【暗黒ゲーム業界暴露1】発売日前ゲームデータ流出の実態
ゲームデータが発売日よりも早くインターネット上に流出したり、ゲームソフトが発売日よりも早く発売してしまうことがよくある。この記事は、それらのデータ流出やフライング販売についての実態を暴露するものであり、業界のウミがなくなることを願い、報道するものである。
今回は第1回として、ゲームデータの流出について、どういう経路でゲームデータがインターネット上に流出するか実態を説明していきたい。
まず、ゲームデータが流出する経路は3つあるといえる。ゲームソフトを購入し、にインターネット上ユーザーがアップロードさせるケース。ゲーム雑誌編集者や外注のライターなどのマスコミ関係者がインターネット上にアップロードさせるケース。そして、ゲーム開発をしているスタッフやその関係者がインターネット上にアップロードさせるケースだ。取材班が調べた結果、それぞれの流出に特徴があるので、ひとつひとつ解説していこう。
A. ユーザーが流出させる
ゲームユーザーが店頭で購入したり、誰かがアップロードしたものを入手し、コピーをしてさらに第三者に渡すという行為である。このような行為をしているユーザーの多くは「ゲームソフトを購入するのは馬鹿らしい」「ゲームソフトは数日前に入手して遊ぶもの」と思っており、発売日前にゲームソフトやゲームデータを入手することは日常的となっている。ゲーム発売日の前日や前々日に流出するケースは、ユーザーがゲームソフトをフライングゲットしてアップロードしている可能性が高い。
B. マスコミ関係者が流出させる
ゲーム雑誌編集者やライター、デザイナー、そのほか発売日前のゲームソフトをマスコミとして堂々と入手できる人たちがゲームデータをアップロードするケースである。雑誌に掲載するためのゲームソフトはベータバージョンとして、CD-R や DVD-R にコピーされて渡される。カートリッジの場合は、特殊な専用ロムにコピーされて渡される。それらのデータにはコピーガードなどのプロテクトがない場合が多く、あったとしても悪意ある人物に手渡った場合、解除してアップロードされる。とはいえ、ほとんどのマスコミ関係者がモラルを持ち、報道という責任ある仕事をしていることをここに補足しておく。それゆえ、ほんの一握り存在する違反者たちに対して、関係者が怒りを感じているのも事実だ。
C. 開発関係者が流出させる
最近はないが、ゲーム開発をしているスタッフがゲームデータを流出させることがある。おもてだって報道されていないが、いくつか流出していたのは確かである。
『A. ユーザーが流出させる』を防ぐには、屈強なコピープロテクトを施すしか方法はない。しかしゲームメーカーにとってコピープロテクトは、屈強にすればするほど手間がかかり、コストもかかり、そしてゲームの挙動を不安定にさせるので、あまり触れたくない部分ではある。とはいえ、ゲームデータのコピーやアップロードで大きな被害を受けているのは事実で、その部分に対してハードメーカーがソフトメーカーに対して、技術提供や開発協力をするくらいの姿勢で取り組まなくてはならないと考える。
『B. マスコミ関係者が流出させる』に関していえば、ソフトメーカーは『A. ユーザーが流出させる』などのユーザーに対する流出防止よりも力を入れているかもしれない。ゲームを紹介してもらうために発売日前のゲームソフトをマスコミに渡すのだが、その際にどこの編集部にどのゲームソフトを渡したのか、ゲームデータにマークをつけて渡す場合があるのだ。つまり、インターネットに流出した際に、どこの編集部に渡したデータなのか、わかるようにしてあるわけだ。マークはファイル名の場合もあるし、ファイル内容の場合もあるので、マスコミからすれば見当もつかない。
今回、ゲーム雑誌とゲーム開発の両方に携わったことがあるSさんに、ゲームデータ流出に関してインタビューをすることができた。たいへん興味深い内容である。
記者 ストレートに聞きますが、流出させていた編集者はいましたか?
S氏 明確に言うと、インターネットに流す瞬間は見ていませんのでわかりません。しかし……。
記者 しかし?
S氏 ほとんどの編集者が流出させることができる環境下にあります。
記者 というと?
S氏 メーカーから借りた発売前のゲームソフトは誰の目を気にしないでも家に持ち帰れますし、外注のライターにもゲームソフトを渡してしまいます。家でも仕事することはありますし、ゲーム雑誌の仕事ならゲームソフトも家に持ち帰らないといけないですしね。そして、外注にお願いするときは、ゲームソフトを渡すのは当たり前の行為です。
記者 誰でもゲームデータを吸い出して、インターネットにアップロードできる環境なんですね。
S氏 さらにゲーム雑誌の編集部が、編集プロダクションに記事作成の仕事を依頼した場合、編集プロダクションがさらに外注としてライターやゲーマーに仕事を依頼している可能性もありますから、誰でもやろうと思えばやれてしまう状況ではあります。
記者 どうすればそれを防げますか?
S氏 いまのところ無理ですね。マスコミ関係者からのゲームデータ流出はそんなに多いとは思っていませんし、頻繁にあるものとは思っていませんが、関係者のモラルにかかっています。流出はゲームメーカーも危惧していて、ゲームソフトに編集部ごとに、特有のしるしをつけることがありますし、契約書や秘密保持に関する書類にサインさせる場合があります。
記者 ということは、マスコミ関係者からの流出を防ぐための有効なシステムはできていないのですね。
S氏 できてないです。
記者 ゲームメーカーからの流出はありえますか?
S氏 やろうと思えばできますが、優越感以外にメリットがないですよね。今はそれよりも、ゲーム内容に関する情報の流出が問題になっています。どんなシステムになって、どんなハードから発売されて、どこが開発中止になったとか、そういう会社があまり知ってほしくない社外秘情報がインターネットで広まることのほうが問題のようです。
記者 なるほど。ということは、ゲームデータがインターネットに広まる原因は、ユーザーが広めているのがいちばんの原因なのですね。
S氏 そうですね。ゲームメーカーはもう少し、デジタルなものがコピーに最適な存在であり、その宿命から逃れることが難しいということを知るべきです。コピーガードを強いものにするしか、流出を防ぐ方法はないでしょう。誰もがそんなことは知っていると思いますが、それができていない今、それを実現させるしかないと思います。
記者 ありがとうございました。
次回は、ゲームソフトのフライング販売の実態についてお伝えしたいと思う。
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