倉 悠貴&品川ヒロシ監督インタビュー「映画『OUT』は思い入れのある作品に」「口に出すか出さないかでヤンキーも俺たちも似たところはある」

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2009年の大ヒット作『ドロップ』の監督・脚本を務めた品川ヒロシさんの最新作、『OUT』が公開になります。累計発行部数670万部を突破する同名ヤンキー漫画の実写映画化で、“狛江の狂犬”と恐れられた伝説の超不良・井口達也役を、若手実力派の倉 悠貴さんが熱演します。

これまでのケンカ一筋の井口達也像とは異なり、暴走族の抗争を背景にしつつも新しい仲間・家族との出会い、守るべきものができた達也の進む道、壮絶な更生生活を描く映画『OUT』。おふたりにお話を聞きました。

■公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/out-movie/ [リンク]

●本作は、品川ヒロシ監督の中学からの友人・井口達也の青年時代を詰め込んだ実録物語をベースにした実写映画ですが、その井口達也役に決まった時はいかがでしたか?

倉:僕はヤンキー、ケンカ、不良に縁がなかった人生だったので、まさかこういう役が自分に来るとは、という感じでした。でも、撮影は夏じゃなかったけれど、まるでひと夏の青春のような素敵な時間でした。

●井口達也役を今回演じることになった倉さんにはどのようなことを期待しましたか?

品川: 井口達也って3人目なんですよね。最初は水嶋ヒロくん、次が板垣瑞生くん、今回が倉です。今までの井口達也って腹が立てばすぐ殴るタイプだったのですが、今回は我慢したり、人の痛みを覚えていくという意味で、いままでの性格とはちょっと違うんですよ。そのセンシティブな部分が倉版の良さというか、今までの達也とは違う魅力で演じてくれました。もう、最初から雰囲気出して入って来たんですよ(笑)。インディーズの主役とかいっぱいやってるから、倉には雰囲気があるんですよね。

●期待は大きかったと思いますが、演じてみていかがでしたか?

倉:あの時に出来る自分の達也は出し切りましたし、そこに関しての自信もあるのですが、続編などがあれば、もっと準備して臨みたいなとは思っています。達也というキャラクターに愛着も湧くのですが、ヤンキーは自分たちと近しい存在なのかなと。たいして変わらなくて、ケンカというある種のスポーツが好きな青少年の集まりみたいにも思えていて、もはやとても愛らしいなという感じにもなりました。思い入れも愛もあります。

品川:ヤンキー自体は悪い事ではありますが、倉みたいな役者、JO1だとアーティストで与田ちゃんだとアイドルなわけで、やっぱりみんな戦っているじゃないですか。仲はいいけれど、こいつに負けたくない、俺のほうが芝居が上手いという想いは、そのまま当てはまると思う。それを言わずにみんな大人だから生きているけれど、それをバカみたいに「俺のほうが強い」と言っているだけなんですよね。ヤンキーって。そういう意味で考えれば、誰だって隣にいる奴に負けたくないってあるでしょ?って。それは実は、みんなに言ったことではありますね。

倉:本当にそう思います。

品川:だからこそ友情が芽生えたりすると思うんですよね。それは俳優の場合は、ケンカの代わりにお芝居だったりするわけですよ。自分のアクションシーンが一番すごいと思うのが普通なんで。

●おふたりは普段異なるフィールドで活躍されているわけですが、今回がっつり組まれて、それまでの印象は変わりましたか?

倉:僕はテレビで観ていた人というイメージでしたが、印象が変わったことと言えば、誰に対してもフラットでいる方なんです。なんというか外国の人の文化に近いというか、ハリウッドで新作を撮ると聞いた時に腑に落ちた感じはあります。あとは失礼なのかも知れませんが、現場ではめちゃくちゃ監督でした(笑)!

品川:倉はアート系作品の出演も多いし、モデルをやったりミュージックビデオにも出ているから、気取った奴じゃないけれど、そういう感じなのかなと思っていたのが、全然違って。甥っ子みたいな感じですかね。これに出ている中でも一番子どもっぽいというか、自分の子ども感が強い(笑)。何か嫌なことあったらウチおいでみたいな感じですかね。

●もはや肉親のような(笑)。

品川:あとはネガティブが映らない良さもあるんですよ。ネガティブな人って薄暗いじゃないですか。でも、倉が落ち込んでいると笑っちゃう。「また落ち込んでんの?」という、人を暗くさせないネガティブさがある。これはマイナスな意味じゃなくて、それがお芝居の慎重さにつながっているんです。ちゃんとセリフ覚えよう、みたいにいい方向にいっていると思いました。だから、ネガティブ止めろよとは言わなかったです。

●改めて今回の映画『OUT』、その魅力は何でしょうか?

倉:品川監督の独特の視点がありますよね。芸人さんを長年やられているということもあり、面白いことを完ぺきに理解されていて、現場ではこだわりがいっぱいでした。普通のアクション監督なら言わないようなことでも細かく丁寧にやるんです。だから、アクションが好きな方にも刺さるし、ヤンキーのリアルを知っているからリアリティーもあります。

品川:僕は、出汁で勝負、薄味で勝負という感じではないんですよね。化学調味料も全部入れて、鳥も牛も豚も全部入れて作るのが好きなんです。それで統一感を出すことをいつも目指しています。ポップコーンムービーという言葉のように、ポップコーンでも気軽に食べながら、面白いと言ってくれるのが一番うれしいです。

■ストーリー

暴走族「東京狛江愚連隊」特攻隊長として暴れまくり、かつては「狛江の狂犬」と恐れられた伝説の超不良・井口達也(倉 悠貴)が少年院から出所した。達也は、地元から遠く離れた西千葉の叔父叔母に引き取られ、更生を目標に焼肉店「三塁」で働きながらの生活を始める。勿論、次喧嘩をすれば即アウトだ。

が!?出所初日に、リーゼントの巨漢、暴走族「斬人」副総長の安倍 要(⽔上恒司)と出会ってしまい…。
この出会いから達也の壮絶な更生生活が始まってゆく──。

総長・丹沢敦司(醍醐虎汰朗)率いる暴走族「斬人」と「爆羅漢」の抗争、そして新しい家族・仲間との出会い、守るべきものができた達也の進む道は…。

倉 悠貴、醍醐虎汰朗、与田祐希(乃木坂46)、水上恒司、與那城 奨(JO1)、大平祥生(JO1)、金城碧海(JO1)

原作:井口達也/みずたまこと『OUT』(秋田書店「ヤングチャンピオン・コミックス」刊)
監督・脚本:品川ヒロシ
主題歌:JO1「HIDEOUT」(LAPONE Entertainment)
Ⓒ2023『OUT』製作委員会
11月17日(金)全国劇場公開

(執筆者: ときたたかし)

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