青春時代の体力転換期は26歳?体力低下を防ぐ秘訣はあるのか!?
■26歳は疲れを感じ始める時?!
若者の代名詞である「青春時代」は、何をしても新鮮で、いろいろなことを体験したいと思う時期です。一日中動き回っても疲れ知らずの時ですが、いつしか、疲れを感じ始めるようになります。それは、いつ頃と考えたら良いのでしょうか。
私が初めて疲れを感じたのは26歳の時です。25歳までは、一度も疲れを感じた事がありませんでした。老化に関係する要因は、数多くあります。様々な環境や病気が関係しますので、疲れを感じ始める時期の特定は困難ですが、老化に関係するメラトニンを例にとって考えてみると、年齢との関係が少し見えて来ます。
メラトニンは、睡眠に関与しているホルモンとして知られています。脳内の間脳にある松果体という場所から分泌されるホルモンで、体内時計の調節、免疫力や抗酸化力の増強、抗がん作用や抗老化作用などに関係がある物質です。メラトニンは、生まれてからどんどん分泌され、10歳代後半にピークを迎えます。不規則な生活や無理な活動を続けていても、メラトニンが沢山分泌されているため疲れを感じないと考えられます。メラトニンは、20歳前半から急降下します。25歳くらいには、半分以下となります。26歳くらいに疲れを感じ始めるのは、メラトニンの分泌量が関与しているからではないかと考えます。
私の場合、26歳の時疲れを感じたのは一度きりでしたが、27歳以降徐々にその頻度が増しました。30歳を迎えた頃は、疲労した時睡眠を取らないと解消されないようになって来ました。振り返ってみると、26歳が青年期における体力の転換期だったように思います。
■25歳から34歳の9年間が体力の転換期!?
疲労を何歳から感じるようになるかは特定できませんが、いろいろなアンケートを調べると、その傾向が見えて来ます。多くの場合は25歳頃より若干感じるようになるようです。20歳代後半から30歳代前半には、男女ともに半数以上「疲れが取れにくくなった」という自覚症状が、トップになります。
アメリカ・スタンフォード大学で行われた2019年の研究では、血液の中にある血漿タンパクから肉体の老化速度が読み取れるようなデータを伝えています。血漿は、血液中の赤血球、白血球、血小板を除いた液体で、タンパク質や電解質などが含まれます。その血漿タンパクのうち約400種類が老化と関連し、そのうちの3割は加齢とともに変則的に変化し、34歳、60歳、78歳に大きなピークを迎えると伝えています。
東洋思想では人生の周期を9年で考えます。つまり、体力面においては25歳から34歳頃が転換期として捉えられるという事です。40年に及ぶ臨床経験から鑑みると、9年くらいかけて体力が低下して行くように感じ取れます。この時期は仕事が忙しい世代ですので、睡眠をしっかりとって体力を削り取られるような病気をしない事が大切です。60歳代に関する事は、JIJICO内にあるコラム「人生100年時代を生きる体力の転換期は62歳?体力低下を防ぐ秘訣はあるのか!?」をご参照戴きたく思います。
■転換期に注意すべき事は睡眠?
メラトニンや血漿タンパクが変化するデータだけを見ると、一見生活能力が低下したのではないかという印象を持ちますが、実は35歳から60歳の間は、安定した体調を維持出来る身体になります。無理な生活さえしなければ、同じような生活をする事が出来ます。見方を変えると、25歳から35歳への転換期を如何に過ごすかがポイントになります。つまり、18~24歳くらいに出来るだけ強靭な体を作り上げる、そして一旦上昇した体力をどのように維持するかがポイントだという事です。
25歳から34歳頃は、社会人として忙しく、ゆっくり休む暇がない時期と言えます。そのため、この時期に一番問題となるのが、睡眠時間です。睡眠時間が少ないと、メラトニンの分泌量が低下します。睡眠不足は、老化が進む原因でもあります。世界的に見ても、日本人の睡眠時間は、先進国の中で最下位です。日本人の7割は睡眠不足ですが、
20歳代 男性約75% 女性約78%
30歳代 男性約81% 女性約78%
が睡眠不足と答えています。多くの日本国民は、老化を促進させるような生活をしていると言えます。
一日の睡眠時間は、7時間半から8時間必要です。1週間では49時間から52時間程度と考えられています。寝不足した日が週に1~2日あっても、週末にその不足分を補えば大丈夫です。休日を活用しながら、十分な睡眠時間を確保する事が、求められます。しかしながら、その状態が継続して長期に及ぶと、補正が効かなくなり身体のメカニズムに狂いが生じてくると考えます。平日の寝不足が3か月以上続くと病気の予備軍になると思います。また、一日の睡眠が5時間未満の人は、休日で不足分を補う事が困難です。平日はしっかり睡眠を取るように心がける事が大切です。睡眠を取る暇がないという人は、数分間仮眠を取るだけでも大きく違います。疲れを感じた時、仰向けに寝る事も、老化を防ぐ方法です。
■睡眠を妨げるのは夜遅い入浴や食事!
ヒトは、起床後14時間から16時間後にメラトニンが分泌され、深部体温が下降して眠気を催します。睡眠を充分取るためには22時半から23時頃に就寝しているのが望ましい生活と言えます。
睡眠時間が短い人や眠りが浅いと訴える人の話を伺っていると、お布団に入ってもすぐ眠れないまたは、じきに目が覚めるという話を良く聞きます。生活スタイルを尋ねると、
22時頃以降晩御飯を食べる・飲酒をする
23時頃から入浴し始める
23時頃から運動を始める
など、眠くなる時間帯に身体を興奮させる事をしている人が少なくありません。就寝前にスマホ、パソコンやゲームなどの電子媒体を見ていると脳が興奮します。これらの行為は、睡眠の妨げになります。就寝前は、脳や内臓を働かせないような生活に変更する工夫が必要です。就寝してもなかなか寝付けない人は、就寝する前にのんびりする事を心がければ、睡眠の質が良くなり、深い眠りを得られるようになります。眠りのメカニズムに関しては、厚生労働省が情報提供している「e-ヘルスネット」を参照戴きたく思います。
清野が呼称する養正(ようせい)治療は、日常の適正な生活です。詳しくお知りになりたい人は、清野鍼灸整骨院ホームページ「くらしと養生」をご参照戴きたく思います。
■睡眠の質を向上させる努力が大切
睡眠不足は、体力低下を招きますので、短い睡眠時間しか確保出来ない時は、睡眠の質向上が必須です。就寝する時間帯以外に、寝室の環境や就寝時の衣服にも配慮が必要です。若い時は、深酒した後着替えずYシャツを着たまま寝てしまったという人も多いのではないかと思います。そんな時は、疲れが残っている事を経験したのではないでしょうか。
身体を締め付けないリラックス出来る服装でお休みになる事は大切です。また、寒い部屋で休まない事も大切です。室温を下げないように注意し、部屋の温度にあった服装を選択する事も大切です。
フローリングの上に直接寝ると、体力の低下を招きます。フローリングの上に敷布団を1枚敷いた状態でも同じです。
詳しくは、JIJICO内にある下記コラムをご参照戴きたく思います。
「日当たりの悪い寝室で寝ていると体調不良になる?理想的な寝室の環境とは!?」
「北向きの部屋にいると病気になりやすい?日当たりの確保が病気回復には大切!?」
「ホットカーペットの上で寝ると体力が低下!!体を温めているつもりが実は冷えの原因?」
■鍼灸治療は浅い眠りや不眠の解消に有効です
睡眠不足が続くと、肝臓の機能低下が生じて疲労が取れにくくなります。その状態が2週間以上続くと、疲れ過ぎて、ますます眠れなくなります。その結果、眠りが浅い、眠れないという症状を訴えるようになります。その状態になると、ますます症状が増悪します。いらいらする、怒りっぽいなど、様々な症状が出現して来ます。
ご自分の生活スタイルを見直しても症状改善が困難な人には、鍼灸治療がおすすめです。鍼灸治療は肝臓の疲労回復に最適な医療です。浅い眠りや不眠の解消に役立ちます。鍼灸治療をして健康を回復する事は、体力低下防止につながり、若さを保つ事が可能になります。鍼灸治療で体力の維持向上を希望される人は、お近くの鍼灸院または鍼灸師が勤務している医療機関にご相談ください。
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