コロナ禍で注目。メモリアルアートの大野屋「リビング葬」とは?
時代の変化により、葬儀は小型化・簡素化が進みつつある昨今。さらにコロナ禍により、少人数葬儀が主流になっている。そんな中、メモリアルアートの大野屋が2005年よりスタートした「リビング葬」に再び注目が集まっている。同社は10月29日(金)、メディア向け発表会を実施。新型コロナウイルスの影響により変化した葬儀のあり方や「リビング葬」について紹介された。
高齢化により小規模な葬儀が増えつつある昨今。メモリアルアートの大野屋が行った葬儀のうち、2010年には家族葬が36%だったところ、2020年には78.7%まで大幅に増加している。
「付き合いや義理などで葬儀に招く人が減少しているのも近年の特徴。さらに価値観も多様化し、より故人・家族らしい葬儀が求められる傾向にあります。一方で、大切な人の死を悼み、送る気持ちは不変であり、最後のお別れの時間を心ゆくまで過ごせるようにサポートさせていただければ」(同社鈴木氏)
この葬儀の小型化・簡素化に拍車をかけたのが新型コロナウイルスだ。三密回避、県をまたぐ移動の制限などにより、家族やごく親しい友人のみで行う「家族葬」、告別式から火葬までを一日で行う「一日葬」も増加傾向。さらに遠方で出席できない人向けに葬儀をオンライン配信するなど、新たな形式も誕生している。
そのような時流の中で、注目されているのが同社が2005年より開始した「リビング葬」だ。これは斎場での通夜や告別式といった一般的な葬送スタイルとは異なり、親族や親しい友人がお別れの時間をゆっくりと過ごすという葬式だ。
故人の人柄を偲ばせる葬式を葬祭ディレクターが演出。さらに別れの空間を彩る花々はフラワーデザイナーが手掛ける。故人を安置する祭壇のすぐそばで、遺族や弔問客がゆっくりと過ごせるのが特徴だ。棺は縦に設置されるので、故人と左右から対面することができる。(宗教者の意向によって横向きに置かれるケースもある。)
さらにコンシェルジュが遺族の身の回りの世話や弔問者への対応を行う。従来の葬式では弔問客への対応などの慌ただしさから、「故人との別れの時間を十分に取れず終わってしまった」という喪主や遺族からの声が多かったと言う。故人との別れに専念できるのも「リビング葬」の魅力と言えるだろう。
祭壇とダイニングスペースが仕切りなく続いているゆえ、“故人を一人にさせず”に遺族が過ごせるのも特徴だ。さらにキッチン、和室、シャワールーム、クローゼットなども完備。家族分の寝具や寝巻き、タオルの用意も可能で、過去には10名が夜間の付き添いをしたこともあったという。
食事は老舗料亭で修行した料理人による懐石料理が提供。見た目も美しい本格料理と共に、家族の思い出を語り合うことができるだろう。
キッチンには電子レンジやコーヒーメーカー、湯沸かしポット、食器類もそろう。もちろんいつでも自由に使うことが可能だ。
洗面台やバスルーム、トイレも完備。自宅同様に過ごすことができる。
開放的なテラスも併設。1組貸切りでの利用となる。外部の人間との接触機会が少なくなるため、新型コロナウイルスの感染リスクの軽減にもつながるだろう。
実際に「リビング葬」を利用した同社の名取氏。生前の(兄)家族の希望によりリビング葬を選んだと言う。
「焼香の時間が限られる一般葬と違い、家族がずっと式場にいられることで、どんな時間でも予定外の弔問客に対応できたこともよかったです。故人に感謝の気持ちを捧げ、別れの言葉を伝えるには、ゆったりとした時間と空間が必要であることを実感しました」(名取氏)
さらに利用客からは「自宅と同じ雰囲気で、思い通りの葬儀をあげることができた」「家にいるような感覚で、寝ている母(故人)と最後の時間を過ごせた」「アットホームな空間で落ち着けた。スタッフの優しい気遣いにも感謝している」と言う声が寄せられていると言う。
「リビング葬」は同社の東京都小平市の「フューネラルリビング小平」、神奈川県横浜市の「フューネラルリビング横浜」で利用することができる。式場使用料は2日間33万円~(税込)。“終活”が決してネガティブなものでなくなった今。安心して未来を過ごすためにも、一度葬儀について考えてみるのも良いかもしれない。
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