy Train Tour 2023」の追加公演。その最終日となった10日の公演の記録である。

先日、「第74回NHK紅白歌合戦」への落選が発表され、さらには4期生の岸帆夏の活動辞退が伝えられた日向坂46。「日向坂46はこれからどうなっていくのだろう」。不安な気持ちを抱えていたおひさま(日向坂46ファンの総称)も少なくなかったのはないだろうか。しかし、そんな気持ちはライヴを見ているうちになくなっていったのである。

【ライヴレポート】「私たちはこのメンバーでもう一度、東京ドームを目指します!」日向坂46「Happy Train Tour 2023」追加公演

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開演前、キャプテンの佐々木久美と、4期生の藤嶌果歩の2名による影ナレが会場を温めると、軽快なエレクトロスイング調のSEが流れ出す。定刻を迎え、“overture”がライヴのはじまりを告げると、客席のペンライトが一斉に空色に輝きだした。ツアータイトルにちなんだ列車のセットからメンバーが登場し、まずはダンス・トラックで会場を熱気の渦に包み込みこむ。そこからセットリストの1曲目は、佐々木久美がセンターを務める“君は0から1になれ”。グループの柱である佐々木の、力強いパワーが楽曲全体を引っ張っていく。次にパフォーマンスされたのは、“月と星が踊るMidnight”。センターを務める齊藤京子は、もともとグループのなかでも歌やダンスのスキルが高いメンバーだが、ドラマやバラエティーを通して、表現力がさらに増しており、「誰に何言われても 僕たちはまだまだ諦めない」と歌う彼女の歌声には迫力が感じられた。メンバーはそこから光のアーチに彩られた、横長の花道に移動し、“川は流れる”を披露。小坂菜緒を中心に、横一列の揃った行進で客席を魅了した。

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3曲目までノンストップに駆け抜けると、MCに入る。8月からスタートしたこのツアーもこの日が最後であり、今年最後のワンマンライヴということで、メンバーも気合い十分。松田好花が「アリーナ!ロアー!ミドル!アッパー」というKアリーナ横浜の座席ならではの呼び方でコール&レスポンスを行うと、客席からはメンバーの気合いに呼応するように大きな歓声が返ってきた。個人的な体感では、ステージから一番遠いはずのアッパー席の声が、いちばん気合いが入っているように聴こえた。

コール&レスポンスでさらにボルテージが上がったライヴは、次のブロックへ。日向坂のファースト・シングル“キュン”、セカンド・シングル“ドレミソラシド”を2曲連続で熱唱。彼女たちの持ち味である、青春のさわやかさと輝きを存分に見せつけていた。

ライヴという名の列車は、3期生、4期生の駅へと進む。まずは、3期生の上村ひなの、髙橋未来虹、森本茉莉、山口陽世の4人が“ゴーフルと君”を元気いっぱいにパフォーマンス。今年は4期生の加入によって、先輩としての立場を経験することになった彼女たちだが、まだまだフレッシュな賑やさで会場を盛り上げる。続いて現れた4期生は“シーラカンス”を披露。4期生だけで挑んだ〈新参者〉公演で生み出した「一体感」は、このKアリーナ横浜という会場においても感じられた。

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ライヴはさらに進み、1~3期生で“恋は逃げ足が早い”、“ガラス窓が汚れてる”、“こんなに好きになっちゃっていいの?”の3曲を立て続けに。日向坂46は表情で感情を伝える表現が本当に素敵なグループだと思う。時にキュートに、時にシリアスに、時に切なく、楽曲の世界を表現していく。その技術の高さも彼女たちの魅力のひとつだと感じた。また、この日のライヴですごかったのは、光の演出である。会場を照らす無数の照明装置や、ネオンライトのようなスクリーン映像、ステージ横の星空のような光がどれも煌びやかに輝いていて、メンバーの持つ輝きに彩りを加えていた。

1~3期生がステージを後にすると、今後は4期生の平尾帆夏がひとりで現れ、「ひらほーラジオ」のコーナーへ。このコーナーは平尾がひとりでリスナーに扮したメンバーからのお便りを読みながら、トークを行うというもの。これが抜群におもしろい。平尾の喋りには、Kアリーナに集まった約2万人のおひさまを前にしても、ひとりで盛り上げ続ける安定感があった。これはある種の才能だと思う。バラエティーには定評のある、日向坂46だが4期生のメンバーがここからどんどん見つかっていくポテンシャルを十分に感じた。

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ライブはさらに平尾の「ここからは険しい山道へと入ります」という言葉の合図で、4期生全員での“ロッククライミング”へ。スクリーンに映し出された青空のもと、元気な姿を魅せていた。そして、次に披露された楽曲は、日向坂46の前身グループのひらがなけやき時代にリリースされた楽曲“期待していない自分”。「私たちにもこの曲にかける想いがあります」という言葉がスクリーンに映し出されると、ひらがなけやき時代の白い衣装に身を包んだ1~3期生が登場。楽曲の後半には、四期生も加わり、日向坂46全員で、全力でパフォーマンス。ステージを駆け抜けた佐々木美玲の姿には、これまでの歴史を踏まえた上で「これが、いまの日向坂だ」という熱い魂を感じさせた。

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ライヴは後半戦。日向坂46きってのブチ上げディスコ・チューン“キツネ”のイントロが流れ出すと、Kアリーナが巨大なダンスフロアに変貌。続く“One choice”では、腰の治療のため休養中の丹生明里に代わって、4期生の正源司陽子が堂々とセンターを務めた。続いての“見たことのない魔物”では、再び登場した4期生が花道をフルパワーで走り回り、そのエネルギーを爆発させていた。

次に歌われたのは、メンバーにとって大切な楽曲“青春の馬”。どんなことがあっても前向きに走っていく覚悟がそこにあった。会場が大きな感動に包まれると、今度はライヴを一層盛り上げる楽曲“My fans”“NO WAR in the future 2020”を披露。途中の期別のダンスパートでは、会場中から大きな歓声が上がった。

【ライヴレポート】「私たちはこのメンバーでもう一度、東京ドームを目指します!」日向坂46「Happy Train Tour 2023」追加公演

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ここからは最終ブロック。「メリークリスマス!」という文字がスクリーンに現れると、白を基調にしたクリスマス仕様のコートを着たメンバーが登場。甘酸っぱいラブソング“ホントの時間”、そして、アイドル感全開の“アザトカワイイ”でキュートな日向坂46を全力でアピール。曲中、花道に移動して、全員で客席に向かってサインボールを投げる姿も見られたのだが、野球企画にも貪欲な彼女たちなだけあり、遠くまでボールを飛ばすこともできるメンバーも。今後のスポーツ企画にも大きな期待が持てる1シーンだった。本編ラストは最新シングル表題曲“Am I ready?”。センターの上村ひなのが気球に乗りこみ、空高く客席を浮遊。かなり高い高度まで到達していたように感られたのだが、全く動じることのない上村のプロ根性に感動させられた。

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まるで轟音のような「日向坂46」コールに導かれ、アンコールは“HEY!OHISAMA!”でスタート。メンバー全員で、おひさまたちとのコミュニケーションを楽しむ姿がそこにあった。それは日向坂46がずっと大事にしてきたハッピーオーラの空気そのものであり、こんな時間がいつまでも続いてほしいと思った。

その後のMCでは、来年4月6、7日に横浜スタジアムで開催されるワンマンライヴ「5回目のひな誕祭」の告知を挟み、キャプテンの佐々木久美がマイクを握った。佐々木は、今年2023年を振り返り「私たちメンバーに迷いがあるようなときがあったり、おひさまにもちょっと不安な気持ちにさせてしまったり、そんな瞬間があった」と語る。彼女はさらに、次の言葉を紡ぎ出した。

「今年すごく楽しかったし、でもやっぱりもっともっとできることはあるんじゃないかってみんなで模索して、みんなで話し合って、ある目標を決めました。私たちはこのメンバーでもう一度、東京ドームを目指します!」

この宣言に、会場からは大きな大きな歓声があがった。この言葉をおひさまを前に伝えることは、勇気のある決断だったと思う。しかしグループの置かれている状況を真摯に受け止め、目標を決めてファンと共に走っていくのは、すごく素晴らしいことだと感じた。

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佐々木の宣言に、会場のボルテージが最高潮まであがると、そのまま「誰よりも高く跳べ!2020」をパフォーマンス。これから再び高く飛ぶための宣言のような楽曲に、おひさまたちも高く飛び上がっていた。続いてライブは客席全体にペンライトで作られた「虹」がかかり、“JOYFUL LOVE”へ。光の演出が素晴らしかったのは、前述の通りだが、この日いちばん温かで優しい光を放っていたのは、この美しく輝くペンライトの光だったことは言うまでもない。

こうして、大団円で幕を閉じた…かのように思えたのだが、日向坂コールが鳴り止まない。そしてはじまったWアンコール。「あと1曲歌っていない曲がありますよねー?」という佐々木の言葉のあとで、披露されたのは彼女たちが東京ドームでのライヴを夢見て歌ってきた楽曲”約束の卵”だった。再び東京ドームという場所を目指す、その想いに導かれるように会場中に大合唱が響き渡っていた。

アンコール明けのMCのなかで、佐々木は「4期生の公演〈新参者〉を観て、こういう気持ちでみんなで上を目指さなきゃいけないなって、4期生のお陰でもう一度、ひとつになれた気がします」と語っていた。確かにこの日のライヴには、4期生が〈新参者〉公演で掲げたスローガンでもある「一体感」が随所に感じられた。この日のセットリストにおいて、“期待していない自分”、“青春の馬”といったグループにとってのターニングポイントとなった楽曲を先輩メンバーがパフォーマンスしたのは、その一体感をもう一度生み出そうという気持ちの表れだったのだと想像できる。

日向坂46は、アイドルらしいキュートさや爽やかさが持ち味のグループである。しかし、彼女たちの魅力はそれだけではない。彼女たちの歴史を紐解けば、これまでひらがなけやき時代から、泥臭く努力をして、「イマニミテイロ」と這い上がってきたグループでもあるのだ。「もう一度、東京ドームに立つ」という夢を掲げ、再び走り出した彼女たち。「約束の卵」は産み落とされたばかり。この卵が孵り、日向坂46というグループが不死鳥のごとく、誰よりも高く飛ぶことを願っている。

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取材&文 : 西田健
写真 : 上山陽介

フォトギャラリー

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日向坂46 「Happy Train Tour 2023」《追加公演》セットリスト

12月10日(日) at Kアリーナ横浜

M1 君は0から1になれ
M2 月と星が踊るMidnight
M3 川は流れる
M4 キュン
M5 ドレミソラシド
M6 ゴーフルと君
M7 シーラカンス
M8 恋は逃げ足が早い
M9 ガラス窓が汚れてる
M10 こんなに好きになっちゃっていいの?
M11 ロッククライミング
M12 期待していない自分
M13 キツネ
M14 One choice
M15 見たことない魔物
M16 青春の馬
M17 My fans
M18 NO WAR in the future 2020
M19 ホントの時間
M20 アザトカワイイ
M21 Am I ready?
EN1 HEY!OHISAMA!
EN2 誰よりも高く跳べ!2020
EN3 JOYFUL LOVE
W-EN 約束の卵2020

ライヴ情報

■日向坂46「5回目のひな誕祭」
2024年4月6日(土)、7日(日)
横浜スタジアム

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