「孟母三遷」とはどんな意味の四字熟語?その由来や類義語は?

教育には環境が大切であるという教え、それが「孟母三遷」です。
これは孟子とその母親の逸話から生まれた四字熟語とされます。
しかし、なぜ「孟母三遷」と表現するのでしょうか?

今回はそれら「孟母三遷」という言葉について解説します。
特にここではその意味と成り立ちについて説明します。

「孟母三遷」とは

まずは「孟母三遷」の意味について見ていきましょう。

「孟母三遷」の意味

「孟母三遷」とは教育には環境が大切であるという教えです。

実際に環境によって子供の教育が変化することは多々あります。
良い環境であれば質の良い学習ができる一方、悪い環境であれば質の悪い学習しかできません。

それら教育が環境によって左右されることを言った四字熟語が「孟母三遷」となります。

「孟母三遷」のもう一つの意味

「孟母三遷」は教育熱心な母親の例えとしても使用されます。

これはこの四字熟語の背景となった逸話から来ています。
事実、「孟母三遷」は孟子の母親が非常に教育熱心だったところから来た表現とされているのです。

そちらに関しては後の項目で詳しくまとめます。

「孟母三遷」の由来

ここからは「孟母三遷」がどこから来たのかを見てみましょう。
特にここでは「孟母三遷」の成り立ちについてまとめます。

教育に熱心な母親の行動からきた「孟母三遷」

「孟母三遷」は孟子の母親から来た言葉とされています。
その逸話は古代中国の故事「古列女伝-母儀-鄒孟軻母」に掲載されているエピソードから来たのだとか。

それは紀元前四世紀、戦国時代の中国でのことです。
当時、孟子一家は墓地の近くに住んでいました。
しかし、幼い孟子は葬式の真似事をするようになってしまいます。
それを見た母親は市場の近くに引っ越すことを決めたそうです。

ところが、今度は孟子が商人の駆け引きの真似事をするようになってしまいます。
これを見た母親は教育に良くないということでまた引っ越しを決意したのだとか。

その際、度重なる孟子の行動を見た母親は次の住まいを学校の近くにしようと決めます。
すると孟子も学校で教えている礼儀作法を真似するようになったとされています。

その後、母親は「これこそ教育に最適の場所だ」と考え、それ以降は引っ越すことをしなかったのだとか。

その教育熱心な姿から生まれたのが「孟母三遷」となります。
実際に「孟母」は孟子の母親のことを意味しています。
「三遷」は三度引っ越すことを意味する言葉です。

まさに故事のエピソードを凝縮した四字熟語と言えるでしょう。

同じ母親の逸話から生まれた四字熟語「孟母断機」

同じ孟子の母親の逸話から生まれた四字熟語には「孟母断機」というものもあります。

「孟母断機」とは学問を中途でやめると何も残らないという戒めのことです。
この言葉も実は「孟母三遷」と同じ「古列女伝-母儀-鄒孟軻母」にあるエピソードから来ているのだとか。

その昔、孟子の母親は勉強を投げ出そうとする様子に対して、織っていた織布を断ち切って学問を続けることの大切さを説きました。
その逸話から生まれたのが「孟母断機」となります。

「孟母」はそのまま孟子とその母親を意味します。
「断機」は織物を切断することを意味する言葉です。

つまり、これは「学問をやめる」ことを「布を断ち切る」ことに例えて表現した言葉となるわけです。

事実、途中でやめてしまっては何も成し遂げられません。
そのことを母親は孟子に伝えたかったのかもしれません。

まとめ

「孟母三遷」は教育が環境に左右されることを言った言葉です。
実際に子供は周囲の環境の影響を受けることも多く、それによってどのような大人に育っていくのかも決まります。
それらの様子を例えたのが「孟母三遷」です。

ただし、この「孟母三遷」は教育熱心な母親そのものを意味することもあります。
そこは成り立ちに関する故事のエピソードから来ているので、併せて覚えておきたいところです。

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