井澤詩織インタビュー「アルゴは嘘をつかないキャラクター。誠実に演じることを心がけています」『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ』
第15回電撃小説大賞<大賞>を受賞した川原礫氏による小説『ソードアート・オンライン』シリーズ(『電撃文庫』刊)。 次世代VRMMORPG《ソードアート・オンライン》を舞台に繰り広げられる主人公・キリトの活躍を描いた物語は、 2009年4月の原作小説第1巻発売以来高い人気を誇り、2022年現在、全世界での累計発行部数は3000万部を突破しています。
TVアニメは2012年に第1期が放送、現在まで続く4シリーズ(全97話※1)に加えて、劇場版が2本公開されている。 アニメ放送開始から10年、さらに作品内のゲーム《ソードアート・オンライン》正式サービス開始は、2022年。アニメ『SAO』にとって、もっとも重要な1年が始まります!
2022年10月22日(土)に新たな公開日が決定した 「劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ」は、 10月21日より全国のIMAXシアターで独占先行上映も決定。さらに盛り上がりを見せる《SAO》について、アルゴ役に井澤詩織さんにお話を伺いました。
――いよいよアルゴの活躍が期待出来ますが、本作の台本を読んだ時の感想を教えてください。
前作である『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』の最後にアルゴがチラッと登場して、この後アスナとキリトとどう出会っていくのだろう…と思っていたら、なんともう、ある程度仲良い状態から本作がスタートしたのでビックリしたというのが、正直な感想です。そのおかげで、新しい距離感を作り直さずにアルゴを演じられたことは良かったです。ゲーム内でずっとアルゴを演じてきて、キリトたちと仲良しの距離感だったので、「また距離感を作り直さないといけない?」と思ったら、それが無くスムーズに演じられました。
――前作から“アスナ視点”に切り替わって物語が描かれますが、その事についてはどう感じられましたか?
そうくるか!ですよね(笑)。視点が変わり、新キャラクターも加わって、また新しい《SAO》の世界が描かれていくということが楽しみでしたし、すごく斬新で面白いなと思っていました。
――《SAO》シリーズが10年という節目の年ですが、井澤さんにとって《SAO》というシリーズはどの様子な存在ですか?
テレビシリーズの第一話で別の役で出演していて、アルゴという役柄をいただいてからも、シリカちゃんの使い魔のピナというキャラクターでずっと関わらせていただいています。ガッツリではないですけれど、ずーっと関わらせてもらっていて、しかも大ヒット作なので、意識しながら10年経っていましたね。
10年ってすごいですよね。今テレビアニメーション自体、1クール、3ヶ月で終わってしまう作品がほとんどで、短い時間でさよならしてしまう役柄もたくさんあります。その中で、こうしてずっと同じキャラクターを演じることが出来ることは本当にありがたいことです。
――アルゴというキャラクターを演じる上で一番大切にしていることはどんな事ですか?
アルゴは情報屋で、色々なことを知っているポジションになるので、あまりワタワタしないんですよ。自分がパニックになったりしない。人に何かを説明するシーンが多いので、長台詞も多いのですが、井澤的には「何を言っているのかな?」と思うこともあります(笑)。でも、ちゃんと理解してスラスラ言葉が出てこないとアルゴじゃないから、しっかり理解しようと頑張っています。《SAO》の世界だけの言葉だったり、略称もたくさん出てくるので、初見だと「はて?」となりながら、調べながら読んでいます。
――アルゴは、見た目は動物っぽくて可愛らしいのに、情報屋としてしっかりしている部分のギャップが魅力的だなと思います。
飄々としているのですが、嘘をつかないキャラクターですよね。情報とお金をやりとりしているから、そこに真実があって、「言わないこと」はあるかもしれないけれど、言っていることは嘘じゃないという所が芯だなと。なので、「裏がありそう」と思われない様に演じています。
――どうしても「情報屋」というと、裏がありそう、黒幕だった…という印象を持たれますものね。
そうなんですよね!それがアルゴには無いので。誠実に演じる様に心がけています。
――本作のアルゴ的な見どころはどんな所になるでしょうか?
今回は、何と言ってもアルゴがバトルをしているシーンです。ゲームではバトルキャラクターとして参加していることもありますが、アニメでは初のバトルシーンとなります! 予告編でも少し出ていて、それを観たファンの方がすごく喜んでくれていたのですが、とてもカッコ良くて迫力のあるシーンになっているので楽しみにしていてください。
――《SAO》はテレビシリーズも作画が素晴らしいですが、劇場版になるとさらにカッコ良くて迫力がありますよね。
作画を見て、何を参考に描かれているんだろう?!と驚くほど迫力がすごくて、アニメーターさんって本当にすごいです。「《SAO》って気になっているけれど、今からだと時間がかかるかも?」と思っている方も、前作と本作を観れば4時間でバッチリ世界観が分かりますのでぜひたくさんの方にご覧いただきたいです。
――本作の収録は別々でしたか?
今回は、一緒に収録出来ました!なので、バトルシーンがすごくやりやすかったです。朝から晩までずっと3人でいられたので、「このくらいの熱量でいこう」など、確認をしあって演じることが出来ました。
――井澤さんから見て、戸松さんが演じるアスナの魅力をどんな所に感じますか?
テレビシリーズの時は、アスナって大人っぽい子だなという印象だったんですよね。アスナがどうして《SAO》の世界に入ってきたのか分からなかった分、ミステリアスさがありました。今回の映画シリーズでは、アスナの少女っぽい部分がたくさん出ていて。その少女らしさをとまっちゃん(戸松さん)が絶妙に可愛く演じているので。よりアスナというキャラクターが好きになりました。すぐ泣いちゃう感じとか、こんなに頼りない女の子だったんだなって。
――松岡さん演じるキリトはいかがですか?
キリトくんも、こんなにちゃんとコミュ障だったんだ(笑)って。松岡くん自身も、収録の時に相変わらずしゃべってくれませんでした(笑)。
――その差も面白いですよね(笑)。
とまっちゃんとはずっとお話していました。朝から3人で収録していて、夕方から水瀬いのりちゃんが加わるというスケジュールだったのですが、収録がスムーズに進んでいって。いのりちゃんが入る2時間前に全て録り切ったんです。なので、たっぷりお昼休憩をいただいて、とまっちゃんとは「後輩たちがとても若いね」という話をしました(笑)。
――気になる内容ですね…!
「スフィア」の後輩は「TrySail」で止まっていたのですが、もっと下の子たちがたくさんいて。「もう10代だよ…震える!」ってニュージェネレーションの話をずっとしていました(笑)。
――改めて、「ソードアート・オンライン」というシリーズが世界中で愛されていることについて、井澤さんはどう感じられていますか?
シリーズはもちろん、キリトくんってすごく人気のキャラクターじゃないですか。「自分の中の憧れのヒーロー像」なのだと思います。ここまで、主人公に感情移入、憧れる作品ってなかなか無いんじゃないかと思います。私が普段オンラインゲームをやっていて、ユーザー名を「キリト」にしている人が本当にたくさんいて。みんなキリトくんになりたいんだな!と思いますし、そんなキャラクターを生み出したパワーのある作品だなと思います。
――全世界の方がキリトに憧れて、共感をしているという。
ゲームが強いってカッコいいですよね。私は、レベルMAX状態でワンパンで敵を倒したいタイプなのですが、でもレベル上げが苦手という(笑)。なれるものならキリトくんタイプになりたいです。それか、アルゴの様に情報屋か、回復担当に徹したいです。アルゴの事を見て「なぜ情報屋に?」と思う方もいると思うのですが、私はチームの中のポジションとして情報屋を選ぶことはすごくよく分かります。
――素敵なお話をありがとうございました!最後に、本作と少し離れて、最近の井澤さんのマイブームを教えていただけますでしょうか?
タイのドラマにハマってしまいました。ずっと観ていると、作品を超えて俳優さんを好きになるじゃないですか。そうなると、俳優さんが生きているタイという国もすごく好きになって。なので今タイ語をとても覚えたいのですが、文字も発音もとっかかりがなくてすごく難しいんです! 俳優さんたちが発している単語は少しずつ覚えているのですが、文章になるとなかなか…。この年齢になって新しい言語を覚えたいという、モチベーションをくれて、すごく今楽しいです(笑)。
――ハマったきっかけは何かありますか?
私は一卵性の双子で姉がいるのですが、めちゃめちゃ仲良しなんですよ。2人ともオタクで。姉が2年前くらいにタイのドラマにハマっていて、布教されたのですが、なかなか観る時間がとれなくて。去年の年末にまとまったお休みがとれて、イッキ見したんです。そうしたら、スパーン!とハマっちゃって。最初は『2gether』から始めました。タイのドラマって絵作りがすごく綺麗で、面白いシーンも多いのですが、それも綺麗な画でまとまっているという。タイにはアニメ好きな方がたくさんいると聞いていますし、《SAO》も愛されているらしいので、ぜひ近いうちにお仕事で行かせていただくことが目標です!(笑)
――お話を聞いているだけですごくドラマが観たくなりました!井澤さんがタイに行ける日がすぐに来ますように、私も楽しみにしております。
撮影:オサダコウジ
(C)2020 川原礫/KADOKAWA/SAO-P Project
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