コロナ禍で家づくりに変化。半数以上が欲する空間や設備とは?

コロナ禍の家づくり、半数以上が「空気環境や換気に配慮した空間」を検討

コロナ禍がなかなか終息せずに、長引いている。こんななかで住宅展示場を訪れた来場者の住宅計画はどう変わったのだろうか? 2021年8月~10月にかけて実施した、総合住宅展示場来場者アンケートの結果から掘り下げてみよう。

【今週の住活トピック】
「総合住宅展示場来場者アンケート 2021調査報告書」を公表/住宅生産振興財団・住宅展示場協議会

コロナ禍の新しい生活様式が家づくりにも影響

まず、在宅勤務やテレワークの状況を見ていこう。
新型コロナウイルス発生・拡大以前(2020年4月以前)から在宅勤務・テレワークを実施していたのは、10.1%だった。これに対し、発生・拡大以降になると40.8%にまで拡大し、調査時点では36.4%が在宅勤務・テレワークを実施していた。

調査結果の「在宅勤務・テレワークを意識した家づくりへの関心度」(関心がある+やや関心がある)を見ると、前年の35.0%から7.7ポイント増えて、42.7%になっている。内訳を見ると、年代や働き方(共働きかどうかなど)による違いと比べて、在宅勤務・テレワーク実施別による違いが大きかった。

特に「関心がある」という回答比率を見ると、在宅勤務・テレワークのみ(通勤0割)が42.9%と最も高く、在宅勤務・テレワーク3割(通勤7割)の23.2%まで順次下がっていく。ただし、「やや関心がある」を含めた“関心度”で見ると、在宅勤務・テレワーク7割(通勤3割)が84.1%(39.7%+44.4%)と最も高くなった。在宅勤務・テレワークの実施経験によって、関心の強さと広がりが異なるようだ。

出典/住宅生産振興財団・住宅展示場協議会「総合住宅展示場来場者アンケート 2021調査報告書」

出典/住宅生産振興財団・住宅展示場協議会「総合住宅展示場来場者アンケート 2021調査報告書」

半数以上が「空気環境や換気に配慮した空間」を検討したい

次に、具体的にどういった家づくりをしたいのかを見ていこう。

「家づくりの際、検討したい空間や設備」で、最も検討したい比率が高かったのは、「空気環境や換気に配慮した空間」の52.5%で、次いで「仕事と家事・子育てを両立できる空間」の40.0%となった。

ただし、年代や働き方などによる違いもある。例えば、「仕事と家事・子育てを両立できる空間」では、若年層(34歳以下)が最も高く、「夫婦がお互いひとりで仕事ができる空間」では、熟年層(50歳以上)が高くなった。家庭に子どもがいる場合の年齢の違いなどが、影響しているのだろう。

また、在宅勤務・テレワークの実施率の高いほうが、「自宅で仕事ができる空間」や「仕事と家事・子育てを両立できる空間」で検討したい比率が高い傾向が見られた。

一方、「空気環境や換気に配慮した空間」はあまり違いがなく、検討したい比率がどの属性でも高い点が注目される。「自宅で仕事ができる空間」などの項目で検討比率の低い、在宅勤務・テレワークはしていない(通勤10割)層では、「空気環境や換気に配慮した空間」56.1%と最も高く、特に空気環境への関心が高いことがうかがえる。

出典/住宅生産振興財団・住宅展示場協議会「総合住宅展示場来場者アンケート 2021調査報告書」

出典/住宅生産振興財団・住宅展示場協議会「総合住宅展示場来場者アンケート 2021調査報告書」

ZEH導入・採用意向は3割弱にとどまる

コロナによる新しい生活様式と同様、住宅業界に大きな影響を及ぼしているのが「2050年カーボンニュートラル」だ。この実現に向けて政府が最も力を入れているのが、ZEH(ゼッチ)住宅。「ZEH」とは、「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」を略したもので、住宅の断熱性・省エネ性能を上げることに加え、太陽光発電などによってエネルギーをつくり、年間の「一次エネルギー消費量」がゼロ以下の住宅のことだ。

調査結果では、ZEHの導入・採用意向を聞いている。「既に導入・採用を進めている」は3.9%、「導入・採用を検討している」は6.2%、「導入・採用したい」は18.7%で、導入・採用意向ありの合計は28.8%だった。

出典/住宅生産振興財団・住宅展示場協議会「総合住宅展示場来場者アンケート 2021調査報告書」

出典/住宅生産振興財団・住宅展示場協議会「総合住宅展示場来場者アンケート 2021調査報告書」

調査ではZEHの認知経路も聞いているが、多くはハウスメーカーの営業担当や展示場と回答している。展示場に来る、住宅検討がまだ初期段階の人にとって、間取りや換気といった、今、住んでいる住宅でも気になっている点に比べて、まだ視野に入っていないのだろう。プランの詳細を検討する段階で、希望に入ってくるのかもしれない。
政府がZEHの普及に力を入れていることもあって、2022年度の税制改正では「住宅ローン減税」などの優遇制度で、ZEHなどの省エネ性能の高い住宅がより優遇されるようになる。こうした状況を受けて、今後は導入・採用意向が高まるのかどうか、注目したい点だ。

見てきたように、長引くコロナ禍の影響などで、家づくりの計画も大きな変化が見られた。これからも、家族構成だけでなく、テレワークや共働きなどの働き方の違いが、家づくりに影響していくのだろう。

○関連サイト
「総合住宅展示場来場者アンケート 2021調査報告書」を公表/住宅生産振興財団・住宅展示場協議会

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