失恋の数だけ忘れられない味がある ドラマ『失恋めし』大九明子監督インタビュー「“ゆるい”描写へのこだわり」「フードロスへの配慮」

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失恋の数だけ忘れられない味がある。主演・広瀬アリスさんがイラストレーターとなり、街の人たちの失恋エピソードをおいしく描き出すドラマ『失恋めし』。Amazon プライム・ビデオにて全10話が独占配信中。

本作は、失恋で心を傷めた失恋人たちが各話ごとに登場し、忘れられない美味しい味のエピソードとともにストーリーが展開。主人公でイラストレーター・キミマルミキを広瀬アリスさんが演じ、井之脇海、村杉蝉之介、臼田あさ美、安藤ニコ、若林拓也がレギュラー出演。各回ゲストには、門脇麦さん、前野朋哉さん、小西桜子、三浦透子、大友花恋、紺野ぶるま、深川麻衣、林遣都と個性的な面々が集結しています。

メガホンをとったのは、『勝手にふるえてろ』(17)『私をくいとめて』(20)などの話題の映画を手掛ける大九明子(おおくあきこ)監督。今回は大九監督に作品へのこだわりについてお話しを伺いました。

――本作大変楽しく拝見させていただきました。登場するお料理がどれもとてつもなく美味しそうでした。こちらは実際にあるお店なのですね。

「おいしそう」と思っていただけて良かったです。本作に関しては、実際にあるお店を使うと決めていました。以前より行きつけのお店もあって、カニクリームコロッケのお店と、酒盗カルボナーラのお店はそうです。

あとは教えてもらったお店に実際に私も行ってみて。第1話に出てくるサバの味噌煮は、真っ黒な姿がすごく衝撃的で、味もすごく美味しかったので、店内で撮影をするには狭いのですが、皆さんに協力してもらい実現しています。

――実際の店員さんが店員さんとして出演されていて、その雰囲気もとてもあたたかいですね。例えば第一話で、荷物置き場の移動がスッと流れる様な動きで。すごく自然で。

皆さんとても素敵ですよね。お店での撮影依頼の許可をいただいた時に、出演もお願いしていて。大体の人が「えー!」と驚くのですが、「普段どおりでお願いします」と。 あのシーンに関しては、「お客さんが移動したら荷物を運んであげることはありますか?」と聞いたら「ありますね」というお話だったので、そのままお願いして。俳優さんに演技や動きをお願いするのとは違う、毎日やっている動作だからこその空気感が出て嬉しかったです。

――ドラマ『孤独のグルメ』も実際のお店が使われていますが、『失恋めし』も聖地巡礼がすごくしたくなりました。料理の撮影で工夫した点はどんなことですか?

『孤独のグルメ』すごいですよね、現場ではよく「“孤独のグルメ先輩”はこうだったよね」とか、スタッフたちで話していました(笑)。俗にいう”シズルカット”みたいなものはもちろん丁寧に撮っていきましたが、本当にグルメ番組である様な、湯気を足したり、角度を細かく調整することは一切なく、皆さんが普段食べているものをなるべく素敵に撮ることを心がけています。

あとは音ですね。私は普段から音の遊びをたくさん入れたい方で、今回は撮影・録音・照明のスタッフさんも、いつも一緒に映画を作っているチームということもあり、食べるシーンに関しては、録音技師の小宮元さんと一緒にこだわりました。映像もそうですが、おいしそうな音にも注目していただけたら嬉しいです。

――Amazon Prime Videoでの配信ということもあり、夜中に観たら本当に“飯テロ”ですよね。広瀬アリスさんもすごく美味しそうに食べられていました。

今回は主演に広瀬さんが決まっていてのドラマ化ということで一緒に作品作りが出来て嬉しかったです。私が「こういう演技はどうですかね?」と一言伝えるだけで、一瞬で芝居が変わっていくので、すごく楽しかったです。あれだけ端正なお顔立ちですが、衣装さんのアイデアや工夫もあって、どんどんゆるいキミマル先生になっていって。

食べるシーンも、広瀬さんが撮影以外の食事を控えてくれていたり、出来るだけ全部食べる様にしてくれていました。もちろんおいしかったこともあると思うのですが、、フードロスについても意識されていて、食べきれなかった分は自分で持ち帰っていました。私自身もとてもフードロスが苦手で、他の現場でも出来る限りロスが出ない様にお弁当の発注をお願いしたり、生ものなど難しい料理以外は私やスタッフで食べたり持ち帰ったりしているので、似ている感覚があって嬉しかったです。

――とても大切なことですよね。私自身もフードロスには危機意識があるので、そのエピソードを伺ってすごく嬉しくなりました。

おいしいものは大好きですし、やっぱり大切にしたいですよね。

――本作はお料理の描写はもちろん、あたたかくてクスッとしてしまう人間ドラマも魅力ですよね。キミマル先生と花屋の青年のストーリーはどの様に作り上げていきましたか?

今回、以前から親しくさせていただいている脚本家の今井雅子さんを呼んで、恋愛部分を一緒に構築してもらいました。今井さんは食べることもすごく好きだし、面白いものを書いてくれる方です。とても忙しい中、ぜひと言って参加してくさって感謝しています。

実は本作のプロデューサー側から「ミキが漫画家になった理由を描いてほしい」というリクエストが来たのですが、そこには反対しました。原作のゆるい雰囲気が魅力だと思っていましたし、恋愛要素があったからって大きな“うねり”が無くても良いのだと。それで方向性を決めていく時に、「毎回、漫画家になった理由は言いますが、どれが本当かは分からない」という着地点になったんです。

――キミマル先生の編集をしている佐藤2号役の臼田あさ美さんの言い方がまた、本当にチャーミングですよね!

臼田あさ美さん、いいですよね。私は本当に臼田さんが好きで、毎回呼びたくなっちゃうんです。今回の佐藤2号という役柄も遊び心があって可愛くて、臼田さんにしか出来ない魅力で演じてくださいました。臼田さんには「いつも面倒な役が来るな」と思われている気がしなくもないのですが…(笑)。本作では、広瀬さん、臼田さん、そして「『トウキョウソナタ』のあの男の子がこんなに素敵に成長して!」とご一緒したかった井之脇海さんと、素敵な役者陣とご一緒出来て楽しかったです。

私は寝る前に配信でドラマを一話だけ見るのが好きだったりするので、皆さんにも寝る前のひとときに見ていただいて、いい気持ちで一日を終えてもらえたらうれしいです。

――今日は素敵なお話をどうもありがとうございました!

【ストーリー】
恋のはじまり⽅は…いろいろ。恋のおわり⽅も…いろいろ。でも、どんなおわり⽅をしても、おなかはすく。
ひとつの恋がおわったとき、元気をくれたのは、あの味だった。
イラストレーターのミキ(広瀬アリス)は、フリーペーパーで“失恋めし”というエッセイ漫画を連載中。失恋の思い出と、それにまつわ
る“めし”の話を集めて描いているのだが、最近はネタ切れ気味で困っていた。ネタになる失恋がどこかに転がっていないかと悩むミキ
は、ある⽇縁結びの御利益がある神社で「いい失恋に巡り合えますように」と⼿を合わせる。すると、思い詰めた表情の⼥性を⾒か
け、後を付いて定⾷屋に⼊り、⼥性の失恋エピソードを聞くことに。これを機にミキは街中で失恋した⼈々と彼らの思い出の味に巡
り合うことに――。

【作品情報】
タイトル︓「失恋めし」(全10話)
配信開始⽇︓2022年1⽉14⽇ Amazon プライム・ビデオにて⼀挙独占配信
放送開始⽇︓読売テレビ2022年7⽉放送予定
出演︓広瀬アリス 井之脇海 村杉蝉之介 ⾅⽥あさ美 安藤ニコ 若林拓也
原案︓⽊丸みさき「失恋めし」(KADOKAWA 刊)
脚本︓今井雅⼦
監督︓⼤九明⼦
⾳楽︓髙野正樹
主題歌︓Homecomings「アルペジオ」(ポニーキャニオン/IRORI Records)

(C)木丸みさき・KADOKAWA/ytv

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藤本エリ

映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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