高橋和也インタビュー「いろいろな作品をやってきて、今この作品の面白さが素直にわかるって素晴らしいなと思っています」 映画『追想ジャーニー』公開

映画初主演・藤原大祐さんと男闘呼組再始動でも話題の高橋和也さんが共演した『追想ジャーニー』が現在全国公開中です。高校生の文也(藤原)が謎の男(高橋)と出会い、不思議な体験をしていくストーリー。「同世代だけでなく、むしろ10代のみなさんにも観てほしい作品です」と語る高橋さんは本作を経てどのようなことを感じたのか。うかがいました。

■公式サイト:https://www.journey-movie.net/ [リンク]


●まず、今回高橋さんが出されコメントで、「役のほうから演じてくれとやって来る」というようなことを言われていましたね。

言いましたね(笑)。これは運命論にも通じるものですが、演じるべくして演じる役はあるような気がしていて。作品のオファーが自分に来ることって、なんとなくすべてがつながっているような気がするんですよ。

●偶然ではなく、必然みたいなことですよね。

確かに自分のところにある役が来ることは、不思議な巡り合わせじゃないですか。必ずしも僕でなければいけないわけじゃないのでね。これも勝手な誇大妄想なのですが、そう信じて演じると楽しくなってくる、役を演じる意味をもっと見い出せるような気がするんです。

なぜ僕はこの役を演じるのか――これは前から考えていたことであり、もっと言うとなぜ僕は俳優をするのかにもつながってくることなんです。きっと何かを伝えるために俳優をしていると思うので、そこには意味があるものだと信じたいんですよね。

●今回は謎の男という役でしたね。公式サイトにも載っているので記しますが、その実は30年後の主人公・文也です。

僕が演じる30年後の文也は売れない役者で、人生を悔やみ後悔までしている男です。つまり、やり直したい人生がある。もう一度あの時代に戻りたいと思っている。僕はもう一度あの時代に戻りたいとは思わないけれど、もし戻ってやり直せるならとか、文也の追想は脚本を読んでいて面白かったんですよね。だから演じてみたいと思ったんです。

●48歳という絶妙な年齢設定が秀逸だと思いました。まだ人生の途中でありつつ、さまざまなことに想いを巡らす年齢だと思います。

僕にも身近に売れない俳優、売れないミュージシャンの友だちがたくさんいます。そういう方たちが僕に教えてくれたことがたくさんあって、この謎の男という役も共感を持って、シンパシーを感じながら演じることができたんです。

●すると今回、役柄との運命の出会いを経て、何かメッセージのようなものを受け取りましたか?

僕は現実主義者なんですよ(笑)。すごいリアリストだから、文也みたいに過去に戻りたいと考えたことはなくて。そもそも無理だからと、そう思っていたけれど、そういう過去は僕の中にもあったかも知れないとは思いました。それが『追想ジャーニー』の中に書かれていたから興味を持ってやりたいと思ったかも知れないですね。

映画の世界の面白いところは、こういう空想の世界を作れるところですよね。僕が子どもを持ってよかったと思うことは、一緒に特撮映画を観ていると、現実の街にいきなり巨大な花が咲いたりするじゃないですか。怪獣映画何かでね。そういう映像を子どもと一緒に観ていると、作りもの世界がとても面白く感じるんです。

●いろいろと今回の作品は、高橋さんの考え方にも変化をもたらしたのですね。

そうですね。昔のリアリストの僕であれば、理解できない題材だったと思うんです。空想的な世界は、飛べるから面白いことがあるわけじゃないすか。鈴木清順にしてもフェデリコ・フェリーニにしても。今50代を迎え、こういう映画に出会うということ。いろいろな作品をやってきて、今この作品の面白さが素直にわかるって素晴らしいなと思っています。

●今日はありがとうございました!メッセージを最後にお願いします。

同世代だけでなく、むしろ10代のみなさんにも観てほしい作品です。伝わるものはあると思いますので、よろしくお願いします。

■ストーリー

母親と喧嘩をした高校生の文也は、勉強もせずに居眠りを始め、気が付くと舞台の上にいた。そばには見知らぬ男がいて、「今日がお前の執念場だ。ここを逃したら一生後悔することになるんだぞ」と進言してくる。やがて、同級生で幼馴染のくるみと、クラスメイトのゆりえが現れる。そして、二人からどちらと付き合うか決めろと迫られる。夢なのか現実なのか理解できない中、男はこれが現実であり、俺は30年後のお前だと話す。そして今いる場所は、様々な思い出を追想し、その時選択した内容を変えられる場所だったのだ。高校生の文也と、30年後の文也。二人は、よりよい人生を送るために、自分の未来を変えることができるのだろうか?

ヘアメイク:鎌田順子(JUNO)

配給:セブンフィルム
製作:『追想ジャーニー』製作委員会
文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業

(執筆者: ときたたかし)

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