紅茶にミルクを注ぐか、ミルクに紅茶を注ぐか
今回はメカAGさんのブログ『疑似科学ニュース』からご寄稿いただきました。
紅茶にミルクを注ぐか、ミルクに紅茶を注ぐか
「ニセ科学をバカにする前に ~科学という名の宗教~」 2013年03月23日 『雪見、月見、花見。』
http://snowymoon.hateblo.jp/entry/2013/03/23/213720
「ニセ科学」に対して根拠を出して、否定するとか、反論するならいいんです。そうではなくて、「ニセ科学」に対して「馬鹿だなー」とか「知的レベルが低い」などと罵り、人格までも否定するようなことがマズイんです。
よいことを言っている。しばしば疑似科学を批判している側が疑似科学的なことが少なくない。なので疑似科学批判批判とかが生まれる。
ちょっとまえにtwitterであった「電力発電」批判も、ちゃんと批判している人もいるけれど、多くの人は「エネルギー保存則に反するから間違いだ」と馬鹿の一つ覚えのような批判をしている人の方が多かった。
もちろん電力発電よりはエネルギー保存則の方が現在の科学では支持されている。問題はなぜそれが支持されているのか?を説明できず、「それが正しい科学だから」としか言えない人が、疑似科学を批判しているのが滑稽。
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「代替医療のトリック」 サイモン シン(著), エツァート エルンスト(著), 青木 薫(翻訳) 『amazon』
http://www.amazon.co.jp/dp/4105393057
上記の本にこんなエピソードが出てくる。イギリスでは美味しいミルクティーを作るには、紅茶にミルクを注ぐべきか、ミルクに紅茶を注ぐべきかという論争が古くからあるという。なんか美味しんぼのエピソードでも出てきたような。
ケンブリッジ大学でもかつてこの論争が行われたらしい。一人の女性がミルクに紅茶を注ぐべきだと主張し、逆だと不味くなってしまうという。そして自分は両者の味の違いをきちんと見分けることができると主張した。
多くの科学者は彼女の意見は間違っていると考た。どちらの方法でミルクティーを入れても味は変わらないはず、と。
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そこで二重盲検テストが行われた。本当に彼女は両者の違いを見分けることができるのか? 結果は「見分けられる」であった。確かの彼女はきちんと両者の味の違いを判別したのだ。両者の味は同じであると主張した科学者の方が間違っていた。
この現象は現在では科学的に解明されている。紅茶にミルクを注いだ場合、ミルクの温度が急激に上がりすぎて、ミルクに含まれるタンパク質が変質し酸味を帯びてしまう。
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これが正しい科学のあり方なのだ。一見馬鹿馬鹿しい主張で会っても、検証もせずに安易に「そんなの正しくないはず」という思い込みで否定するのは科学ではない。
「代替医療のトリック」は全体としては疑似科学を批判した本だ。だからこそ疑似科学批判の難しさも語られている。疑似科学を正しく批判するのは難しいのだ。
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そういえばお湯と水のどちらが早く凍るか?という問題もあったな。
「お湯の方が速く凍る?ムペンバ効果」 2011年10月07日(※初出2008年07月26日) 『疑似科学ニュース』
http://nebula3.asks.jp/62394.html
「続・お湯の方が速く凍る?」 2010年02月23日 『疑似科学ニュース』
http://nebula3.asks.jp/22434.html
これも単純に考えれば、お湯というのは温度が高い水だから、いずれお湯は冷めて水になる。そこからは同条件になるのだから、その分だけお湯のほうが凍るのは遅いはず。しかしどうもそれを否定する実験結果も少なくない。
そもそも過冷却現象(0度以下になっても凍らない水)のように、凍るという現象は単純に温度だけに影響されるものではないわけで。
参考サイト:
「第82巻 2話 幻の紅茶 あらすじ」 『美味しんぼ塾ストーリーブログ』
http://oishimbo.jp/modules/weblog/details.php?blog_id=10820201
執筆: この記事はメカAGさんのブログ『疑似科学ニュース』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年04月05日時点のものです。
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