清水崇監督・大島育宙がスリラー映画『イノセンツ』を語る 「子役4人ともが凄い」「映画館でゾワっとする体験が久しぶりにできた」
超能力に目覚めた子供たちの“衝撃の夏休み”を描く北欧スリラー映画『イノセンツ』が7月28日より公開。劇場公開に先駆けて行われた試写会に、『呪怨』『犬鳴村』の清水崇監督、芸人で映画評論YouTuberの大島育宙さんが登壇し、本作にまつわるトークを繰り広げた。
本作は、ヨアキム・トリアー監督の右腕として『テルマ』や『わたしは最悪。』などの共同脚本を手がけてきたエスキル・フォクトの監督作。ノルウェー郊外の団地で、男女4人の子供たちがサイコキネシスやテレパシーの能力に目覚めるが、善悪の区別が曖昧な年代の彼らの“遊び”は次第に危険なものへとエスカレートしていく。
清水監督は、日本での公開が決まる前から本作の情報をキャッチしており、観られるのを楽しみにしていたそう。「まず直球な『イノセンツ』というタイトルに惹かれたんですよね。僕も子供視点の物語を撮りたいと思っていたので、すぐに検索して本国の予告を見て。日本でも公開されてほしいと思っていました。予告だけで“ああ、これは自分の好きな映画だ!”とビンビンきていてハードルが上がり切っていたのですが、大きく期待を上回る出来で、大好きな映画になりました」と大絶賛。
大島育宙さんも、「怖さの純度が高くて、怖がらせよう、嫌な気持ちにさせよう、新しいものを見せてあげようというサービス精神に溢れている作品ですよね。怖い映像なんて無料でいくらでも見れる時代に、映画館でゾワっとする体験が久しぶりにできて、ありがとうございます!という気持ちでした」と本作の感想を語った。
子供が登場する映画が好きだという清水監督。本作には男女4人の子供たちが登場するが、彼らの巧みな演技に感心したそうだ。「4人ともが凄いですよね。各々の視点だったり想いだったりを、誰一人欠かさずに描いている。監督が影響を受けたと話している大友克洋さんの漫画「童夢」がベースにありつつ、『千と千尋の神隠し』だったり、『E.T.』みたいなところもありました」これに対し、大島さんも、「子供たちが退屈と孤独を持て余している様子がかなり繊細に描かれていますよね」と続ける。
続いて、映画の演出について。清水監督は、映画監督としての視点から「すごく細かな描写が丹念に描かれていて、こんなおしゃれでかっこいい演出ができたら。憧れです」と羨望の眼差しを向ける。大島さんが「子供たちの邪悪さ、怖さが印象に残ると思うのですが、なかには純粋な“子供あるある”も詰め込まれていてかわいい映画でもあるな、と思いました。万国共通の子供あるあるというか。」と続けると、清水監督も「そういうところも凄く、くすぐるんですよね」と共感した。
次にJホラーの巨匠として長年ホラー作品を手掛けてきた清水監督だが、『イノセンツ』から影響を受けた点はあるかと尋ねられると「どこをどうと言えないくらいたくさんあります! 10年以上前から温めていた子供目線の企画を今構成していたところで、“ああ、やられた!”と思いました。もし似てる部分があっても真似じゃないですからね!」と話し、会場からは笑いが起こった。
最後に、これから映画を鑑賞する会場の観客に向けて、二人からコメントを。大島さんは「いろんな感想が出てくると思うんですけど、ぜひ観た後にお友達と一緒に喋ってほしいです。子供の時の思い出がブワッと出てくるタイプの作品ですよね。自分も子供の頃、ちょっと能力が使えたかも……と朧げな記憶が出てきたり出てこなかったり。そんな映画はあまりないと思うので、ぜひ肌で浴びて体感していただきたいと思います。楽しんでください!」とし、清水さんも「子供ならではの、“どういう衝動なのか分からないけど抑えられない”という部分が如実に描かれていて、それが行動にどう出てくるのかがうまく反映されているので、観ていただけたら、読み取っていただけたら。」と見どころを語った。
『イノセンツ』
7月28日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。