イスラエルのスタートアップ、世界都市の3Dモデル作成ツールを軍・救助隊に無償提供。地域社会の再建を支援

イスラエルのスタートアップ企業であるSimplex 3Dは2023年10月7日にハマスが南イスラエルを攻撃して以来、イスラエルの安全保障部隊や救急隊などに、都市部の詳細な3Dモデルを生成するプラットフォームを無償で提供していることを公表した。

地図上にある建物を立体的に表示させるサービスを展開

Simplex 3Dは、軽飛行機に取り付けた専用の撮影システムを使用して、都市部の鮮明な3Dモデルを作成している企業である。

同社独自の撮影システムは、上空からエリア全体を非常に高解像度の画像を収集できる技術であり、画像は3cm単位の粒度まで認識することができるとのこと。そのため取り扱うデータ量はテラバイト規模になるという。

創業者兼CEOのAvi Aflalo氏は、ヘブライ大学で経営学を学び、MBAを取得している。学業を終えた後、Avi Aflalo氏は航空地図作成会社Icarosに入社し、4年間ビジネスマネージャーとして勤務。この期間中には、CTOやR&Dマネージャー、そしてIcarosの創業者との出会いもあり、その出会いがSimplex 3Dの設立につながったという。

2013年、Avi Aflalo氏は手頃な価格で効率的なカメラシステムの開発を通じて航空マッピングに革命を起こすことを目指し、Simplex 3Dを共同設立した。

イスラエルの警察、軍、救助隊などに無償提供

現在、Simplex 3Dではロケット弾攻撃により多くの家が焼失、破壊された地域社会の再建を支援するために、地図サービスをイスラエルの警察、軍、救助隊などに提供している。高解像度の3D技術は、10月7日のテロリストの猛攻撃から人々を救出する取り組みにも役立ったという。

また同社では、各コミュニティの警備員がGPS経由でメンバーの動きをリアルタイムで追跡できるようにする新しいツールの開発も計画しており、救助者に現在地を即座に知らせる「非常ボタン」機能も組み込む予定だ。

世界中の100以上の自治体と協力、3Dデータ活用を推進

同社は合計で世界中の100以上の自治体と協力しており、都市計画、一般大衆とのデータ共有、さらには建築違反の監視にもモデルを使用している。近年は建築家、プランナー、デベロッパー、鑑定士、仲介業者といった民間団体への活用も進んでいるという。

日本含む世界の主要都市と協力してエリア拡大を目指す

現在、Simplex 3D はニューヨークを含む世界最大の大都市のモデルをマッピングしているが、今後はイタリア、ポルトガル、日本の主要都市の地方自治体とも協力して世界的に拡大する計画があるようだ。

(文・よし @yoshibizcom

「Simplex 3D」公式HP

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