「満を持して」とはどんな意味?どんな様子から生まれた言葉?その類義語は?
絶好のタイミングのことを「満を持して」と表現することがあります。
しっかり準備を整えて機会を待っていた際などに用いられます。
では、なぜ好機を掴めるように用意することを「満を持す」と表現するのか。
ここでは、この「満を持して」という言葉のいみや用い方、由来や類義語について見ていきましょう。
「満を持す」とは
まずは「満を持して」という言葉の意味や用い方について見ていきましょう。
「満を持す」の意味
「満を持して」とは、十分に準備して待っていた機会が訪れたことを意味します。
「満を持す」ならば、好機を掴めるよう入念に用意することにも用いられます。
特にしっかりと備えて時機が来るのを待つことを言います。
また、最高潮の状態を維持することの表現として使用されることもあります。
「満を持して登場」とはどんな登場の仕方?
満を持すは、「満を持して登場」といった用いられることがあります。
これは、最高の状態やタイミングで要人が登場したという状況を表しています。
映画などで、クライマックスの一番美味しいシーンににヒーローが登場することなどが「満を持しての登場」ということになります。
長年に渡って準備していたものを、ついにお披露目できるという時にも用いられます。
「満を持す」の由来
「満を持す」は、どのようにして生まれた言葉なのか。
その由来は、古代中国の故事から来ているとされます。
由来は、周亜夫という将軍にまつわる「持満」という言葉から
「満を持す」は、古代中国・前漢の歴史書「史記」の周勃世家に出典があります。
その一節にある「軍士吏被甲、鋭兵刃彀弓弩持満」が由来とされています。
前漢の時代、北方の異民族に備えて警備する周亜夫という将軍がいました。
ある日、この周亜夫のところへ皇帝が直々に激励のために訪れました。
その際、兵士は鎧を身に纏い、剣を研ぎ澄まし、矢を飛ばせるように弓は引かれた状態になっていました。
いつでも矢を放てるように弓が引かれた状態が「持満」であり、この様子から「満を持して」という言葉が生まれました。
周亜夫が鍛えた兵士たちの様子が転じて、用意周到に準備することを「満を持す」と表現するようになったというわけです。
周亜夫は「真の将軍」と皇帝に称されたほどの人物!
「満を持して」の由来となった故事には続きがあります。
実は意気揚々と周亜夫を尋ねた皇帝でしたが、門番に命令しても陣営の中には入れてもらえなかったようです。
なぜなら「戦場では将軍の命令だけを聞くように」と、周亜夫が兵士たちを厳しく訓練していたからです。
そのため、例え皇帝の命令でも兵士たちは言うことを聞かなかったのです。
この兵士たちの姿を見て、皇帝は「周亜夫こそまさに真の将軍だ」と称賛したとされています。
「満を持す」の類義語
最後に「満を持して」の類義語も見ておきましょう。
類義語としては「手ぐすねを引く」「機が熟す」などがあげられます。
手ぐすねを引く
「手ぐすねを引く」とは、十分に準備して待ち構えることです。
「ぐすね」とは、松脂を油で煮て練り混ぜたものを指します。
粘着力が強く、かつては弓の弦の補強や滑り止めに使用されていました。
そしてこのくすねを手で塗ることを「手ぐすね」と言っていたのです。
戦いの準備として、弓をいつでも使用できるように「手ぐすね」を引いた状態にしておく必要があったことから生まれた言葉とされています。
機が熟す
「機が熟す」とは、機会を窺って待った末に好機が訪れることを言います。
「機」は物事が起こるきっかけやチャンスを、「熟す」は十分に実っていることを表す言葉です。
転じて、物事が十分な状態になることを表すようになりました。
まとめ
「満を持す」は、好機を掴めるよう入念に用意することをあらわします。
「満を持して」ならば、最高の状態やタイミングで現れるという意味でも用いられます。
古代中国・前漢の将軍の逸話から来た言葉とされます。
その類義語としては「手ぐすねを引く」「機が熟す」などがあげられます。
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