日本一分厚いかつ丼『ちよ松』を食べに行った結果→ すまん辛口にならざるを得ない

日本一分厚いかつ丼があると聞いて、無類のトンカツマニア&カツサンドマニアの者として「これは食べずにはいられない」と思い、実際に出向いて食べてみました。

日本一分厚いかつ丼『かつ丼 ちよ松 道頓堀本店』

やってきたのは日本一分厚いかつ丼を誇示してやまない『かつ丼 ちよ松 道頓堀本店』(大阪府大阪市中央区千日前1-1-10)。元力士の店主が揚げていて、その厚さ、なんと5センチ! 肉汁たっぷりジューシーな超厚切り豚肉をシャリシャリの衣とともに食べられる!? これは期待しかない。

10時に行けば一巡目に店内には入れるかも

お店は11時開店。10時に行くと一番乗りでした。しかし開店時間になると、気がつけば大行列。どうしても早く食べたい人は10時に行けば一巡目に店内には入れるかもしれません。

ウホッ♪ 絶対うまそう! 特上5センチとじないかつ丼

店頭にはメニューが掲示されていて、そこには「特上5センチとじないかつ丼(希少部位450グラム)ピクルス付き」とのメニューが! ウホッ♪ 絶対うまそう。読んだだけで腹が減ります。値段は2400円ですが、5センチも厚みがあるなら、むしろ安いかもしれません。

食べたい料理をシートに書く

待ちかねた開店。着席したら、卓上のシートに注文したい料理を書きます。今回は「特上5センチとじないかつ丼(希少部位450グラム)ピクルス付き」をオーダー。しかしオーダーシートにはグラム数が400グラムと書かれていました。店頭のメニューの450グラムと書かれていたので店員さんに聞いてみると「う~ん、だいたい400~450ぐらいですねぇ」とのこと。曖昧。

多少の重量の違いは仕方ないものですが、50グラムはかなり差があると思うので、個人的には明確にしてほしかったところ。とんかつ屋において50グラムの差は価格に差が出てもおかしくない誤差ですし。

ちなみに水はジョッキで渡される。豪快でイイ感じ! ピクルス小さくてカワイイ。ステキやん?

期待! 衣もいい感じに金色で食欲がそそられる♪

待つこと数分、目の前に豪快なボリュームの「特上5センチとじないかつ丼」がやってきました。ウホッ♪ いい厚み!

衣もいい感じに金色で食欲がそそられます。これは期待できる。でも、食べる前に、本当に5センチあるのか調べてみました。

5センチはありませんでした

トンカツのいちばん大きそうな部分を箸で引き揚げ、断面の厚みを物差しで測ります。すると……、厚さ3.8~4センチほどでした。

5センチありませんでしたが、24時間かけた低温調理と、揚げる工程によって約1センチ縮んだのかもしれません。そう、ここの特上かつ丼の豚肉は、24時間の低温調理後に揚げているのだそうです。ちなみに横幅は8.5~9センチほどでした。デカい!

トンカツというより厚切りハムのハムカツ

なにより重要なのは「うまいかどうか」という点。ということで、さっそくかつ丼のトンカツにかじりつきます。

……んんっ!? うーん。なるほど。これは豚肉のトンカツというより、厚切りハムのハムカツといったほうがしっくりくるかもしれません。世間一般のトンカツ屋やカツ丼屋の豚肉の肉質と大きく違います。

単調で薄めなハムテイスト

食べるとかなり弾力があり、肉汁はかなり少なめ。ある程度の力でかみ切れるので硬いとは感じませんが、ジューシーさは皆無に近く、延々と、一定で薄めなハムテイストが続きます。

卓上には調味料がたくさん用意されていたので、単調なテイストであることを店主は知っているのかもしれません。なのでこの調味料の数々で「飽き」をしのいでほしいのかもしれません。すみません、このように邪推してしまうほどの肉質でした。

衣の一部が生焼けになっていました。卵を含んだ生地が半生の塊になっています。うまければ問題ナシなんですけどね……。

現に、衣の卵が生焼けでも絶賛されているトンカツ屋があります。わざとそうしている店もあります。薄い豚肉に、卵の塊が出まくっているふわふわ衣。そこにガッツリととんかつソースをかけると合うのですよ。

でも本来、意図しない(であろう)卵の黄色い部分はトンカツやかつ丼にとってネガティブな要素だと思っています。すみません、やや話がそれました。

トンカツやかつ丼にマッチした豚肉とは感じません

『かつ丼 ちよ松 道頓堀本店』は「特上5センチとじないかつ丼」に豚肉の希少部位を使用しているとのことでした。しかし、その価値は不明なれど、実際に食べてみてトンカツやかつ丼にマッチした豚肉とは感じられませんでした。食べて「あれ? 思ったカツと違う」「コレジャナイ」と感じた人も多いのではないかと思いますが、すでに食べた方、いかがでしょうか。

味よりコストに振り切ってしまった?

確かに分厚いかつ丼でした。5センチはないけど4センチでもじゅうぶん分厚いと思います。しかし、豚肉の肉質に「あれ?」と思ったのは事実。たとえ世間一般のとんかつとは違う肉質だとしても、おいしければ問題ナシなのですが、「はたしてこの豚肉はトンカツやかつ丼に最適な肉質といえるのだろうか」「味よりコスト削減に力を振り切ってしまったのではないか」と感じてしまったのも事実なのです。

「食べて勝手にそう思った」というひとりの客のつぶやき

お店には、多くの外国人観光客らしき人たちが訪れていました。ガイドブックや海外インターネットサイトやSNSで話題なのだと思います。観光客相手ならば、一期一会、二度と来ない客ばかりだと思いますが、日本人も相手にするならば、グンと価格をあげたとしても、豚肉を改良したほうが良いと感じました。トンカツ好き、かつ丼好き、日本人のリピーターを求めるならば……。あくまで、食べて勝手にそう思ったというひとりの客のつぶやきでしかありませんが。

さらなる高みを目指しほしい!

でも、日本一分厚いかつ丼という視点での勝負、とてもユニークだし、追求すればビジネスチャンスとして間違いないものになるかもしれません。長い目で見た場合、コストだけでなくさらなる高みを目指してほしい──とんかつマニアとしてそう思うのでした。勝手な感想ですが。

ちなみに、『かつ丼 ちよ松 道頓堀本店』の姉妹店としてカツサンド専門店『かつサンドちよ松 梅田店』がありますが、そちらも食べたので気になる人はお読みください。以上、レポっす。


クドウ: カツサンドマニアの勝三太郎は別名義。TVチャンピオン「焼肉王選手権」「デカ盛り王選手権」出場、準優勝。日清公認「どん兵衛士」であり、どん兵衛とラーメン二郎要素を融合させた「どん二郎」のネーミング等を考案。空条海苔助 名義で「世にも微妙なグルメレストラン」「彦龍のノリヒコさん」を出版、「月曜から夜ふかし」「大阪ほんわかテレビ」に出演。昭和的な「個人経営の焼肉屋」をめぐる旅をする焼肉マニア。東洋経済やGMOでもグルメ記事執筆。

(執筆者: クドウ@地球食べ歩き)

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