音楽ドキュメンタリー映画『スパークス・ブラザーズ』軌跡をスパークス本人に聞く!「“同じ事を繰り返したくない”というのが大きかった」

『ラストナイト・イン・ソーホー』『ベイビー・ドライバー』のエドガー・ライト監督が手掛けた初の音楽ドキュメンタリー映画『スパークス・ブラザーズ』が4月8日(金)より公開となります。

兄ロンと弟ラッセルのメイル兄弟からなる「スパークス」は、デビュー以来、謎に包まれた唯一無二のバンド。レオス・カラックス監督最新作 『アネット』で原案・音楽を務めたことでも話題です。そんな彼らの半世紀にもわたる活動を、貴重なアーカイブ映像やバンドが影響を与えた 豪華アーティストたちのインタビューと共に振り返る本作。映画について、これからの展望について、ロンさんとラッセルさんにお話を伺いました。

【動画】映画『スパークス・ブラザーズ』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=ybYICM-7LHg

――ご自身が主役のドキュメンタリー映画ですけれども、ご覧になって発見であったり、驚いた部分はありますか?

ロン:僕たちは真空状態の中で仕事をしている様なもので、他の人たちがどう思っているのかなんて知らなかったんだよね。今回ミュージシャンに関わらず、コメディアンや俳優、いろいろな人が「スパークスのファンだ」と言ってくれていて、驚きましたし嬉しかったです。

ラッセル:僕たちが意識していたわけではなくて、エドガー・ライト監督が映画を作ってくれたことで副産物的に感じることができたのは、「スパークス」は結果を恐れずにやりたいことを貫いてきたんですよね。もちろん受け入れられないこともあったけれど、多くの人が良いと言ってくれた。若い映画ファンからは、そういった部分が素晴らしいと言ってもらえたよ。「自分の信念を貫く」ということが、実は一番健全な生き方なのだと改めて感じました。

――「自分や、自分の作品を愛する」ということは最近では特に大切にされていることですが、お2人はずっと前からそれを貫かれていますよね。

ロン:そうなんですよね。当事者ってなかなかそれが分からないけれど、今回ドキュメンタリーを通して俯瞰的に見ることが出来て、「これが自分達なんだな」ってある意味感心したんだ。

――エドガー・ライト監督の作品はこれまでもご覧になっていましたか?

ロン・ラッセル:もちろん。

ロン:以前より作品を観ていたし、好きだったから僕らのドキュメンタリー映画を作りたいとオファーしてくれて、すぐOKしたよ。

ラッセル:「人生の3年分をスパークスについて語る時間に捧げる」と監督は決めてくれたんだ。彼ほどの監督がそこまで言ってくれて、嬉しかったと同時に本気?とも思ったよ(笑)。

ロン:先日ディズニーホール(ウォルト・ディズニー・コンサートホール)でライブをやったのだけど、監督がイギリスからわざわざ来てくれたよ。ドキュメンタリーを撮り終わったら熱も冷めるのかなと思っていたのだけど、そんなことはなかった。

――お2人は『アネット』で大きく映画に携わられたわけですが、ドキュメンタリーの撮影中にその話を監督としましたか?何かアドバイスをいただいたことはありますか?

ラッセル:色々と話したよ。『アネット』のベルギーでの海の再現シーンを撮影していた現場にやってきて、そのシーンはこの映画にも入っている。

ロン:『アネット』が完成したことをすごく喜んでくれて、「ハッピーエンドのドキュメンタリーになって良かった」とほっとしている様だった。今まで2本未完のプロジェクトがあったからこそ、喜んでいたよ。

――すごいバンドであるのに、新しいことにチャレンジし続けていて素晴らしいと思います。活動を続ける秘訣はどんな所にありますか?

ラッセル:「同じ事を繰り返したくない」というのが、自分達の中で大きかったのだと思う。『アネット』も9年くらい前から企画があって、最初は映画じゃなくてスパークスの新しいアルバムの予定で、ツアーも出来たら良いなと思っていた。でもたまたまレオス・カラックス監督とお会いして映画という形になったんだ。これからも、音楽と映画という2つのジャンルを融合させた活動をしていきたいと思っていて、今も新しいミュージカルを構想中だよ。」

――何度も日本のインタビュアーに聞かれていると思うので恐縮なのですが…。東京・柴又に訪れているシーンが出てきて感動しました!

ロン:大学の時に日本映画ばかり上映している映画館に通っていて、よく貸切状態で観ていた。そこでは小津(安二郎)監督や溝口(健二)監督の作品なんかがかかっていたのだけど、『男はつらいよ』や『座頭市』により惹かれたんだ。

お涙頂戴な作品はあまり好きじゃないのですが、『男はつらいよ』はあのメロディが聴こえてきただけでグッときてしまう。48作品、プラス『男はつらいよ お帰り 寅さん』という作品があるわけれども、そこまで長く続いているシリーズってすごいなと思う。数年前に巡礼で柴又を訪れたのだけど、この映画でもエドガー監督に「柴又は僕らにとってとても重要な場所だから」とお願いしてロケをしたんだ。

――私から聞くのもおこがましくはあるのですが、ロンさんから見てラッセルさんの、ラッセルさんから見てロンさんの素晴らしい所を教えてください。

ロン:ラッセルはセックスアピールがすごい!自分には無いからね。

ラッセル:(笑)。僕らはこれまで25枚アルバムを出しているのだけど、ロンはその音楽を作り続けていることがすごいと思う。良い音楽を作り続けていて、モチベーションを保っているところがすごいところだなと思います。

――今日は貴重なお時間を本当にありがとうございました!

『スパークス・ブラザーズ』
4月8日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイント他全国公開
監督:エドガー・ライト
出演:スパークス(ロン・メイル、ラッセル・メイル)、ベック、アレックス・カプラノス、トッド・ラングレン、フリー、ビョーク(声)、エドガー・ライトほか
配給:パルコ ユニバーサル映画
©︎2021 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト:https://www.universalpictures.jp/micro/sparks-brothers/ 
公式Twitter:@Sparks_Movie #スパークス・ブラザーズ

  1. HOME
  2. ガジェ通
  3. 音楽ドキュメンタリー映画『スパークス・ブラザーズ』軌跡をスパークス本人に聞く!「“同じ事を繰り返したくない”というのが大きかった」

藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。