鬼怒川温泉への旅。温泉街で食べ歩き&温泉・渓谷の景色を満喫
栃木県を拠点に活動している温泉ライターの野水綾乃です。鬼怒川温泉といえば我が栃木県を代表する一大温泉観光地。2017年のSL大樹の運行開始に合わせて、鬼怒川温泉駅の駅舎や駅前広場が整備され、新しいお店もたくさんお目見えしています。
そんな駅周辺の温泉街で人気の食べ歩きグルメを楽しみ、宿泊はジブリ映画の世界にそっくりと話題の歴史ある温泉ホテルへ。知らなかった鬼怒川温泉の魅力が発見できそうです。
新宿駅
特急「きぬがわ」で乗り換えいらず
鬼怒川温泉へのアクセスは、JR新宿駅発でJR線と東武線を直通で結ぶ特急「きぬがわ」が便利です。「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」であれば、特急「きぬがわ」と宿のセットがお得に予約できますよ。
特急「きぬがわ」は、平日は1日1往復のみ。行きは新宿駅10時31分発で、池袋、浦和、大宮を経由し、約2時間で鬼怒川温泉駅に到着します。
温泉街の玄関口にふさわしい佇まいの鬼怒川温泉駅の駅舎。軒の出には栃木県産の杉材、柱や壁には宇都宮市で採掘される大谷石が使われています。
駅を出ると、正面になにやら金色の鬼の像が待ち構えています。
これは鬼怒川温泉のマスコットキャラクター「鬼怒太」の像。見た目は怒っているようですが、邪気を払い、福を招くという邪鬼をモチーフにしたキャラクターなんだそう。鬼怒川に架かる6つの橋のたもとにも、「鬼怒太」と妹「鬼怒子」の像が鎮座しています。
ひと休みしながらどこへ行くか作戦を立てようと、駅前広場の一角にある無料の足湯「鬼怒太の湯」へ。少し熱めの湯がじわじわと足の疲れを取ってくれます。上段では手湯も楽しめます。
鬼怒川温泉街で食べ歩き
鬼怒川温泉街でご当地おやつの食べ歩き
宿のチェックインまではまだ少し時間があるので、鬼怒川温泉駅周辺の温泉街で食べ歩きグルメスポットを巡ります。まずは地元の素材を使ったバウムクーヘンが味わえる「はちやカフェ」へ。
私が頼んだのは「HOTバウムクーヘン4種盛りドリンクセット」。シンプルな「はちやバウム」、栃木県産とちおとめを使った「はちやバウム いちご」、鬼怒川温泉の渓谷をイメージした外はカリッと、中はもっちり食感の「ろっくバウム」、まろやかで甘みのある地元の醤油を加えた「はちやバウム 日光しょうゆ」の4種が少しずつ味わえてお得。
バウムクーヘンは、温めることで生地がふんわりと焼きたてに近い状態になり、豊かなバターの香りが引き立って感じられます。
はちやカフェの隣にある「バウムクーヘン工房はちや」では、店頭でバウムクーヘンが焼き上がる様子を見学できます。
もともとは駅前のお土産屋さんだったのですが、東日本大震災をきっかけに、自社で手づくりのお菓子を販売しようとバウムクーヘン工房を立ち上げたんだそうです。日光産の「日光御養卵」、幻の高級バターといわれる「カルピス(株)バター」、北関東産の小麦粉など、地元産を中心とした素材選びにも思いを感じます。
もう1軒、駅舎の一角にある「BENTO CAFE KODAMA」にも行ってみました。SL大樹が方向転換する際に使う転車台が目の前にあるカフェで、その迫力ある姿を眺めながら食事やお茶を楽しむことができます。
こちらで人気なのが、SLをイメージしてつくったという「ブラックソフトクリーム」です。黒色の正体は竹炭とチョコ。ほんのりビターなチョコレート味で、ミルク感もあってさっぱりとした味わいでした。
しばらくすると、転車台のまわりに人だかりができ始めました。折り返し運転のため、SL大樹が転車台に入線する時刻でした。ずっしりとお腹に響く汽笛の音と噴き上げる黒煙、そして目の前で動く姿、迫力があり過ぎます!
SL大樹は「下今市駅-鬼怒川温泉駅」間をほぼ毎日運行。午前と午後の2回、転車台に入線しますのでお見逃しなく!(※)
※編集部注:SL大樹の運行スケジュールは時期によって異なります。詳しくはこちら
鬼怒川温泉街を散策
鬼怒川温泉街を散策しながら今宵の宿へ
今宵の宿「あさや」までは、鬼怒川温泉駅と各ホテル・旅館を循環するダイヤルバス(※)でも行けますが、歩いても20分ちょっとなので、温泉街を散策しながら向かうことに。
※編集部注:運賃は片道200円均一(大人)。各ホテル・旅館発のみ宿泊先に事前予約制。詳しくはこちら
駅から10分ほど歩くと、鬼怒川の渓谷にかかる歩行者専用の「ふれあい橋」が階段の先に見えてきます。
橋の中ほどまで来たところで振り返ると、先ほど下りてきた階段に高さ45メートルほどの巨大な鬼怒太のアートが描かれていました。
ふれあい橋からの鬼怒川渓谷の眺め。ダイナミックな自然の渓谷美に温泉街の真ん中で触れられるのが鬼怒川温泉の魅力なのだと感じます。
鬼怒川温泉「あさや」 1日目
「あさや」の絢爛豪華な巨大吹き抜け空間
ホテルや旅館が立ち並ぶ道をさらに進むと「あさや」が見えてきました。客室数は192室、大型ホテルの多い鬼怒川温泉のなかでも最大級の規模を誇ります。
鬼怒川の渓谷に沿って建つ建物。対岸の蒙木山が背後に迫ります。
チェックインし、そのままエントランスホールに赴くと、10フロア分が吹き抜けになった大空間に圧倒されてしまいました。宿泊客を乗せてせわしなく上下に動く3基のエレベーター、そして各階を行き交う人々。ジブリ映画にでてくるような湯屋をどことなく彷彿させます。
客室はひとりから宿泊できる秀峰館のスモールツイン。2020年2月にリニューアルされたばかりで、壁掛けのアートがモダンな雰囲気です。
鬼怒川温泉「あさや」で温泉巡り
360度の絶景に癒やされる空中庭園露天風呂
ひと息ついたら、浴衣に着替えて温泉巡り。まずは明るいうちに最上階13階にある空中庭園露天風呂「昇龍の湯」へ向かいます。
空中庭園露天風呂「昇龍の湯」には、北側と南側に2つの浴場があり、この日は北側が女湯でした。手前にある寝湯の目の前に迫るのは蒙木山。浴場からは360度ぐるりと山並みが見え、しかも手が届きそうなほど近い。
奥の立湯からは高原山を正面に仰ぎます。フロア全体に心地よい風が吹き抜けます。
お風呂はこのほかに秀峰館と八番館それぞれの低層階に大浴場があります。特に秀峰館の大浴場は、余裕で30人ぐらい入れるほど湯船が広く、ゆったり浸かれます。すべての湯船を満たすのは、あさやの自家源泉。泉質はアルカリ性単純温泉で、肌に優しく、古い角質を落としてくれます。
鬼怒川温泉「あさや」の夕食
郷土の味とライブキッチンが楽しいブッフェ
夕食は8階のブッフェレストラン「ASAYA GARDEN」でいただきます。
目の前で調理するライブキッチンのメニューが豊富で、国産牛のヒレステーキや天ぷら、石窯焼きピッツァなども。珍しいところでは鮎の塩焼きもありました。
ライブキッチンで揚げたての天ぷらには日光らしい湯波も。ほかにも鬼怒川産の鯉のくんせい、栃木県産のこんにゃく、ピリ辛ソースを合わせた宇都宮餃子など、あさやならではの地元グルメがたくさんあり、どれもおいしかった。
このあと、日光御養卵を使った自家製プリンやユウガオの実を使ったジェラートなど、豊富なデザート類までたっぷり堪能しました。
夜、ふたたび空中庭園露天風呂「昇龍の湯」へ行くと、群青色の夜空に大きな月が浮かんでいました。寝湯に浸かりながら、しばらく神秘的な光景を眺めました。
鬼怒川温泉「あさや」 2日目
ライン下りと同じ舟を使った舟風呂で朝湯
翌朝には男女のお風呂が入れ替えに。空中庭園露天風呂「昇龍の湯」の南側の浴場には、鬼怒川ライン下りで使われているものと同じ舟を湯船にした舟風呂があります。鳥の声を聞きながらの朝湯も最高。
朝食ブッフェでしっかりパワーチャージしてから、お宿をチェックアウトしました。
鬼怒川ライン下り
鬼怒川ライン下りで渓谷の景色を堪能
2日目は、圧倒的な渓谷美をより身近に感じられる「鬼怒川ライン下り」を楽しみます。あさやからは徒歩約20分、鬼怒川温泉駅の近くに乗船場があり、事前の予約なしでも空席があれば、当日受付窓口で申し込みできます。
鬼怒川ライン下りの乗船場。ここから6キロ、40分ほどの船旅です。
高さ100メートルを超える巨岩の楯岩や軍艦岩、吊り橋や滝など、航路には見どころがいっぱい。船頭さんが見事な櫂(かい)さばきを見せながら説明してくれます。激しい水しぶきの上がる流れの速いところも何か所かありますが、全体的にはゆっくり景色を満喫しながら下っていきます。
お話のなかですごいなと思ったのは、ライン下りに使われている船は、社内の船大工さんが営業をお休みする冬の間につくっているのだそうです。あさやの露天風呂にある舟風呂も同じ船大工さんが製作したものなんですって。
ライン下りを満喫したら、そろそろ帰る時間です。今回の旅を通して、鬼怒川温泉の自然の豊かさ、美しさに癒やされました。しかも、鬼怒川温泉駅から徒歩圏内で出合えるスポットもたくさん! そんな旅で出合ったすばらしい風景を振り返りつつ、特急「きぬがわ」で帰路に就きました。
新宿駅
掲載情報は2023年8月3日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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