悪の組織を倒すために必要なものはただひとつ、Aボタンだ!跳べ!倒せ!勝利をつかめ!『JETMAN』!

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Aボタン。そこに与えられる役割というものは実に様々である。

ジャンプ、ダッシュ(高速移動)、攻撃と言ったキャラクターのアクション、コマンドメニューの決定、果てはアクセルに急ブレーキ、武器チェンジから人に話しかけるなど。ゲーム機によってはAと称されていないものもあるが、アクションからRPG、レースにFPSといった幅広いジャンルで、これほど活躍するボタンというのもないだろう。

なら、Aボタンしか活躍しないゲームがあっていいのでは。

悪の組織を倒すために必要なものはただひとつ、Aボタンだ!跳べ!倒せ!勝利をつかめ!『JETMAN』!

……という経緯から作られたのかは完全に謎だが、今回取り上げる『JETMAN』(ジェットマン)はまさにAボタン大活躍のゲームである。ワンボタンゲームとも言える。厳密にはメニュー操作の場面では方向キー、Bボタンを使うが。

だが、あえて強調しよう。本編で使うのはAボタンだけである。
ちなみにキーボード操作時も「A」しか使わない。

ワンボタン特化の文字通りのカジュアル系アクションゲーム

改めて『JETMAN』についての紹介を。本作は2022年7月14日、Nintendo Switch、Windows PC(Steam)向けに発売された「アクションゲームツクールMV」製のアクションゲームである。アーク博士によって誕生した半アンドロイドの主人公「ジェット」が、悪の組織「バイオレッツ」の野望を阻止するため、戦いを繰り広げていくというストーリーだ。

悪の組織を倒すために必要なものはただひとつ、Aボタンだ!跳べ!倒せ!勝利をつかめ!『JETMAN』!

本編はステージクリア形式で進行。プレイヤーは主人公のジェットに扮し、「WAVE」ごとに出現する敵ことバイオレッツの構成員たちを撃退していく。そして、最終WAVEにて現れる強力な構成員、もしくはボスを倒せればステージクリア。次のステージが解禁され、以降はその繰り返しになるというアクションゲーム王道の流れとなっている。

最大の特徴はAボタン(※キーボードの場合はAキー)しか使わない操作系である。そもそも、プレイヤーの操作するジェットは、左右方向に動かせない。
できるのはただひとつ。上方向に向けてジャンプするだけ!

悪の組織を倒すために必要なものはただひとつ、Aボタンだ!跳べ!倒せ!勝利をつかめ!『JETMAN』!

このアクションだけで敵を倒していくのだ。

具体的にはジャンプ時、ジェットは剣を構えた状態で飛ぶ。この飛んだ直線上に敵がいれば、それだけで攻撃が発生する。また、ジャンプの飛距離はAボタンを押した時間(チャージ)の長さに応じて変化。
基本的に長く押せば大ジャンプ、短く押せば小ジャンプとなる。

さらにジャンプが頂点に達すると、ジェットが「ジャンプ斬り」を自動的に繰り出す。構えた剣を振る技で、頂点の位置が上手く重なれば敵に連続攻撃を叩き込み、大ダメージを与えることができる。また、横にも判定が発生するので、頂点の位置さえ合えば、左右どちらかにいる敵にも命中するようになっている。

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こうした攻撃を的確に決め、敵を倒していくというのが基本の戦術となる。なお、敵はそれぞれに表示されたカウントタイマーが0になると攻撃を実施する。この攻撃は回避不可能で、必ずジェットに命中する。また、ダメージを受けると、ジャンプのためのチャージもキャンセル。いちから溜め直す必要も生じる。

一応、攻撃を受けてもダメージは僅かだが、回復手段と機会が限られているので、のんびりやっていると段々とピンチに。そうならないために素早く相手を倒すのも求められたりと、油断ならないバランスになっている。

悪の組織を倒すために必要なものはただひとつ、Aボタンだ!跳べ!倒せ!勝利をつかめ!『JETMAN』!

とは言え、対抗手段も豊富。戦闘中には「ジャンクポイント(JP)」なるものが手に入るのだが、これを消費する形でジェットの攻撃力に防御力、体力のレベルを上昇させられるアップグレード機能が用意されている。

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また、ゲームの進行に応じて「チップ」と「バディ」なるものも解禁。前者はRPGで言う所の「アクセサリー」で、装備することで特定のステータスを底上げしたり、特殊な効果を付与できる。後者はその名の通り相棒となる小型アンドロイドで、回復行動や攻撃などでジェットを支援してくれる。さらにこちらもJPを与えることでレベルアップ可能。攻撃力の上昇と言った強化が発生するので、より有利に戦いを展開しやすくなる。そのようなRPG的な攻略法を容易に試せるので、ダメージ前提の仕様を恐れる必要はなし。

他にも対抗手段では「必殺技」、「オートガード」といったものがあり、これらもゲーム進行に応じて解禁。戦闘のシビアさをそこそこに緩和してくれる。

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できることを制限して手ごわくするのではなく、気軽に肩の力を抜いて楽しむことを重視しており、まさに見た目通りの遊びやすいアクションゲームに仕上げられている。ある意味、文字通りの”カジュアル”を体現した作品と言ってもいいぐらいだ。

すごく”カジュアル”な遊びやすさ。そして、侮りがたいステージ構成

本作の魅力はまさにその”カジュアル”を体現した作りにある。

そもそも、Aボタンに特化した作りからして、紛うことなきカジュアルなのだが。ただ、それに留まることなく、システムから難易度に至るまで、気軽に楽しめることを第一に設計されているのは特筆すべき箇所と言ってもいいだろう。

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特に難易度はその方針が色濃く表れている印象だ。プレイヤーそれぞれの”ちょうどいい”塩梅を自在に定められる、柔軟性の際立つものに設計されている。具体的には強化要素、サポート機能に頼るか頼らないかによる影響が分かりやすく現れるのである。頼りすぎれば適度に易しく、あまり頼らないと厳しくという具合だ。

そして、その加減とタイミングを決めるのは基本、プレイヤー任せ。限界まで強くして暴れ回るもよし、それを早い内にやってしまうもよし、そしてあえて最小の強化に留めるもよしと、適切な塩梅にした上での攻略を楽しめるのだ。

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前述の通り、一部要素は進行に応じて解禁される関係で、最初から最強状態でというのは無理であり、逆に強化なしだと大変な場面もある。だが、推奨レベルみたいな指標はないので、どの時点でどれぐらい強くするかは本当にプレイヤーの裁量で決めてしまっていい。その大らかさが良心的であり、ゲーム全体の気軽さを際立たせている。強化要素自体、そうも真新しいものではないが、そういった「加減は自分で決めて」という自由度には独特の緩さがあり、それがゲーム全体の気軽さと遊びやすさを引き立てているのだ。

正直、上手く伝えられたかは自信がないのだが、遊んでみれば”ちょうどいい”手応えが求められる嬉しさと気負わず遊べる楽しさというのはよく分かる。強化要素があるなら、アクションゲームが苦手な自分も……と思った人ならなおのことよし。きっといい感じの手応えで楽しめることだろう。ぜひ”ゆるりと”挑戦いただきたいところである。

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また、ステージ構成の巧みさにも注目だ。基本的にどこも敵の全滅に終始するのだが、敵のバリエーションが多彩で、同じ展開なのに明確な違いを実感できる作りになっている。

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特に一部ステージの最後に登場するボスは、どれも明確な個性付けが図られていて戦い甲斐がある。使い回しの個体もほとんどいないのに加えて、数も結構いるので、アクションゲーム好きなら思わず唸ってしまうはずだ。

一部、横スクロールのステージが用意されているのも見所のひとつ。「え、横スクロールじゃ左右に動かす必要があるんでは?」と思うかもしれないが、ご安心あれ。移動は全自動。プレイヤーのやることは、ジェットの進行方向をAボタンで切り替えるだけである。途中、敵も現れるが、彼らへの攻撃もまた全自動(接触するとジェットマンが勝手に攻撃して倒してくれる)。Aボタンしか使わないというコンセプトを徹底した作りになっているのだ。

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さらにこのステージは「JP」の稼ぎにも最適で、なるべく強化した上で進めたいというプレイヤーの欲求に応えてくれる作りになっているのも大きな魅力。こうした機会を設けているところにも、本作の気軽さと遊びやすさへのこだわりを感じさせられる。稼ぎが通常のステージに限定されると、時間がかかる構成もあって水増し感が出かねない……というデメリットを踏まえた措置にもなっていて、いかに調整に時間をかけたかを実感させられる次第だ。

他にも本作、ダメージ量を抑えてステージをクリアできれば高評価を獲得できるというような、高度なやり込み要素は一切なし。それも飛距離を調節しながら攻撃するシステムから生ずるストレス(想像通りの距離を飛ばなかったりなど)、気軽に楽しめるコンセプトを踏まえた配慮になっている感じだ。

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まさに全編において”カジュアル”としての筋を通した仕上がり。やり込み要素除外なところには賛否あるかもしれないが、あえてそうしてまで”カジュアル”な遊び心地を追求しているのは非常に潔い。しかも、ステージも敵バリエーションで変化を描く作りに徹しているので、決して温くも印象に残りにくい訳でもないのだから見事だ。

それほどまでに元来の方針を貫き通す姿勢が光る内容。
こだわりとテーマが綺麗に描かれたアクションゲームに完成されているのだ。

若干の不備もあれど、簡単に遊べて抜群のやり応えも得られる秀作

ただ、一部惜しい箇所もある。主にPC(Steam)版に焦点を当てた話になるのだが、若干処理が重い。そのためか、スペックの低いPCでプレイするとコマ落ちも発生しやすい。

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加えて、さすがにこれは不親切と断ずるが、Steamストアページに記されているシステム要件の情報が少なすぎる。OSしか書かれていない。こうも処理に顕著な差が出るなら、CPU、メモリの情報は最低限書いておく方がいいのでは?

同じく「アクションゲームツクールMV」製で、当もぐらゲームスでも前に取り上げた『MEDIUM-NAUT』(紹介記事)はきちんとその辺りの情報を記していたので、参考にしていただければと思ってしまった。

また、攻撃に代表される通り、色々全自動に設計されているのに、途中経過のセーブだけはマニュアル式なのも気になるところ。
しかも、そのような仕様のセーブであることを注意するメッセージもなく、オートセーブに慣れ親しんだプレイヤーが誤認しかねない。欲を言えばオート形式にして欲しかったが、それが難しいのなら注意のメッセージは入れても良かったのではと思ってしまった。

悪の組織を倒すために必要なものはただひとつ、Aボタンだ!跳べ!倒せ!勝利をつかめ!『JETMAN』!
▲これはマニュアルセーブ警告の一例である。(『蒼き雷霆ガンヴォルト』より)

他にキーボード操作時でもメニュー上のボタンアイコンはXboxコントローラのデザインで固定される、ステージごとのWAVE数は可視化しても良かったのではという気になる箇所がある。ジャンプの飛距離が長いか短いかは感覚任せ、ある程度高性能なPCでもフレームレートが30fpsに固定されるのも賛否あるだろう。

ただ、飛距離に関しては専用ゲージが存在した場合、メイン画面中央、ジェット本人に意識が向かなくなりかねないので、逆に無しで正解だったところもあるが。

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それに攻撃命中時には質感抜群の効果音が鳴り響いたり、フィニッシュ時にも派手な演出が挿入されるなど、アクションゲームとしての爽快感はバッチリ押さえている。
全編ドット絵で描かれたグラフィックも鮮やかに加え、音楽もどこかオシャレでカッコイイ楽曲が揃っている。ヒーローモノの王道を押さえたストーリーも味わい深い仕上がりで、キャラクターも特にバイオレッツ構成員たちは濃い面子揃いだ。

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ボリュームもクリアだけで3~4時間、その後も高難易度ステージや強化コンプなどの要素が用意されているので、それなりに長く遊びこめる。前述の通り、セーブシステム周りなどで首を傾げる部分もあるが、カジュアルなアクションゲームという方針を貫き通す仕上がり具合は一見の価値あり。気軽に遊べて、侮りがたいやり応えが得られる良作だ。

全編Aボタン大活躍のカジュアルで熱い戦いを体験してみよう。

[基本情報]
タイトル:『JETMAN』(ツクールシリーズ JETMAN)
作者:モンブランハッチ(※販売:Gotcha Gotcha Games)
クリア時間:3~4時間
対応プラットフォーム:Nintendo Switch、PC(Windows)
価格(税込):¥1,200(Nintendo Switch、Steam共通)

購入はこちら
◇Nintendo Switch
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000054516.html

◇PC(Steam)

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