「泣きたくなる」「それでもやっぱり紙がいい」 地震で崩れた本棚に絶望するアラサー女子マンガに共感多数

大きめの地震が発生して、何より心配なのが自宅の本棚……という人にとっては非常に刺さりそうなマンガを、『ショートショートショートさん』(ビームコミックス)のタカノンノさん(@takanonnotakano)がTwitterに公開。日常の不条理と承認欲求を相手に苦闘するアラサー女子ショートさんこと五十嵐樹の自宅が地震で悲惨なことになるストーリーで、「わかる」「泣きたくなる」といった声が続出していました。

※参考記事 「すごいわかる」「涙なしに読めない」 マンガ『ショートショートショートさん』花粉症エピソードが不憫すぎた
https://otajo.jp/97896 [リンク]

職場で地震に遭遇したショートさん。地鳴りで「うわコレでかいやつだ」と全員が感じた瞬間、ガタガタガタガタ…と大きく揺れます。棚から落ちる書類。スマホから鳴り出す緊急地震速報……。「みんな大丈夫ー?」「ウース」「あーあー」「地震かなり広範囲みたい」「久々にデカかったすね」と同僚たちは冷静に話していてさすが日本人!

そんな中、ショートさんは青ざめた表情に……。

「大丈夫?」と心配されて「えっ、いや、大丈夫です。私は何とも。私は」と答えたショートさん。自宅に戻り、恐る恐るカギを開けて入るり電気をつけると……。案の定、本棚の本たちがほとんど床にぶちまけられており、「うああああああ!!面倒くせえええええええええええ」とリアル「orz」状態に。

普通の人なら、「片っ端から戻せばいいじゃん」と思われるところですが、ショートさんは作者名を五十音順に並べて、同じ作者は出版社ごとに、未読本も同じルールに則っており、「考え無しに突っ込んだら本を探しにくくなるし統一感も無くなる」といったポリシーの持ち主……。パンと顔をはたき、「やるしかない!」と気合を入れます。

ページが折れている本を発見して「ひ〜〜〜〜〜ん」と悲しみつつ、「…おっ」と一冊を拾い上げるショートさん。「この小説なつかし!最後に読んだのいつだっけ」とパラパラとめくり、「そうそうこんなだった」と読みふけっていると一時間経過。「片付けろ」と我に返ります。

ところが……。「あーコレまだ読んでなかったなー。もう文庫本出ちゃってるよ…」とまた活字に没頭……。また一時間経ってしまいました……。

ようやく本たちを戻し終えて、「美しい…」と思うショートさん。「あー疲れた」とマグカップを片手にベッドに座ります。「お母さんの“電子書籍にしろ”って考えにも少しは分か」と考えていたところ、同僚が「地震かなり広範囲みたい」と言っていたことを思い出し、「実家…」と真っ青に!

そこにちょうどメッセージが! 「アンタの部屋 こんなになってるけど……」というメッセージと一緒に送られてきた画像には、アパートの約10倍溜め込んでいた本の数々がめちゃくちゃになっている様子が写し出されており、一瞬のフリーズの後で絶望感に襲われるショートさんでした。

「昨年、私の住んでいた地域が大きめの地震に襲われ、本という本が棚から落ち、床に散乱しました。私も小説に関しては作中の主人公のような分類法で棚に並べていたので、同じように復元するのは大変骨が折れました。その時点で何らかの対策をしておけば良かったものをダルさが勝りほとんど何もせずに日々を過ごしていたところに今年再び大きめの地震が起こり去年と同じ目に遭いました。駄目です」と実話をもとにしたというタカノンノさん。「この無念を何らかの形で昇華せねばならぬと思い、悔恨を込めてマンガという媒体に想いを託しました。いいえ、ネタにしてバズらせようと思ってマンガ描きました」とカミングアウトします。

自身、「昔はリストを作って合計冊数を把握していたのですが、途中でメンドくさくなって数えなくなりました。基本的に本は売らないので、溜まる一方です」というほどの蔵書があるタカノンノさんに地震対策について聞いてみると、「作中の主人公がしていたように、横転防止用の安定板を棚の底に敷いています。しかし本自体の対策は、『なるべく本を詰めて棚から落ちにくくする』『ハードカバー等の重い本は最下段に並べる』くらいしかとっていないので、大きな地震が来ると、同じ目に遭うんです」といいます。

本だけでなく、プラモデルやフィギュアを収集している人たちからも「部屋がヤバいことになる」といった感想が寄せられていたほか、本を整理してうっかりと読んでしまうことに対する共感や、「これがあるから電子書籍にした」「それでもやっぱり紙がいい」といった反応が多数集まっていたこのマンガ。タカノンノさんは「同じ目に遭われた本好きの方がたくさんいて、『独りじゃない…』と思いました」といい、さまざまな落下防止対策が寄せられていたことについて、「私は本もCDも実物を所有することが好きなので、とりあえずは現行の体制でいこうと思っています」と話してくれました。

2021年5月に刊行された第3巻では、ショートさんが同人イベントに自作の小説を引っさげてサークル参加する話が描かれている『ショートショートショートさん』。タカノンノさんは「ネット発の個人マンガが巻を重ねることはあまりないイメージなので、3巻も出せて本当に嬉しいです。読者の方に単行本を買って頂けているおかげです」と感謝すると同時に、「4巻目も出したいので、皆さん出版社に続刊の要望してください!」とアピールします。今回の地震エピソードのように、ひとりで働いて暮らす悲喜こもごもがビビッドに描かれているので、ショートさんの日々をこれからも覗いていきたいところです。

※画像はTwitterより
https://twitter.com/takanonnotakano [リンク]

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ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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