“ビールをおいしくする音楽”公開。博報堂、五感の相互作用でブランド体験を向上させる実験開始
株式会社博報堂のプロジェクトチーム「Human X(ヒューマンクロス)」は、東京大学大学院の鳴海拓志准教授と共同で、クロスモーダル知覚(五感の相互作用)によりブランド体験を向上させる実験活動「Human X Experiment」を開始しました。
近年注目のクロスモーダル知覚
クロスモーダル知覚とは、5つの感覚が互いに影響を及ぼした結果生じる知覚のこと。たとえば、材料が同じかき氷シロップに赤や緑の色をつけるだけで違う味に感じるという現象がその一例です。
近年では、プロダクトデザインにおいて、感覚や体験を自由に設計するためのヒントとして注目されています。
そんなクロスモーダル知覚を活用した独自のプロダクト開発に取り組んでいるのが「Human X」。このたび、クロスモーダルインタフェース研究の先駆的存在である鳴海拓志准教授とともに、ブランド体験向上に資するクロスモーダル知覚の活用法について実証研究する活動「Human X Experiment」を開始しました。
「〇〇×五感体験デザイン」の実験シリーズを展開
「Human X Experiment」では、生活者の日常に関連が深いテーマに沿った「〇〇×五感体験デザイン」の実験シリーズを展開。異なる感覚の組み合わせで、生活をより豊かにする仕組みを感性的・科学的に開発します。
また、活動から得られたクロスモーダルナレッジを企業が持つブランドの“らしさ”とかけ合わせ、生活者の身体性や感情に着目したブランド開発・世界観構築・新事業開発など企業のブランド変革を支援する構えです。
「ビールのおいしさを増幅させる音楽」を公開
今回、活動第1弾の成果として、「おいしさ×聴覚」研究のプロトタイプを公開。既往の学術研究を活用し、科学的かつ感性的なアプローチで「ビールのおいしさを増幅させる音楽」を開発しました。
開発にあたり、注意制御がもたらす感覚増幅に着目。リアルな音の誇張表現で高い臨場感を生み、別の効果音の組み合わせで食感を連想させ、おいしさを増幅させるといいます。
この音楽は、飲む前・ビールを注いだとき・飲んだとき・飲み終わりといった一連のプロセスに合わせた構成。すべてを通して聴くことも、“飲んだとき”だけなど一部を聴くことも可能です。現在、楽曲の音源をSpotifyで無料配信中。また、こちらからはSpotifyへのログインなしで楽曲の一部を再生できます。
「Human X」のプロダクト
「Human X」のクロスモーダル知覚を活用したプロダクトのひとつは、食育フォーク「pacoo(パクー)」。博報堂こどもごころ製作所および公立はこだて未来大学と共同開発しました。
「pacoo」のフォークには、タッチセンサーと加速度センサーを内蔵。子どもがフォークで野菜を刺して口に運ぶと“食べた”と認識してスマートフォンへ信号を送り、アプリから子どもが喜ぶポップな音を鳴らします。これにより、苦手な食べ物を食べるときにも楽しい印象を与えられるようです。
このほか、カリカリ・サラサラなどの“筆記音”を大きく出して書くことを楽しめるボード「Write More(ライトモア)」も開発しています。
(文・Higuchi)
ウェブサイト: https://techable.jp/
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