ドクター・ストレンジの日本語吹替を務める三上哲さんに聞く「ストレンジの弱さや人間的な深みに注目して」
「スパイダーマン」の監督が贈る時間・空間の概念を超えた超感覚ファンタジック・アクション超大作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』が大ヒット上映中です。
アベンジャーズの一員で、最強魔術師としてこれまでのMCU で多彩な活躍を魅せてきたドクター・ストレンジ。天才外科医ストレンジは、事故による怪我で挫折するも、ある出来事をきっかけに過酷な修行を重ね魔術師へと生まれ変わります。
そんなストレンジに迫りくる大きな犠牲と覚悟とは!?マーベル史上最も予測不能で、異次元の壮大な戦いを描いたファンタジック・アクション超大作が、新たなるマーベルの次元の扉をこじ開ける! 今回はドクター・ストレンジの日本語吹替を担当している、三上哲さんにお話を伺いました!
――本作では、これまでと異なる姿のストレンジが登場するということで、日本語吹替を担当する上で大変だった部分はありますか?
観たことの無いストレンジの姿を見ることが出来ますよね。ベネディクト・カンバーバッチさんがどう表現しているのかによって、それに合わせていく感じなので。ディレクターと相談しながら進めていきました。
――三上さん的には難しい一作でしたか?
そこまで大変という感じではなかったですかね。実際、収録になるまでが大変で。Vチェックといって、映像を見て、「ここでブレスだな」とか、「ここで感情が切り替わったな」とか、そういうのをずっと拾っていく作業があり、量が多かったのでそこは大変でした。収録自体はすごく楽しかったです。
――色々な感情が出てきそうな作品だなと予想しているんですが、三上さんは収録していてどんな感情がありましたか?
シーンごとに違いますけど、ワクワクが一番大きいですね。「この先、どうなるんだろう」っていう感じでもあります。アメリカ・チャベスが出てきて、どんな活躍をしていくのかなとか。そして、ウォンとのやりとりも面白かったり、本当に色々な感情ですね(笑)。ハラハラしたり、笑ったり、楽しい作品になっていると思います。
――最初は『ドクター・ストレンジ』という単体の映画があって、ストレンジはそこから様々な作品に登場してきましたが、これらの活躍は予想していらっしゃいましたか?
親しい人にマーベルファンの人がいて、ストレンジは重要な役割だと聞いていたので、ある程度は予想していました。でも映画に携わっていくうちに、アイアンマンもキャップ(キャプテン・アメリカ)もいなくなってしまって、「もしかしてストレンジが今後チームを引っ張っていくのかな?」というドキドキはありました。エンドゲーム後、まだアベンジャーズとしては集まっていないですからね、集まったとき、どういうポジションになるのか…ソーもハルクもまだいますから。
――三上さんがストレンジの声を担当する前のMCUのイメージと、担当する後のMCUのイメージは変化しましたか?
観る前はアクションがメインなのかなと思っていたんですけど、それだけじゃなくて人間ドラマもあるし、それぞれのキャラクターの繋がりもあったりして、人間を深く描いているんだなって。
――特にストレンジは、人間らしい部分が多いですよね。
もともとすごく頭が良かったとはいえ、修行であの力を身につけて…すごいですよね。
――今まで、カンバーバッチさんの作品で他の声も担当されていますけどストレンジを演じるにあたって、違いであったり、工夫している部分はありますか?
大きく変わるところはありませんね。もともとドラマ『SHERLOCK』があって、カンバーバッチさんがストレンジに合うんじゃないかと思ったキャスティングだと思いますし、カンバーバッチさんらしさというのはどの作品にも共通していると思います。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』なんかは、新たなカンバーバッチさんの一面を見たというか、「こんな役出来るの?!」という新しい驚きがありました。
カンバーバッチさんは見た目も知的で特徴的で。まさにストレンジっていう感じが、ハマり役だなと。彼の吹替をさせていただいて本当に光栄です。
――そんなカンバーバッチさんのお芝居に、三上さんの日本語吹替がすごくハマっていらして大好きです。
ありがとうございます。カンバーバッチさんがお芝居で表現している感情を、こちらも拾って体感として自分も同じ状態になって出すという感じですね。「どう彼とシンクロできるか」という所がいちばん大事なのかなと。彼がモノを見たときの見方とか。それを同じように見て同じように心が動いて、音に乗ればいいかなという感じですかね。
――本作はとても情報量が多いと思うので、吹替で観るのは本当におすすめですよね。
カンバーバッチさんは表情が凄く豊かなので、眉毛の動きまで見逃したくない方は、ぜひ吹替で見て欲しいですね。そして、彼は声も良いので、吹替を先に見てある程度、情報が入ってから字幕を見るのがおすすめです。
――三上さんも洋画を見るとき、吹替だったりしますか?
吹替があるものは吹替で見るけど、なんか..落ち着かないですね(笑)これ、誰だ?って先にエンドロールを見ちゃったりして。監督の名前まで気になってしまって、職業病ですね(笑)。
――三上さんがストレンジ以外に好きなマーベルキャラクターはいらっしゃいますか?
アイアンマンが好きです。(藤原)啓治さんのお芝居もすごく好きで。
――系統は違いますがストレンジとアイアンマンは似ている部分がありますよね。頭が良すぎる所とか。
エンドゲームも、ストレンジとアイアンマンのやりとりでラストがガッと展開していくので、すごく痺れました。
――先日のスパイダーマンからマルチバースが本格的に導入されて、ストレンジ先生も大活躍されていますが。マルチバースのどういうところに魅力を感じますか?
やっぱりストーリーが広がりますよね。こっちの世界にいる人間が別の世界でも違う形で存在していて。本当になんでもありになるからこそ、気をつけないと散らかっちゃうと思うし。それを上手にまとめつつストーリーとして可能性を広げているところがすごいなと思います。
――サプライズも増えてファンの楽しみも増えますよね。改めて、本作を楽しみにしている方に、おすすめのポイントを教えてください。
ストレンジの成長に注目していただきたいですね。上から目線で強い感じもありますけど弱さもあったり、エンドゲームを経て人間的にも成長して、人に寄り添うところも出てきたのかな、と。人間的な深みもすごくありますね。
そしてアメリカ・チャベスとういう新キャラクターが大活躍しますので、ぜひ楽しみにご覧ください。
――今日は楽しいお話しをありがとうございました!
撮影:オサダコウジ
(C)Marvel Studios 2022
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