【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin はな、マルチな彼女の現在のメインはベルモア ムスタングモデル
2009年の結成以来、唯一無二のサウンドとパフォーマンスを追求し続けているGacharic Spin(ガチャリックスピン)。HR/HM、ポップス、ダンスミュージックなど、多彩なエッセンスを融合させて、高度な演奏スキルに裏打ちされた音楽を鳴り響かせているバンドだ。そして、大胆な進化の歴史にも注目させられる。その象徴的存在なのが、ドラム→ドラムボーカル→ギターボーカルという担当パートの変遷を経てきた「はな」。マルチプレイヤーの彼女に、ミュージシャンとしての軌跡と使用楽器について語ってもらった。
■ベース、ドラム、ドラムボーカル、ギターボーカル
■映画にできそうな楽器変遷を経験中
――お母様が歌の先生、お父様がトランペット奏者ですけど、音楽や楽器に興味がすごくある子供というわけではなかったんですよね?
はな:そうでしたね。家にピアノがあって、雨の日に弾いて遊んだりはしていたんですけど、すごく弾きたがる感じではなかったです。ゲームの1つみたいな感じでした。
――ピアノは小3の時から中学にかけて習ったんでしたっけ?
はな:はい。そこで譜面を読むことはできるようになりました。でも、「なんとなく習ってみたいなあ」っていうので始めたので、すごく好きだったという感じではなかったです。
――所属していた児童劇団のお仕事とかで音楽に関連したものはありつつも、音楽に対する特別な気持ちはなかったということですね。
はな:そうなんです。劇団のレッスンの中で歌ったり、ダンスしたりはあったんですけど。でも、歌に関しては、小さい頃は好きだったのかも。5歳の頃に歌ったテープは残っているので。お兄ちゃん、お姉ちゃんに歌わされて、嫌がらずに歌っていたんですよ。その後は歌うのが嫌いになって、小中学校の合唱コンクールとかも歌わないで済むように、なるべくピアノ伴奏をやっていました。
――5歳の頃に歌っていたのは、どんな曲だったんですか?
はな:宝塚の歌、幼稚園で教えてもらった歌、テレビ番組の歌とかでした。『5歳 はな』っていう音源が今でも残っているんです(笑)。ビブラートの真似っこをしたり、ファルセットをやっていたりとか、意外とこじゃれたことをやっていました。
――バンド「12.ヒトエ」で歌うようになってからは、音楽や楽器に対する関心はいかがでした?
はな:「これ、ドラムなんだ? ふーん」っていうくらいでしたね。でも、高校に入ってから楽器に興味を持つようになって、女子中高生12人で組んだブラスロックバンド「12.ヒトエ」の活動がより楽しくなっていきました。
――芸術系の高校に進学したから、授業でもいろいろな楽器に触れる機会があったんですよね?
はな:はい。授業はドラム、ギター、ピアノがありました。ピアノはジャズの先生で、コードや構成音の大事さをたくさん教えてもらいましたね。今のアレンジに活かせている大切なことを学んだのがその頃です。
――ドラムに関しては同じ高校に通っていた青山英樹さんの影響が大きかったそうですね。
はな:そうなんです。入学してすぐくらいの頃に1人で叩いているのを見かけたんです。すごく楽しそうだったので、「あんなに楽しそうに叩くということは、楽しい楽器なんだろうな」って。ドラムは授業でも習って、学校の中で組んだバンドでも叩くようになりました。ドラムボーカルで3ピースのロックンロールバンドをやっていたんです。
――変わった名前のバンドでしたよね?
はな:江戸サリ番長(笑)。最初の頃は江戸サリバンSHOWで、ちょっと経ってから江戸サリ番長に変えたんです。この前、家で探したら英樹とやっていたメタリカのコピーバンドの学園祭のポスターも出てきました。
――バンドを組んで楽器を演奏するようになった高校時代は、音楽が急速に大きな存在となった時期?
はな:そういうことになりますね。振り返ってみると一番勉強して、一番成長が早かった時期です。
――高校に入る前までの時期について、「無でした」って前におっしゃっていたのが印象的だったんですけど。
はな:無でしたね(笑)。無だったからピアノのレッスンに行っても、成長する気があるのかないのかわからない感じだったんだと思います。でも、上手くできないと、レッスンの場で無言で泣いていたんですよ。だから成長したい気持ちはあったんでしょうけど。
――高校に入ってからは歌も好きになっていました?
はな:まだそこまで好きという感じではなかった気がします。嫌いではなくてカラオケに行ったりもしていましたけど、高校の頃は楽器の方が興味がありました。
――高校の時点で、管楽器以外は演奏するようになっていたということですね。
はな:はい。ベースはまだ弾いていなかったですけど。
――高校を卒業してから結成してメジャーデビューした「アルメリア」でベーシストになったという展開は、なかなか不思議です。
はな:メンバーだった英樹に「きっとできるよ」って言われてベースを弾くようになったんです。
――高校時代に始めたドラムも、すぐに上達しました?
はな:わりと8ビートとかはすんなり叩けるようになりました。でも、ちゃんと研究しないと足腰を壊しそうだなとは思っていましたね。だからGacharic Spinに入った時は、「じっくり練習しよう」って思いながらのスタートでした。ガチャピンの前にKOGAさんと遊びでやっていた「平安」というバンドでもドラムは叩いていたんですけど。
――高校を卒業してからは、専門学校で音楽の勉強をしたんですよね?
はな:はい。そこで初めてパソコンを使った打ち込みをするようになりました。
――バンドに関しては「アルメリア」の後に「The Spade 13」でもベーシストとして活動して、その後がGacharic Spinでドラマー。そしてドラムボーカル、ギターボーカル……っていう変遷がドラマチックです。
はな:映画にできそう(笑)。
■Gacharic Spinで本格的にドラムに
――Gacharic Spinでは、ずっとドラマーでしたよね。ドラムに関しては、どういうこだわりを持ってきました?
はな:最初は見た目からでしたけど、高校の頃からTAMAのハードウェアの頑丈な安定感が好きでした。だからペダルとか細かい部品は、当時からTAMAのものをたくさん使っていましたね。スネアに関してはパワーダウンしちゃうのかもしれないですけど、ずっと13×4、ちょっと小さめのものを使っていました。ボスボスした音になるのが嫌だったり、そういうこだわりは昔からありました。
▲人生初、自分で買ったドラム
――スネアのシェルの好みは?
はな:スチールです。木よりもパーン!って鳴るのが好みでした。
▲日本では珍しいノースドラム
――Gacharic Spinではアクリルのドラムセットを叩いていましたよね? LEDが光るやつ。
はな:あれはラディックのドラムセットですね。でも、叩くスネアはアクリルではなかったです。
――2バスを叩いていたこともあったと記憶しているのですが。
はな:DOLL$BOXXでTAMAの2バスのセットを叩きました。2バスは22インチ。それ以外ではツインペダルが基本でしたね。DOLL$BOXXも最初は1バスで、たしか『良い子の日』(※2018年4月15日にTOKYO DOME CITY HALLで行われたTOUR 止まらない 2018 FINAL ~良い子(415)は真似しないでネ~)の時に初めて2バスを叩いたんです。「2バスとツインペダルって全然違うから大変だよ」って脅されていたんですけど、意外と大丈夫でした。良い意味で鈍感なのかも(笑)。
▲寺田リックスピンやDOLL$BOXXで使用。主にレコーディングで使用していた。
――(笑)。ドラマーってセッティングの角度とかに敏感な人が多いですけど。
はな:スネアに関してはそういうのが少しありますけど、昔より何でも平気になっていると思います。今はゆったりとドラムやギターボーカルの練習ができるようになっているので、上手くなっているんです。だからそうなってきているんでしょうね。
――ドラムに関しては、Gacharic Spinでのドラマー時代の後半辺りで改めて勉強していましたよね?
はな:活動9年目辺りですね。そこで初めて先生からちゃんと習って、フォームを180°変えました。独学でやってきて間違っていたことをそこで矯正したんです。
――ダイナミックなドラムプレイと歌をずっと両立させていましたけど、あれは並大抵の人にはできないことだったと思いますよ。
はな:やればみんなできると思います。
――無理です!(笑)。
はな:体力さえ付けばできると思います。苦しいは苦しいんですけどね。
――もともとはドラムだけだったのが、途中からドラムボーカルになったわけですけど、最初からすぐにできました?
はな:最初はひどいものでした。体力も足りないし、ドラムも歌もどっちも不安定になっちゃうし。
――海外公演でドラムボーカルのスタイルを固めていったんですよね?
はな:海外に行く前にサポートボーカルツアーで日本国内を回っていた時期もちょっと歌っていました。そのちょっとでさえ結構大変で、「ドラムボーカルって大変なんだなあ」って。その後にフランスを回りながら少しずつ成長していって、「もしかしたらこれで行けるかも」ってなっていった感じでした。
――ドラムに関してはTAMAからオリジナルのスティックが発売されていますが、これのこだわりはどの辺りですか?
はな:見た目のかわいさもそうなんですけど、ナイロンチップで、音圧が大きいバンドの中でもライドシンバルとかの細かいフレーズが抜けるようにしています。太さに関しては太くも細くもないくらいですかね。太い方が重みでパワーを出せたりするんですけど、歌も歌わなきゃいけないので、あんまり振り回されるのは嫌なんです。
――yuriさんは学生の頃にはなさんモデルのスティックを買ったことがあったみたいですよ。色がかわいかったので買ったらしいです。
はな:それはありがとうございます(笑)。水色は多分、今のところ日本では誰もいないと思います。海外にはあるのかもしれないですけど。
――ドラムのセッティングなどに関しては、大切にしていることはありますか?
はな:私は歌も歌うので、メインのシンバルは伸びは良いけどうるさくないものをセレクトしています。Kジルジャンですね。ハイハットもそうです。アンサンブルのことを考えてシンバル類を選ぶ人もいると思うんですけど、私の場合はマイクの被りも考えないと音がうるさくなっちゃうんです。聴いている人にとってうるさくならないようにしています。
――第5期のガチャピンになってからドラムを叩く機会は少しレアになってきていますけど、久しぶりに叩いてみるとどんな感覚ですか?
はな:おもちゃに触っている感じですね。昔以上に楽しいです。叩くフォームを変えちゃったし、違う楽器に触っている感覚になっているから、新しいし、楽しいです。第5期のメインの形はギターボーカルですけど、これからもたまにドラムを叩くかもしれませんよ!?
――第5期になってからの変化は、プレイのフォーム以外に何かあります?
はな:ビーターをちょっと重くしました。今まではパワーで踏んだり叩く感じだったんですけど、今は振り子を意識するような感覚でやるようになっているので、ビーターの好みもそうなっていますね。
◆インタビュー(2)へ
■そして、現在のギターボーカルにコンバート
――ドラムの追求も引き続き重ねつつ、今はギタリストですよね。青いエレキギターは、第5期になってギターボーカルにコンバートしたタイミングで作ったんですか?
はな:はい。第5期の最初の頃はフリーダムのギターをお借りしていて、「作りたいな」と思って中野サンプラザのワンマンの時に初披露しました。
――作ったギターはムスタングシェイプですね。メーカーは?
はな:ベルモアです。ネックのスケールをPRS(ポール・リード・スミス)と同じものにしていただきました。
――ドロップD用のペグを付けるのも、オーダーの段階で決めたんですね?
はな:そうです。「僕だけのシンデレラ」がドロップDの曲ですけど、全部をドロップDで弾くことはまずないだろうし、今後ドロップDの曲を作ったら私がそっちを担当できますから、それ用のペグを付けることにしたんです。
――ネックのポジションマークのLEDが赤と青に光る仕様は、ガチャピンらしいですね。昔からLEDを様々な形で活用してきたバンドですから。
はな:ギターのどこかにLEDを入れたいというのは思っていました。
――ガチャピンにとってLEDとガムテープは必須アイテムだという印象です。
はな:そうなのかも(笑)。ガムテープも大事ですからね。
――ギターやベース回しのためにストラップをガムテープで固定するのも、お馴染みの仕様ですし。
はな:ギター回しは私は5期ではやっていないんですけど、TOMOちゃんが入院して、彼女の代わりにギターを弾いてライブをした時に回しました。当時のプロデューサーに「完コピして、ソロも完璧に弾いて!」って言われて、入院しているTOMOちゃんのところに「ソロ教えてもらっていいですか?」って行ったんですよね(笑)。
――(笑)。あの時、サポートギターを入れるのではなくて、ドラムをむらたたむさんにお願いしたんですよね? 普通のバンドだったらサポートのギターに入ってもらうだろうし、そっちの方がスムーズなはずなのに。
はな:一応サポートのギタリストを探したんですけど、なかなかタイミングが合う人がいなかったんですよ。
――こうやってお話を聞くと「そういうもんかな」ってなりそうですけど……。
はな:やっぱり何かがおかしいですよね(笑)。その頃はレコーディングのミックス作業をしている時期だったんです。作業をしていただいている間、私はギター回しやソロの練習をしていました。
――ギターソロとギター回しって、ガチャピンにとって同じ重要度?
はな:はい。回すのも大事ですから。
――TOMO-ZOさんもガチャピンに加入した時、「弾けるのはわかってるから」って、ギター回しの特訓から始まったって言っていました。
はな:そうでした(笑)。
――(笑)。第5期ガチャピンでギターボーカルとしてギターを弾くようになって、どのようなことを思いました?
はな:曲作りとかでは前から弾いていたんですけど、お客さんの前でちゃんと弾いたりするようになったのは第5期が初めてだったんです。だから、「どれくらい自分はやれるのか?」という点に関して未知数。楽しめるのか緊張してできなくなるのかもわからず、謎のままライブ初日の沖縄を迎えていました。練習はいっぱいしましたけど、どうなるのかはわからなかったんですよね。
――最初のツアーの時は、手探りが続いている感じでしたよね? ツアーが4月から始まって、5月の渋谷ストリームホールのライブの後にお話しした時、「その内、TOMO-ZOさんとツインソロとか、バリバリやるようになるんじゃないですか?」って僕が言ったら、渋々といった感じの表情ではなさんが「はい……」って言ったのをよく覚えています。
はな:渋々でした?(笑)。最初の頃からツインソロはあったんですけど、「なるべく増やしたくないな(笑)」って思っていたんですよね。でも、その後に増えていきました。
――10月の中野サンプラザのワンマンの時は、ツインソロが増えていましたからね。
はな:あの時は、すごく緊張していました。「ネック折れるかも?」っていうくらい力を入れて弾いていましたから(笑)。でも、ギターボーカルは、もうかなり馴染みましたね。
――ギタリストになって、ギターに関する新しい発見とかはありました?
はな:ギターの知識と経験はまだ浅いんですけど、他の楽器を弾いてきた経験をギターに反映するのも良いのかなと。そんなことを思うようになっています。「本来だったらキーボードが弾くようなフレーズをギターで弾いてるよね?」ってギタリストの大村孝佳さんに言われて、「そうなのかもな」って思いました。
――ギターの見た目に関してはムスタングが好きだから、オリジナルギターもこのシェイプに?
はな:はい。でも、テレキャスも好きなんです。高校の卒業のタイミングでホワイトファルコンを買った時に、オールローズウッドのテレキャスとホワイトファルコンのどっちにするか迷いました。ギターを作った時もムスタングシェイプ、テレキャスシェイプ、ストラトシェイプとか、いろいろ考えましたね。レスポールシェイプはちょっと似合わないかなと思っていましたけど。
――このムスタングシェイプのギター、赤いラインが入っているのもかわいいです。
はな:いろんな色を当ててみて、「赤がいい」ってなったんだと思います。
――ネックのスケールをPRSと同じにしたのは、理由があったんですよね?
はな:そうなんです。TOMOちゃんのギターがPRSで、私も家でPRSも使っているので、弾きやすさを知っているんですよね。それに、ライブでギターがトラブった時にお互いに交換したとしても、いろいろスムーズですから。
――今まで機材トラブルでTOMO-ZOさんのPRSを弾いたことはあるんですか?
はな:自分のギターが完成してからはないかも。だから今後、私がPRSを弾くことがあった時は、「何かトラブルがあったんだな」って思ってください(笑)。
――(笑)。新しいギターが欲しくなったりはしています?
はな:TOMOちゃんが結構ゴンゴンした強い音で弾いているから、底高でライト、シングルコイルにもなるように設定しているのが今のギターなんです。だから敢えてゴンゴンした音のギターを使ってみても面白いのかもしれないですね。
――ホワイトファルコンは前から持っていましたよね?
はな:はい。高校の卒業祝いでお姉ちゃんが買ってくれたんです。もっとギターが上手くならないと恩返しができないです(笑)。これ、70年代のギターなんですよ。当時、ギターのことがあまりわからなかったので先輩に一緒に楽器屋さんに行ってもらって、「これなら値段と良さのバランスがとれてるんじゃない?」ってアドバイスをいただきました。「大きいから持たされてる感が出るかな?」って思ったんですけど、意外としっくりきました。家でデモを作る時とかも弾いてきたギターです。ガチャピンの初期の頃はこのギターを持ってKOGAさんと一緒に公園に行って、弾きながら曲を作っていました。「僕だけのシンデレラ」のMVで弾いているギターも、このホワイトファルコンです。
――アンジェリーナ1/3さんが20歳のお祝いにスタッフさんからギブソンのSGを頂いたそうですし、その内、はなさん、TOM-ZOさん、アンジーさんのトリプルギター編成でステージに立つこともあるかも?
はな:ギター多過ぎ(笑)。かっこ良くなればいいですけどね。アンジーは若くて吸収が早いから、そういう時期にコードとか、いろいろ覚えられたらいいなと思っています。「何か課題ください」ってアンジーから言われたら、ゲームみたいな感じで課題を出したりもしています。私も高校から専門学校にかけての頃に楽しみながらいろいろ吸収したから、今の内にいろいろ勉強できたら良いですね。
――ギターの機材に関しては、足元についても教えてください。今使っているのはkemper(ケンパー)ですね。
はな:はい。2020年から使い始めたんだったと思います。TOMOちゃんが9割、私が1割弾くくらいの配分だった頃まではボスのMS-3だったんですけど、今は半々くらいになってきているので、音を進化させつつ幅を広げたいと思ってケンパーにしました。使っているのはPROFILER Stage。キーを変えたり、ギターでベースやキーボードの音も出せるし、いろいろ楽しくなりそうだなと思ったんです。あと、ボードの左上にボーカル用のエフェクターも置いています。それでケロケロさせています。
――ギターに関するアドバイスをTOMO-ZOさんから頂くことはあります?
はな:TOMOちゃんは、あんまりアドバイスをしてくれません(笑)。でも、彼女が作ったフレーズを聴いて「こうかな?」って耳コピした時に、「こういう運指の方が弾きやすいんじゃない?」っていうのは教えてくれます。
――同じギタリストとして、TOMO-ZOさんのプレイの魅力は、どのようなところにあると感じていますか?
はな:センスも、リズムも、グルーヴも良いんです。「安心感」っていう感じですね。私はまだギタリストとして粗いけど、それでも2人でツインギターでハモったりする時に気持ち良いのは、グルーヴの感じが合っているんだろうなと。これで私がもっとレベルアップしたら、さらに緻密なグルーヴの合い方もしていけるんだろうなと思っています。yuriもそうなんですよね。yuriのセンスの良さは加入当時からわかっていたんですけど。「ガチャピンに入るべくして入ったセンスの良さ」っていう感じかな? そういうものが彼女にはあるんですよ。ガチャピンって「メタラーです」っていうことでもないし、「ずっとポップスしかやりません」っていうことでもないですし、「バラードしかやりません」っていうことでもなくて。幅広くやるにはいろいろな曲のことを知っていなきゃいけないし、柔軟性も必要だし、表現できるテクニックも必要なんです。そういうことに対応できるのがyuriなんですよね。
――yuriさんとアンジーさんが加入してから、はなさんはエアロフォンも演奏するようになりましたが、これはどういう経緯だったんですか?
はな:当時のプロデューサーが「もう一つ何か楽器をやれば?」って言って、ローランドに遊びに行った時に「これ面白い!」ってなったんです。「笛と一緒ならやってみるか」ってやってみたらめっちゃ難しくて(笑)。運指は大体一緒なんですけど、「笛と一緒ではない」ってなりました。届いてからサックスの先生に運指を習いに行ったんですよ。
――これ、元々白色だったのを青色に塗ったんですよね?
はな:そうです。白もかわいかったんですけど、青の方が「はなのです」っていう感じになるのかなと思って。
――管楽器は、もともと興味があったんですよね?
はな:はい。12.ヒトエのメンバーが吹いているのを見て、「楽しそうだな」って思っていました。
――今後も新たな楽器に興味を持って、ガチャピンに導入する可能性はありそうですね。
はな:可能性はゼロではないと思います。
――お父様がトランペット奏者ですから、トランペットとかあり得るのかも。
はな:難しいですけど、せっかく習ったことがあるから、どこかでやれたらいいですね。
――オレオさんと一緒に鍵盤を弾くとかもあり得そうです。
はな:ツインピアノの曲はもともとガチャピンにあるので、そういうのをいずれやっても楽しいかもしれないですね。
――あと、機材に関しては、青色のボーカルマイクを使っていますね。TELEFUNKENのM80。
はな:はい。ドラムボーカルだった時はシンバルとかの音を拾わないように指向性の狭いマイクをなるべく選んでいたんですけど、ギターボーカルになってからはそこまでシビアに考えなくても良くなったんです。福井のライブハウスでTELEFUNKENのマイクを見てかわいいなと思って。音に関してもレンジが広くてきらびやかなので、ガチャピンに合っていますね。
――今回の取材でピックの写真も撮りましたが、オリジナルのものですね。
はな:はい。ウルテムっていう素材だったと思います。アコギとかベースはおにぎり型のピックを使うんですけど、エレキギターはティアドロップやジャズ型が好きで、ジャズ型にしました。厚さは0.88ミリ。あと、ギターに関しては音をキンキンさせないためにゴムのフレットラップを付けました。ガチャピンは音が多いので、ちょっとすっきりさせてみても良いのかなと思って。
――楽器屋さんに行って、「これ使ってみようかな?」とか考えることはよくあるんですか?
はな:高校生の頃はよく行っていましたけど、最近は何かを買うためにしか行かないです。
――ギターとかをいろいろ欲しくなるタイプではないんですね。
はな:そうなんだと思います。もしすごいお金持ちになって自宅に倉庫やスタジオを作れるようになったら、たくさんのギターではなくてたくさんの楽器が欲しいかも。木琴やスチールパンとかもやりたいし、いろんな楽器を弾いてみたいです。琴とかもあってもいいし、いろんな楽器を置きたいですね。でも、それを全部管理して調整できる人もお願いしないといけないから大変ですけど。
――音が出るものが好きですよね?
はな:好きですね。
――ガチャピンのYouTubeチャンネルの企画『楽器を使わずNirvanaの“Smells Like Teen Spirit”を演奏してみた!!』も、自宅にあるいろいろなものを使って音を出していたじゃないですか。
はな:あれも地味だけど楽しかったです。最初の緊急事態宣言の自粛要請があった時期でしたね。たしか打楽器から決めていったんだったと思います。例えば「目覚まし時計のこことここを叩いたらこの音が出る」とか、その音しか鳴らないものをまず決めて、「じゃあ、この音程が使える楽曲を演奏しよう」っていう感じで、それに必要な音を見つけていきました。あの頃は家中のいろんなものを叩いていましたね。「B♭どこかにないかな?」とか思いながら(笑)。
取材・文:田中大
▲Gacharic Spin(後列左より:オレオレオナ、はな、yuri)(前列左より:F チョッパー KOGA、アンジェリーナ1/3、TOMO-ZO)
リリース情報
▲『Gacharic Spin』(左より:【初回限定盤type-A】【初回限定盤type-B】【通常盤】)
メジャー5thオリジナル・アルバム
『Gacharic Spin』
NOW ON SALE
【初回限定盤type-A】(CD+DVD)
VIZL-1920/¥5,500(税込)
【初回限定盤type-B】(CD+DVD)
VIZL-1921/¥4,400(税込)
【通常盤】(CD)
VICL65540/¥3,300(税込)
ライブ・イベント情報
Gacharic Spin LIVE 2022<☆G!G!G!PREMIUM!!>
2022年7月2日(土)@豊洲PIT
◆インタビュー(1)へ戻る
関連記事リンク(外部サイト)
チック・チック・ チック、最新AL『Let It Be Blue』より2曲のアコースティック・セッション動画公開
ジャニーズWEST、<METROCK>で音楽フェス初出演「アイドルに胸張って生きてます」
20th Century、「夢の島セレナーデ」初の配信リリース

BARKS(バークス)は、国内外の最新音楽ニュース、アーティストの動画や画像、インタビュー、ライブレポートをお届けする音楽メディアです。
ウェブサイト: https://www.barks.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。