一流になれなくても活躍できる「超二流」の生き方とは

一流になれなくても活躍できる「超二流」の生き方とは

選手時代は南海ホークス(現福岡ソフトバンクホークス)などで三冠王など多くのタイトルを獲得し活躍。監督としても1990年にヤクルトスワローズの監督に就任し、4度のリーグ優勝、3度の日本一に導くなど、プロ野球界に偉大な足跡を残した野村克也氏。2020年に亡くなったが、東北楽天イーグルスの田中将大選手をはじめとした現役選手だけでなく、ヤクルトスワローズの高津臣吾監督、日本代表監督を務めた稲葉篤紀氏など、多くの教え子たちが今もプロ野球界の第一線で活躍している。

■名将・野村克也が伝えた「超二流」の生き方

教え子たちが各チームで監督やコーチとして活躍しているのは、すくなからず野村氏の教えによるところがあるのだろう。

野村氏は監督時代、選手たちに野球の本質や「超二流」としての生き方を伝えた。超二流とは、自らの強み・長所と弱点を理解して、強みを活かせるように頭を使う選手のことだ。そして、一流にはなれなくても、超二流なら努力次第で誰もがなれるという。

『超二流: 天才に勝つ一芸の究め方』(野村克也著、ポプラ社刊)では、野村克也氏が経験してきた、見てきた、そして教えてきたプロ野球界の超二流の生き様を紹介する。野村氏が監督を務めた1990年代のヤクルトには、超一流と呼べるような選手もいたが、多くは超二流の選手たちばかりだった。しかし、そういう選手がたくさんいるチームは強い。一流選手と呼ばれる者が多い4番バッターやエースだけでは、チームはなかなか機能しない。超二流という一流の脇役の存在が必要なのだ。重要なのは、主役と脇役のバランスの取れたチーム作りが強いチームを作りあげることだ。

では、超二流になるためには、何が必要なのか。それは、自らが勝てる場所を見つけてそこに全てをかけること。その洞察力を駆使した能力が、一流の力を上回る超二流の選手として大成するという。ヤクルトで活躍した現役時代、堅実な守備とバント、そして2000本安打も達成し、現役引退後はヤクルトのヘッドコーチも務めた宮本慎也氏。ドラフトの際、「守備はいいけど、打撃は目をつぶってください」とスカウトが言って獲った選手だった。なので、野村氏は確実にバントをすることと、右打ちを徹底させた。結果、右打ちの技術を身につけ、自ら進むべき「勝てる場所」を見つけることで活路を開き、プロ野球界を代表するような選手に成長した。誰にも負けない強みを見つけ、自分の勝てる場所で勝負することで、生きる道は開けるということだ。

野球界だけでなく、違う業界で働く人たちにとっても、仕事で成果を出す強いチームを作ることは必要なことだ。部下の育成に悩んでいるリーダーは、野村氏の超二流の考え方を実践してみてはどうだろう。

(T・N/新刊JP編集部)

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