映画『ダウンタウン・ユートピア』吉本実憂インタビュー 「アクション作品なの?とたくさんの方に言われました(笑)」
その豊かな演技力が高く評価されている吉本実憂さんが、大塚祐吉監督・脚本の『ダウンタウン・ユートピア』で主演を務めました。全編モノクローム、異世界漂うスタイリッシュな世界観で描く人間賛歌の物語です。
吉本さん演じる主人公のナオミは、逃げ出したい日々を送る女性。ある時、粋狂な人達が暮らす場所に紛れ込み、いつしか自分らしく過ごせる居場所としてほんの一歩、前進する物語。吉本さんにお話を聞きました。
■公式サイト:https://downtownutopia.com/ [リンク]
●本作の監督・脚本の大塚祐吉さんとは以前にもご一緒されていますね。
今回で4度目になります。またご一緒出来るとうれしく思いました。お話の内容がとても大塚監督らしいと言いますか、最初は大塚監督の世界観が爆発しているなという印象でした。モノクロで撮ると聞いて、その世界観がどういう感じになるのだろうと思いましたが、題材的にブラックユーモアが解放されている作品なので、作品に合うだろうなと思いました。
●脚本の文字の段階と映像になった段階では、イメージが違いましたか?
違いました。思っていた以上にコメディー要素が強いなって思いました。クスッと笑えるんですよね。ナオミは家出している役柄で、母親との対立もあるため、ゲームをする時も怖い顔をして演じるのかなと思っていたのですが、本当に楽しくゲームをするので、ゲラゲラ笑いながら演じていました。全体を観るとたくさん笑える要素があったので、面白いなと思いました。
●そもそもポスターが、鼻につめものをしているビジュアルですよね。
そうなんですよ(笑)。これはいろいろな方に言われました。「アクション作品なの?」とか(笑)。でも、そうじゃなくて、ブラックコメディー満載の人間模様を映し出している作品なんです。海外の映画ではよく観ると思いますが、なかなかこういう作品は日本映画では見ないような気がするので、新しい風を吹かせたらいいなと思いました。
●大塚監督は、どういう意図をこの作品に込めていると思いましたか?
監督が脚本も書かれているのですが、家出した少女がひとりで喫茶店に入るところから物語が始まっていて、大切なことは血のつながりだけじゃないという部分を表していたりもするのかなと思いました。彼女の実の母が喫茶店に乗り込み帰って来なさいと、とてもバチバチしていたところが、血のつながりだけじゃないのだなということを表していると思うんです。
わたしの演じる主人公は母との居場所よりも、喫茶店の居場所のほうが心地がいいんですよね。それはひとつのメッセージとしてあるのかなとは思いました。実は主人公の性格も大塚監督に似ているんです。
●主人公に想いを託しているところもあるのでしょうか。
大塚監督はブラックユーモアあふれる性格なので、実はふざけて顔をしかめるこの顔もよくするんです(笑)。ふざけてするんです。17歳から出会っていて、そういうところをよく見ていたので、ナオミは大塚監督にしようと自分で決めた時からは改めて大塚監督を観察して役作りをしました。
●どういう方なのですか?
自分は自分、人は人という世界観を持ちつつ、人に偏見を持たない。人間としてちゃんと関わっていく、言ってみればクリーンな真っ直ぐさを持っている人なのではないかなと思います。
●また、ナオミに共感できる似たような環境の方は、大袈裟に言うと、この映画に救われることもあるかも知れないですよね。
映画は学びがたくさんあるものだとわたしは思います。この映画も、そういう風な作品のひとつになればいいなと思っています。そこに映画の意味をとても感じます。
●今日はありがとうございました。ファンの方たちへ一言お願いします。
これはブラックコメディーということで、みなさんのストレス発散の映画になればいいなということと、映画好きのみなさんには、モノクロだったりするので、最近はなかなかないタイプかなとも思います。そういうところも芸術として楽しんでいただけると思うので、ぜひ来てください。
■ストーリー
自傷癖のある岸ナオミ(24)は、支配欲が異常に強い母親の元で育ち、深く病んでいた。 ナオミは、母親との関係が耐えきれなくなり実家から逃亡する。 母親の目が届かない下町へと向かったナオミは、昔ながらの喫茶店に入り、そこで無銭飲食をして捕 まってしまう。
しかし喫茶店の店長からは、何のお咎めも無く、住む場所まで紹介される事になる。 無銭飲食をしたその日から、下町のシェアハウスで生活を始めたナオミは、それまでの人生で出会っ た事の無いタイプのユニークな人々と触れ合う事によって本来の自分を徐々に取り戻してゆく。
撮影=塚本桃
池袋HUMAXシネマズほか全国順次公開
(C)ZOO PRODUCTION
ヘアメイク:Emi Ojima
スタイリスト:YUUKA YOSHIKAWA
(執筆者: ときたたかし)
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