Switch『スーパーマリオRPG』レビュー:チェインの連鎖で脳汁ドバドバ、ただの名作リメイクにとどまらない超病みつきRPG

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1996年3月にSFC向けソフトとして発売されたゲーム『スーパーマリオRPG』が、2023年11月にNintendo Switch向けソフトとしてフルリメイクされ新たに登場した。実に27年もの月日を経たリメイクに驚いた方も多かっただろうが、私のように正直不安を感じたファンも多かっただろう。

先に言っておこう。その不安はまったくの杞憂であったと。

アップデートされたバトルシステム

私も夢中で遊んだ当時はまだ小学生。今やいいオッサンとなって楽しめるのだろうかと、正直なところ不安もあったのだ。少なくとも今年の3月、Wii Uのニンテンドーeショップ終了間際に慌てて買ったバーチャルコンソール版は、買った直後に「懐かしいなぁ」とプレイを始めつつも、マロと出会ったばかりのあたりで「明日も仕事だから寝るか」と終え、そのまま続きをやる気も起きず「積みゲー」と化してしまった。

だが今回、陰影のあるドット絵で見せる疑似的な手法ではなく、ちゃんとした3Dの美しい映像で蘇ったSwitchの『スーパーマリオRPG』からは、やはり「本当は当時からこういう映像を見せたかった」という思いを感じることができたし、バトルシステムも令和の時代に合わせて格段に遊びやすくなっていた。

特に、バトルのアクションコマンドの連続成功で発生する「チェイン」。これを繋げれば繋げるほどステータスが上がっていくので、物理攻撃の弱いマロだって敵に大ダメージを与えられるようになるし、敵の攻撃だってほとんど効かなくなる。これを実際に体験してみると、遊んでいる側も脳内麻薬がドバドバだ。「ランナーズ・ハイ」ならぬ「ゲーマーズ・ハイ」、一種の中毒状態となる。

またアクションコマンドもパーフェクトなタイミングで成功させれば、通常攻撃が全体攻撃になるという爽快感もたまらない。

もちろん、アクションコマンドだってそう易々と成功するばかりではない。チェインがだいぶ続いている状況で失敗すると、ステータスUP効果が切れて攻撃も途端にヘナチョコになるし、敵からのダメージも想定以上となって焦ることもある。だがこのサイクルが、バトルをよりスリリングなものに変えてくれているように感じた。

また、アクションコマンドを成功させることで溜まっていくアクションゲージについては、失敗しても減ることはないので安心だ。アクションゲージが100%まで貯まることで、仲間が2人以下の時には「おたすけキノピオ」を呼ぶことができるし、3人のときには「3人わざ」を使えるようになる。例えばマリオ・マロ・クッパを編成しているときの「ビリひやファイアビッグボム」は火・氷・雷の3属性で全体攻撃できるため、イヤらしい敵が大勢出てきた際にも瞬時に一掃できて気持ちが良い。

新たなやり込み要素も

他にも新要素として、「モンスターリスト」なるものが登場したのも面白い。これはモンスターと戦うことで自動的に埋まっていくものだが、単に戦っただけでは「効果のある異常」や「なにかんがえてるの」が伏せられたままだ。完全に開放するにはマロをパーティに入れ、「なにかんがえてるの」を使ってアクションコマンドを成功させる必要があるので、こちらも新たなやり込み要素となっている。

SFC版を遊んでいた当時なんて、ザコ敵の一匹一匹にまで大して注目することはなかった。当時は「『ドンキーコング』っぽいやつがいるけど、微妙に違うな。『ドソキーコング』?」と曖昧に記憶していたが、リメイク作で見ると『ドソキーユング』という名前で衝撃だった。『コング』ですらなかったとは。

当時の感動を再び味わえるストーリー演出

まだまだ魅力は語りつくせないが、最後に。所々にアニメーションが追加されてパワーアップしながら、SFC版からまったく違和感のなく再現された温かみあふれるストーリーについても言及しておきたい。

やはり他のリメイク作品だと、いきなりキャラクターがフルボイスになっていたり、やたらとアニメシーンが挿入さ過ぎてテンポが悪くなっていたりということだってある。だが今作は、あえてボイスも入れず、アニメーションも多くし過ぎないことが功を奏したように思える。

中でも個人的に特にグッときたのは、ゲーム後半のマロと両親の再会シーンだ。ネタバレになるので説明が難しいところだが、ここもあえて過剰な演出は施さず、SFC版とほぼ変わらないものにしていたのが逆に涙を誘った。これこそ、当時からのファンの思い出も大事にしながら丁寧に作り込んでいったゆえの演出だと思える。

今作は27年前のSFC版を遊んだことがない人にはもちろんお勧めできるし、「当時は遊んだけど、また楽しめるかな」と不安に思っている私のような大人にこそぜひ遊んでいただきたい作品となっている。「そうだそうだ、こんなセリフあったな」や、「あれ、こんな敵キャラいたっけ」など当時の思い出と照らし合わせながら、じっくりプレイしていただきたい。

文/平原学

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