炭田紗季、田村友一郎、流麻二果、新田友美、ホセ・パルラ、カンディダ・へーファー「Best Wishes,」
José Parlá Construction of Time, 2022
ユカ・ツルノ・ギャラリーではギャラリーでの最後の展覧会となるグループ展「Best Wishes,」を2022年6月4日から7月2日まで開催。ギャラリーのクローズが決まった2021年から順に10人の作家の展覧会を開催してきたが、本展のグループ展に参加する6人の作家、炭田紗季、田村友一郎、流麻二果、新田友美、ホセ・パルラ、カンディダ・ヘーファーで最後を締めくくる。2009年のオープンから約13年間、尊敬する16人の作家たちと共にかけがえのない時間を過ごし、お互いに夢に向けて歩んでくることが出来たことの愛と感謝と前途を祝し「Best Wishes,」というメッセージを込めたギャラリーのファイナル展となる。
様々な文化的風景や出来事との距離感などを独特の視点で再構成した油彩画を制作してきた炭田紗季は、旧約聖書の創世記から着想を得た楽園の場面をモチーフとした作品を特有のシニカルさとユーモアをもって描く。
既存のイメージやオブジェクトを起点にしたインスタレーションやパフォーマンスを手掛け、多層的な物語を構築してきた田村友一郎は、ギャラリストが東京からハワイに拠点を移すという一報とその船出に対する神の祝福を込めた新作『青天の霹靂』を展示。
色彩の作家と称され、近年は自然や風景に内在する光や生のエネルギーが生み出す多様性への興味を表現として発展させてきている流麻二果は、パンデミック下の暮らしのなか絵画を必要とした人たちの声に応えるべく描き続けた幾枚もの小さなキャンバスで展示空間全体を彩る。
生命の存在論的な営みとそれを取り巻く無限の世界や曖昧な認識を表現してきた新田友美は、出産を経て生命現象への畏怖、尊さ、不思議、そして奇跡についてより一層考えるようになったといいます。本展ではプシュケ(魂)とソーマ(受肉された生命活動)のメタファとしての鳥や木々にその感覚を託し、キャンバスに描く。
自身が生きる歴史や記憶、経験を解釈し、独自のカリグラフィーと何層にも重ねられた絵の具によって表現してきたホセ・パルラは、絵画中の様々な要素のレイヤーに時間の概念を擬えた新作『The Construction of Time』を発表。
ベッヒャー派の一人として図書館や宮殿など豪奢な建築の室内空間を正面から撮影した大型作品で知られている写真家カンディダ・ヘーファーは、2011年に発表され、その崇高な美しさで人気を博したデュッセルドルフのベンラート城を撮影した小品を展示する。
炭田紗季
1985年岡山県生まれ、2010年尾道大学大学院美術研究科修了。主な展示に「みちをたどる」(瀬戸内市立美術館、2020年)「庭の鉢植えは波をかぶらない」(吹上美術館、岡山、2016年)、「Fuji」(トーキョーワンダーサイト渋谷、東京、2015年)、グループ展に「I氏賞選考作品展」(天神山文化プラザ、岡山、2016年)、「VOCA 2014」(上野の森美術館、東京、2014年)「今日を過ごす方法」(高松市塩江美術館、高松、2014年)。
田村 友一郎
1977年富山県生まれ、日本大学芸術学部写真学科卒業。東京藝術大学大学院映像研究科博士後期課程修了。ベルリン芸術大学空間実験研究所在籍(2013-14)。近年の主な個展に「Milky Mountain/裏返りの山」Govett-Brewster Art Gallery(ニュージーランド、2019年)、「叫び声/Hell Scream」(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、2018年)。グループ展に「Double Vision」(大館当代美術館、香港、2022)、「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」(国立新美術館、2019)、日産アートアワード2017、「BODY/PLAY/POLITICS」(横浜美術館、2016)など。国際展の参加は国際芸術祭あいち2022、ヨコハマトリエンナーレ2020、2019アジア・アート・ビエンナーレ(台湾)、釜山ビエンナーレ2018(韓国)など。
流麻二果
1975年生まれ、女子美術大学芸術学部絵画科洋画専攻卒。2002年文化庁新進芸術家在外研修員(アメリカ)、2004年ポーラ美術振興財団在外研修員(アメリカ・トルコ)。主な展覧会に「その光に色を見る/Spectrum of Vivid Moments」(ポーラミュージアムアネックス、銀座、2022年)、「Re Construction 再構築」(練馬区立美術館、東京、2020年)、「色を追う/Tracing the Colors」(ポーラ美術館、神奈川、2018年)、「高松コンテンポラリーアート・アニュアル vol.05『見えてる風景/見えない風景』」(高松市美術館 、高松、2016 年)、「絵画を抱きしめて」(資生堂ギャラリー、東京、2015 年)。パブリックアート、ファッションブランドとのコラボレーションや、ダンスパフォーマンスの美術・衣装、建築空間の色彩監修など幅広く活動。
新田友美
1978年奈良県生まれ、2001年京都大学法学部卒業、2010年多摩美術大学美術大学卒業。多摩美術大学に入学する以前は米国に渡りコーコラン・カレッジ・オブ・アーツ・アンド・デザインやペンシルバニア美術アカデミーで美術を学ぶ。現在、シンガポール在住。主な展示に「Hanging Garden」(ジャパン・クリエイティブ・センター、在シンガポール日本大使館、2016年)、「Presence: Figurative Painting」(The Morris and Gwendolyn Cafritz Foundation Arts Center King Street Gallery、米メリーランド、2015年)、「Likeness: Tomomi Nitta + Karen Ann Myers」(The Athenaeum Gallery、米ヴァージニア、2012年)、など。
ホセ・パルラ
1973年にキューバ人の両親のもとマイアミに生まれ、10歳より絵を描き始める。サバンナ美術大学とニューワールド・スクール・オブ・アーツにて学び、現在はブルックリンを拠点に活動。大規模な常設作品でその名を知られ、2015年には、ニューヨークのワン・ワールド・トレード・センターのロビーに記念碑的な壁画『ONE: Union of the Senses』を制作。その他、有名な壁画プロジェクトとしてノースカロライナ州立大学の『Nature of Language』やバークレーセンターの『Diary of Brooklyn』(2013年)などがある。作品は世界各国で展示されており、最近の個展に、ブロンクス美術館(ニューヨーク)、Gana Art Nineone(ソウル)、ハイ美術館(アトランタ)、HOCA Foundation(香港)、SCAD美術館(サバンナ)、Bryce Wolkowitz Gallery(NY)、Ben Brown Fine Arts(ロンドン)、ハバナ・ビエンナーレ(ハバナ)などがある。
カンディダ・ヘーファー
デュッセルドルフ美術アカデミーで、オーレ・ジョンに映像を学んだ後、写真をベルント・べッヒャーに師事。これまでクンストハレ・バーゼル、クンストハレ・ベルン、フランクフルト現代美術館、ニューヨーク近代美術館、パワープラント美術館(トロント)、ブレゲンツ美術館、ソフィア王妃美術館(マドリード)、ルートヴィヒ美術館(ケルン)など多数の美術館で作品を展示。2002年にドクメンタ11に参加、2003年にはベニス・ビエンナーレのドイツ館代表をマーティン・キッペンバーガーと共に務めた。現在ドイツのケルンに在住。
炭田紗季、田村友一郎、流麻二果、新田友美、ホセ・パルラ、カンディダ・へーファー
「Best Wishes,」
会期:2022年6月4日 – 7月2日
開廊時間: 火 – 土 11:00 – 18:00
休廊日: 月、日、祝
https://yukatsuruno.com/exhibitions/pr093_my-flower-will-never-die
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