【山形・ながい百秋湖】ボートツーリングで絶景を至近距離で堪能
こんにちは。写真家の大村祐里子です。自然を満喫してリフレッシュしたい! と思ったので、その願いを叶えられそうな秘境への旅に出ることにしました。向かうのは山形県。「ながい百秋湖ボートツーリング」や「赤湯温泉」などを楽しむ列車旅です。
東京駅
東北新幹線で赤湯駅へ
JR東京駅から東北新幹線「つばさ」に乗車し、約2時間20分でJR赤湯駅へ。「つばさ」の車体は雪国を想起させる、かっこいいカラーリングです。
東京を出たときは曇っていましたが、赤湯駅に近づくにつれ、お天気が良くなってきました。鮮やかな青色をした空に、わくわく感が募ります。
赤湯駅
赤湯温泉街へ
赤湯駅で下車後、徒歩で赤湯温泉へ向かいます。駅からは一本道なので、方向音痴の私でも安心。のんびりした雰囲気の住宅街を歩いていきます。
約30分歩くと「歓迎 赤湯温泉」と書かれた石碑にたどり着きました。その先にある橋を越えると、いよいよ赤湯温泉街です。
龍上海赤湯本店
龍上海赤湯本店でラーメンランチ
赤湯温泉のある南陽市はラーメン激戦区! たっぷり歩いてお腹が空いてきたので、地元で大人気だという「龍上海赤湯本店」でラーメンをいただくことにしました。
辛いものが好きなので、一番人気の「赤湯からみそラーメン」を注文しました。
鶏ガラを中心に、肉、魚介をふんだんに使って煮込んだスープはとても濃厚で、モチモチした太麺によく合います。そこに、地元産の唐辛子でつくった辛みそを溶かすと、ピリっとした刺激と、さらなる旨みが口の中に広がって、たまらない味わいに。適度な塩気が絶妙で、毎日通いたいと思うほど、クセになるお味でした。
烏帽子山八幡宮
烏帽子山八幡宮で石造大鳥居をくぐる
食後は、龍上海赤湯本店から歩いて約10分のところにある「烏帽子山(えぼしやま)八幡宮」を参拝することにしました。急な階段をがんばって上ります。
階段を上がりきった先には、南陽市の指定文化財である「石造大鳥居」がそびえ立っていました。1903年(明治36年)に建てられたこの鳥居は、高さ約10.75メートルと国内有数の大きさであり、しかも柱石は、継ぎ目のないひとつの石材からできています。突然現れた白くて美しいその鳥居に、しばらくのあいだ見入ってしまいました。
酒井ワイナリー
県内有数のぶどうの産地・南陽市産のワイン
古くからぶどうの栽培が盛んな南陽市。中でも、赤湯温泉は歴史ある小さなワイナリーが5つも集まっている、ワインづくりの街なのです。
烏帽子山八幡宮を出て「温泉街への近道」という看板に従って約3分歩くと、赤湯温泉にあるワイナリーのひとつ「酒井ワイナリー」にたどり着きます。こちらは創業1892年(明治25年)、東北最古のワイナリーです。童話に出てきそうなかわいらしい外観に惹かれ、店内へ。
こちらで販売されているワインは、自社の畑で栽培したぶどうなどを使用して、昔ながらの製法でつくられているのが特徴。パッケージもおしゃれで素敵。ワインには目がない私は、赤ワインを2本購入しちゃいました。
上杉の御湯 御殿守
上杉の御湯 御殿守で赤湯温泉を堪能
酒井ワイナリーから歩いて約1分のところにある「上杉の御湯 御殿守(ごてんのもり)」。こちらが本日のお宿です。こちらは、第二代米沢藩主・上杉定勝公の時代以来、上杉家の別荘「赤湯御殿」として利用されてきたという、由緒ある名宿です。
名物は、なんといっても名藩主・第九代上杉鷹山も終生愛したという赤湯の名湯!
大石風呂「龍神の湯」や源泉枡風呂など5つのお風呂からなる「東湯」エリア、青森ひば丸太風呂や源泉樽風呂など6つのお風呂からなる「西湯」エリア、そのほかに貸切風呂も。多彩な湯殿で「十二湯めぐり」が楽しめます。
100トン余りある目透き石をくりぬいた湯船の大石風呂「龍神の湯」。
樹齢約450年のひば丸太を使った、青森ひば丸太風呂の湯船。
明るいうちから、温泉につかれる幸せといったらこの上ありません。趣の異なるお風呂がたくさんあって、新しいお風呂につかるたび、アトラクションを楽しんでいるような気分になりました。
戦いで傷ついた身体を湯に浸したところ、たちどころに傷が治ったという伝説のある赤湯温泉。お湯につかってぼんやりしているだけで、たちまち身体の疲れが癒やされていくのを感じました。
資料室「時の倉」には、上杉家にまつわるさまざまな資料が展示されています。中でも、上杉謙信、直江兼続、伊達政宗、真田幸村などの甲冑(レプリカ)の展示は圧巻の迫力!
夕食では、米沢牛の石焼きや山形牛のすき焼き、山形米など、山形ならではの食材をふんだんに盛り込んだ会席料理をいただきました。前菜の、梅のペーストが添えられた黒ゴボウは、上杉鷹山公が熾(おこ)した炭火をイメージしているそうです。
個室だったので、時間の流れを忘れ、ひとつひとつのお料理のストーリーや食感を心ゆくまで味わうことができました。
美味しいご飯に舌鼓を打ったあとは、落ち着きのある和室でのんびりと過ごし、そのまま就寝。極楽極楽。
長井駅
フラワー長井線に乗って長井駅へ
2日目の朝は、徒歩で赤湯駅に戻り、そこから山形鉄道フラワー長井線に乗車。花柄にラッピングされた車両がカラフルでかわいらしく、思わずパシャリ。
フラワー長井線に揺られ、約30分で長井駅に到着です。
ながい百秋湖
ながい百秋湖でボートツーリング
長井駅からタクシーに乗り、約15分で「野川まなび館」に到着。館内でボートツーリングの手続きを済ませ、そこから送迎バスで約15分。本日のメインイベントである「ながい百秋湖ボートツーリング」の開催地である、長井ダムに到着です!
ながい百秋湖は、長井ダムによりできた湖です。ボートツーリングでは、ながい百秋湖の素晴らしい景観をボートに乗りながら楽しめます。
ライフジャケットを着用し、ゴムボートに乗船して、いよいよボートツーリングに出発!
乗船中は、随時音声案内が流れます。さらに、代表の佐藤さんが補足で説明をしてくださるので、美しい大自然を堪能しながらも、それにまつわる歴史や知識をたくさん学べます。
屋根のないゴムボートなので、雄大な自然を大パノラマで感じられます! ところどころ聞こえる滝の音も心地よいです。
ボートツーリング1番の見どころは、ながい百秋湖の最も上流部にある「三淵(みふち)」と呼ばれる深い渓谷です。その三淵に差し掛かろうとした瞬間、周りが急に暗くなり、涼しい風が吹き始め「明らかに空気が変わったな」と思いました。
三淵には水神様がいらっしゃるとのことで、立ち入る前にボートの上から手を合わせました。
三淵渓谷は、ボートが一艘通り抜けられるくらいの幅しかなく、高さ50mほどの断崖絶壁が、約250m続いています。聞こえてくるのは、ボートが静かに進む音と、鳥の声だけ。「静謐(せいひつ)」という言葉がぴったりな場所だと思いました。
真横まで迫ってくる断崖に圧倒されながら、岩肌に滴る水を眺めていると、心がどんどん澄み渡っていくのを感じました。美しい、を超えて神秘的ですらあるこの場所を、私は一生忘れないでしょう。
1時間ほどの乗船時間でしたが、夢中で景色を眺めていたらあっという間でした(※)。
※編集部注:2021年9月現在は感染症対策のため、一艘貸し切りでの運行のみ。6名まで乗船できて、一艘12,000円(税込)より(7名以上の乗船など、詳しくはこちら)
ボートツーリングのあとは、再び送迎バスで野川まなび館へ戻り、タクシーで長井駅へ。
道の駅 川のみなと長井
「道の駅 川のみなと長井」でお土産購入
長井駅から徒歩約10分のところに「道の駅 川のみなと長井」があります。そこで「うさぎ玉」というお土産を購入しました。
うさぎ玉は、こうせん(大麦の粉)とクルミを入れて練りこんだあんこを、砂糖の層で包みこんだお菓子です。外側はカリっと、中はしっとり柔らかく、お茶のお供にぴったりな味わいです。
お土産を買ったあとは、徒歩で長井駅まで戻り、そこからフラワー長井線に乗って赤湯駅へ。赤湯駅から東北新幹線に乗車し、東京駅へと戻ります。
今回の旅では、当初の目的通り、大自然を満喫して、思いっきりリフレッシュできました。旅程もゆったりとしていたので、のんびりと気楽に過ごせて、帰りの新幹線の中では心がすっきりと軽くなっているのを感じました。
東京駅
掲載情報は2021年9月29日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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