近年、多くの日本企業が取り組んでいるDX(デジタルトランスフォーメーション)。現代において、企業が成長する為には不可欠なことと言えるでしょう。

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働き方の変化や、新しいビジネスも生まれるなど、様々な変化に対応できるか否かが、企業が生き残っていく為の重要な鍵です。
とはいえ、日本でD Xを円滑に推進できている企業は、まだまだ少ない印象です。

2020年に始まった『GROWTH SUMMIT』(主催株式会社DearOne)は、日本国内におけるプロダクトやサービスの「グロース」を推進するため、グロースマーケティングを実践している企業の事例や最新のノウハウ、フレームワークを学ぶために始まったカンファレンスです。
今年も『GROWTH SUMMIT2021』が、11月17日オンラインにて開催されました。

GROWTH SUMMIT2021
基調講演
DX打開のカギは「データ+組織」マネジメント
~米国の最新動向を自社のDX推進にどう生かすのか~

ゲスト
株式会社圓窓 代表取締役 澤 円
IBAカンパニー 代表取締役 射場 瞬

モデレーター
株式会社DearOne代表取締役社長 河野 恭久

https://growth-summit.jp/?utm_source=dearone_media&utm_medium=owned&utm_campaign=do

基調講演では、株式会社圓窓 代表取締役 澤 円氏、IBAカンパニー 代表取締役 射場 瞬氏をゲストに株式会社DearOne代表取締役社長 河野 恭久氏がモデレーターとして、日本のDXを加速するためのカギは、「データ+組織」マネジメント
をテーマに自由闊達なお話が繰り広げられました。

まず、『グロースマーケティング』という考え方ですが、物の売り切り型から、サービス提供型のサブスクリクションへビジネス形態が変化している現代では、顧客は他のサービスへの乗り換えが容易になり、ベンダー側は、新規の顧客獲得より、いかにして継続してサービスを使ってもらうかが重要になります。

すなわち、解約されない、顧客に必要なサービスであることが大切であり、常に顧客にとって必要とされるサービスである為には、サービス自体も成長し続けなければなりません。
プロダクト・サービスの持続的成長(グロース)にフォーカスしたマーケティング活動が、グロースマーケティングということなのです。
確かに、消費者の立場で考えてみても、サブスクのサービスが溢れる現代では、とりあえず良さそうと思えば気軽に使ってみて、良くなければすぐに解約、気に入ればそのまま使い続けるという利用の仕方になります。更に、新しいサービスを見つけても、そのまま契約中のサービスを使い続けるかどうかを常に比較して選んでいくことを考えれば、提供する側も成長していかねば見限られてしまうことになるわけですね。

従来は、新規顧客を獲得するためだったマーケティングが、これからは既存顧客のニーズを理解し、満足度を高めていく必要があります。年齢、性別、職業のような属性分析では購買行動は予測できず、顧客の行動分析が必要となリます。また、その分析結果も常に動いて変わっていく為、ネクストアクションを導き出す行動理解が不可欠です。

変化の早い今の時代では、データを即座に収集、分析、活用し、適切な施策を常に行う必要があるということになります。
(サイバーセキュリティや組織マネジメントなど幅広い領域のアドバイザーやコンサルティングなどに精通されている)澤さんのお話によると、日本企業のDX化が進まない原因の一つが、アメリカだと6割以上が事業会社者側にITリソースがいて、日本だと7割以上がI Tベンダー側にいる、という構造の違いがあるそうです。
また、人事異動などによりIT知見が蓄積されにくい、I T音痴の人がI T部門を任される。つまり、素人がその会社のテクノロジーの責任者をやっているというような状況があることを指摘されていました。
確かに、日本の企業では、社内にI Tに詳しい人が誰も居ないことや、いきなり全く知識がない部署に異動になる話は珍しくありません。担当になり少し分かってきた頃にまた異動ということも常です。
(米国でのマーケティングの経験が豊富で、最先端技術と情報を活用して、日本企業のDXをサポートしている)射場さんに曰く、データ分析についても、米国では、事業者側にデータサイエンティストなど、データ分析、統計専門の人材がいて、プロジェクトには、そういう人が必ず着いてくれるとのこと。
これは、急にその職業が生まれたわけではなく、そもそも、紙の時代からデータの専門家がいて、そういう人たちが、紙からデジタルに移行したということ。日本は、データベースマーケティングという考え方が元々あまり根付いていなかったということもD X化が立ち止まってしまう一因になっているようです。
また、人材育成の問題も挙げられました。
日本の育成の予算は、新卒に寄りすぎの傾向があり、ビジネスを分かってきた中間層へのトレーニングプログラムが浸透していない状況にあるというお話は私が在籍していたいくつかの企業や、周囲の人たちの話を思い出してもうなずけるものがありました。

スペシャリティを活かせる環境も必要で、何をもって評価するのかを明確にし、評価軸を合意して定着させる、マネージメントの能力がある人は、年齢、勤続年数、性別などに拘らず、マネージャーにして配下に人をつける、マネージャーの適正がなく能力が高いのであれば、個人の給料を上げ責任のある仕事を任せるなど、育て方を柔軟に考えていくことも大切なようです。
曖昧な評価軸では最大限の力を発揮できない結果に陥ることは言うまでもありません。

また、D Xするために部署を立ち上げる必要があるか?という質問に対して澤さんは「DXは全員ごとなので、部署を作ることはいいがその部署任せにしているのでは意味がない。」と答えており、その為には、全員が当事者と自覚し合意していることが大事で、それもまた、評価に入れておく必要があるということになります。
DXに関する日本とアメリカの違いについて、もう一つ興味深いお話がありました。アメリカの企業ではDXを考える時、単に事業の効率化やサービスを良くするなど今やっていることの延長線上ではなく、違う儲け方ができないか?という考え方をするのだそうです。もし、誰もやっていないアイデアを思いつけば、先行者特権でそのビジネスが化ける可能性にも繋がることになります。

日本人は、怒られるのが怖い、失敗したくないという恐怖で、なかなかチャレンジできないところがあります。
射場さんが、自らのアメリカ企業での体験でリスクや失敗を懸念し躊躇した時、「何が怖いのか意味が分からない」と笑い飛ばされたそうです。
失敗してもそれは貴重な経験や財産になるというような考え方の転換もビジネスに於いては大切なようです。
失敗したらどうしようという恐怖を取り除いた時、ビジネスが100倍も楽しくなると言う言葉が印象的でした。
もちろん企業としても失敗を怒れず挑戦していける評価制度など、仕組み作りも大切ということになります。

基調講演の他では、DXに取り組み成長している企業をパネラーに迎えての、DX推進の事例の紹介が行われました。

いずれの企業も、行動分析ツールを使ったデータ分析に基づき、組織やサービスの見直しや、新しい試みの導入などを進め、顧客満足度を上げることに成功しています。いかにして利益を得るかをだけを考えるのではなく、顧客が満足するサービスを模索し提供し、その結果、収益を伸ばすことができたという点が共通していると感じました。

しかし、それに安堵し、顧客のニーズを知るための行動理解の分析、それに対する高速での施策、を続けていくことを怠ってしまえば、そのサービスはすぐに滞ってしまうわけで、まさに『グロース』が大切なのだと改めて実感しました。
ゲスト

澤円様
株式会社圓窓 代表取締役 澤 円
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IBAカンパニー 代表取締役 射場 瞬

モデレーター

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株式会社DearOne代表取締役社長 河野 恭久
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