「椰子の実」と「ココナッツ」は別物?それとも同じ果実を指すの?

「椰子の実」と「ココナッツ」は原則同じものを言います。
しかし、微妙に指すものが違うので注意しておきたいです。

今回はそんな曖昧な「椰子の実」と「ココナッツ」について、どのようなものなのかをわかりやすく解説します。
併せて両者の相違点も説明するので、ぜひ参考にしてみてください。

「ココナッツ」とは

まずは「ココナッツ」について見ていきましょう。

ココナッツが実る「ココヤシ」

「ココナッツ」は「ココヤシ」という植物に実る果実を言います。

「ココヤシ」はヤシ科に分類される高木の一種です。
ヤシ科には複数の種類があるものの最も知られるのが「ココヤシ」となります。

利用価値という観点から見ても「ココヤシ」は一番メジャーなヤシ科の植物と言えるのではないでしょうか。
当然、その果実である「ココナッツ」も世界的に流通しています。

食材としてだけでなく多方面で利用価値があるもの、それが「ココヤシ」と「ココナッツ」なのです。

「ココナッツ」の原生地

「ココナッツ」は世界中の熱帯地域で栽培されています。
特にポリネシアから熱帯アジアが原産地とされています。

現地には大きいもので約30mにまで成長する個体もあるとか。
なお、幹はまっすぐ伸びずやや斜めに伸びるのが特徴です。

果実はその葉の根本部分に実るのが特徴となっています。
その果実は海水でよく浮かぶことが知られています。
そのため、遠距離への種子の散布が可能なのだとか。

その影響もあってか現在では世界中で栽培されています。

「ココナッツ」の名前の由来

「ココナッツ」という名前は猿に関係しているそうです。

「ココ」は「猿」という意味のスペイン語・ポルトガル語から来ているのだとか。
「ナッツ」はそのまま種実類に実る果実を意味する言葉から来ているようです。

それは15世紀~16世紀のこと、スペイン・ポルトガルの商人がインドで初めて「ココナッツ」を見たのだとか。
その際、殻が笑った猿の顔のように見えたそうです。

そこから「ココナッツ」と呼ばれるようになったとされています。

ちなみに「ココナッツ」から来た名前を持つ動物もいます。
それが「ヤシガニ」と呼ばれる動物です。

かつて「ヤシガニ」は木に登って「ココナッツ」を取る生き物だと考えられていました。
そこから「ヤシ+カニ」で「ヤシガニ」と呼ばれるようになったとか。

「椰子の実」とは

ここからは「椰子の実」について見ていきましょう。

ココナッツ=椰子の実

「ココナッツ」は「ココヤシ」に実る果実のことを言います。
「ココヤシ」の「ヤシ」は「椰子の木」のことを意味します。

その「椰子の木」に実る果実を「椰子の実」と呼ぶわけです。
つまり「ココナッツ=椰子の実」と言って差し支えありません。

ただし、厳密には相違点もあるので注意したいです。

椰子の実がココナッツを指していないこともある

基本的に「ココナッツ」は「椰子の実」を意味します。
ただ、場合によっては「ココナッツ」を指さないこともあります。

日本では「ココナッツ」の名称が一般的で、その流通も「ココナッツ」がほとんどです。
そのため「椰子の実」が「ココナッツ」として出回っているケースもあります。

しかし「椰子の実」は「ココナッツ」などヤシ科植物の果実全般を指します。

そのため、厳密に両者が意味するものは違ってくるのです。

そもそもヤシ科植物が誕生したのは1憶年以上前の白亜紀です。
現在その種類は約3,000種を超えており「ココナッツ」もその1つとされています。

つまり、カテゴリーとしては「椰子の実」の中に「ココナッツ」があるイメージとなります。

なお、日本では収穫される前の熟していない緑色の果実を「椰子の実」、茶色く熟したものや加工したものを「ココナッツ」と呼び分ける傾向にあるので併せて覚えておきましょう。

「ココナッツ」の食用部分はこう活用される

最後に「ココナッツ」がどのように食されるのかをまとめます。

ココナッツミルク

「ココナッツミルク」は「ココナッツ」から形成される甘い乳状の食材です。

成熟した種子の内側に層状に形成される固形胚乳から得ます。
この食材は東南アジアや中南米を中心とした国々で料理に使用されるのが特徴です。

昨今は欧米や日本でも料理だけでなくお菓子に入れたりするなど活用例は幅広いです。

ココナッツオイル

「ココナッツオイル」は「ココナッツ」から抽出される油です。

植物油の中では珍しく飽和脂肪酸を含むオイルとして知られます。
その中でも中鎖脂肪酸を含むことから手術後や産後のエネルギー補給として重宝されています。

他にも抗菌作用や抗酸化作用が期待できるのだとか。
それだけでなく免疫力の向上や皮下脂肪・内臓脂肪の燃焼にも期待できるとされています。

さらにはアルツハイマー型認知症の症状にも期待できるのだとか。

ココナッツパウダー

「ココナッツパウダー」は「ココナッツ」を加工したパウダー状の食材を言います。

これは料理というよりお菓子などに使用されやすい食材です。
粉状で溶けやすいことから水に溶かして使用されることもあります。

長期保存にも向いていることから無数の場面で役立つ食材と言えるでしょう。

まとめ

「椰子の実」も「ココナッツ」も原則は同じものを言います。
しかし「椰子の実」はヤシ科の植物全般になる果実を言います。
あくまでも「ココナッツ」はその一種であるということです。

その点はわかりづらいので注意が必要となるでしょう。

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