兎丸愛美「愛に貪欲になれるキャラクターは初めて」 愛を求めてあがく若者たちの群像劇『きみは愛せ』の撮影で気づいた、演技という表現の深さ

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ヌードモデル、俳優、写真家として活躍する兎丸愛美さんが、愛することにもがき苦しむ若者たちを描き出す群像劇、『きみは愛せ』(公開中)に出演しました。愛を求めてあがく若者たちの絶望とかすかな希望を赤裸々に描く本作で、スナックで働きながら好きな人を待つ毎日を過ごしている凛を演じています。お話をうかがいました。

■公式サイト:https://www.eiganokai.com/kimiaise/ [リンク]

●本作への出演が決まった時、いかがだったでしょうか?

脚本を初めていただいた時、愛に対して深く考えさせられる作品だなと思いました。日常生活で愛について、ここまで深く考えていないんですよね。愛はふわっと感じたり、思ったり、そのくらいの感覚だから、「愛とは何?」とじっくり考えることはなかなかないので、ずっしり重く感じましたね。答えもないなと思いました。

●演じられた凛は、愛を求めるも傷ついてしまう女性でした。

わたしの役柄は簡単に言うと、不倫をしている女の子なんです。そういう設定はこれまでの出演作品にもありましたが、もっと愛に貪欲になれるキャラクターは初めての経験でした。

●不倫は現実世界では歓迎されないですし、肯定もされませんが、映画を通して見つめると、また違った受け止めにもなるなと思いました。

もちろん不倫はいけないことなのですが、登場してくる人物の数だけ、いろいろなカタチの愛があるし、そのうちのひとつが不倫だったわけですよね。ひとくくりに不倫と言ってしまえばそれまでなのですが、わたしが演じる凛にとっては、不倫という言葉を当てはめたくないんですよね。彼女にとってはずっと信じていた愛なんです。結局は不倫なのですが、愛に正解はないなって、本当につくづく思いました。

●演技での表現は難しかったですか?

そうですね。凛ちゃんはとても気を使うタイプなので、たとえばどんな時でも笑顔を崩さない子なんですよね。友だちに強い言葉を言われても、「そうだよねー」とヘラへラしていられる。そういうことを意識的にするんです。空気を壊したくない、友だちが離れていってほしくない一心で。両親がいないので昔から愛に飢えていて、いつも笑っていいたり、明るくしていたりして。そういうことで自分の居場所を作っていく。わたしはそういうタイプではないので、難しかったです。

●どういうタイプなのですか?

自由気ままにあまり空気も読まず、ひとりになりたい時はひとりになるし、怒りたい時は怒ります(笑)。そういう意味では正反対だったので、ふとしたところで凜が崩れないようにはしていました。気を抜くとわたしが出ちゃうので、撮影中は気をつけていました。

●凜の好きなシーンはどこですか?

セックスした後のバーでの会話は、すごく好きですね。自分が出ているシーンのなかでも、「凛だ!」って感じがするんです。そう思われていなかったら恥ずかしいなので自分で言うのは嫌なのですが(笑)、わたしはあのシーンこそが凜っぽいなと、一番凜の本当の姿が出ているなと思いました。

●精神的には大変そうでしたが、ロケ時はいかがでしたか?

全編を金沢で撮影していたのですが、金沢というと美味しいご飯がたくさんあり、2週間の滞在だったので、息抜きにいろいろ行けたらいいなと思っていました。実際は撮影に集中していたこともあり、そんなに出歩く元気は残っていなかったのですが(笑)。

●出演作が続いていますが、俳優の仕事について意識は変わりましたか?

もっと役柄になりきりたいと思いました。まだ理解できないこととか多いし、本来自分のやっている仕事とは正反対のことをやっているので。

ただ、そうは言っても、なりきれないような気がしています。自分がいなくなってしまうことが怖いんです。演技というものが何なのかわからないなか、自分がいなくなると個性がなくなってしまうかも、と思うと怖い。監督が正解を決めてくれのですが、難しいです。ずっとこれからも悩み続けながらやるだろなと思います。

●今日はありがとうございました!

■ストーリー

冬をむかえた小さな町で、どこか物足りない毎日を平和に暮らす3人の男女。リサイクルショップで働く慎一は、やってくる毎日を生きるだけで、それ以外は何もない。自分のことにも将来のことにも無欲な男だ。

慎一の同居人で雀荘で働き「愛だな、愛」が口癖の朋希は時々、慎一に構うことなく女を連れ込みSEXにふけるが、実は 忘れられない女(ひと)がいる。

慎一が想いを寄せる朋希の妹の凛は、「結婚するなら優しい慎さんがいい」と言いながら不倫中だ。

寂しさを埋めるように女を抱く朋希の愛、不倫相手に都合よく抱かれる凛の愛、凛を手に入れようとしない慎一の愛…
3つの不毛な愛は、ある出来事をきっかけに突然揺らぎ始める。

「愛ってなに?」「好きってなに?」
東京から遠く離れた小さな町を舞台に描かれる、痛くて、儚くて、もどかしい、彼らの青春の最終章。

(執筆者: ときたたかし)

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