アスリートの動きを体感できる公園など、世界から「スポーツとテクノロジーで、壁を超えるアイデア」集う! パナソニックSPORTS CHANGE MAKERS最終プレゼン開催
東京・有明のパナソニックセンター東京で8月23日、「SPORTS CHANGE MAKERS」最終プレゼンテーションが開催された。
「SPORTS CHANGE MAKERS」は、パナソニックが国際オリンピック委員会と国際パラリンピック委員会の協力を得て開催したコンペティション。
今回は「GOING BEYOND BARRIERS」がテーマ。アメリカ、中国、欧州、日本の大学生から「スポーツとテクノロジーで、壁を超えるアイデア」を募り、予選を勝ち抜いた国・地域の代表が最終プレゼンテーションに登場。
イベントには、アドバイザーとして国際オリンピック委員会(IOC)・国際パラリンピック委員会(IPC)、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(TOCOG)の代表者が参加しており、学生らは自身の言葉でアイデアを代表者らに披露した。
また今回発表されたアイデアは、今後のオリンピック・パラリンピックでの採用を目指しパナソニックが全面的にバックアップをするという。
▲「Mirror Field」で再現した会場とオンライン参加者たち
イベントはYouTube、Twitterなどや、パナソニックが協力企業とともに共同開発したバーチャルイベントモデル「Mirror Field」で配信した。
「Mirror Field」では、ネット上にバーチャルで会場を再現し、参加者はアバターを使いイベントに参加することができる。
また、リアルとバーチャルの両会場で、学生アイデアを表現したデモ展示も行った。
▲最終プレゼンテーションに参加した学生やアドバイザー
午前に行われた第一部では、中国代表のアイデア「異文化交流がしたい旅行客と現地の人々が、異文化コミュニケーションを簡単に楽しめるようになるための自転車」や、アメリカ代表のアイデア「聴覚障がい者がスタジアムでの観戦を楽しむための、聴きたい情報をビジュアル化するヘッドセット」がプレゼンテーションされた。
▲レフェリーの動きや判定を翻訳し、視聴者に競技の面白さを伝える(欧州代表のアイデア)
続いて午後に行われた第二部に登場した欧州代表は、「スポーツを観戦するものの、競技のルールや知識が乏しく十分に楽しめない人の為に、レフェリーの動きや判定を翻訳し、視聴者に競技の面白さを伝えるアプリ」を発表。
レフェリーの動きなどをモーションセンサーなどの技術を活用し翻訳することで、スマートフォンやPC、タブレットなどの画面に表示。ゲームなどのルール解説コンテンツなどと併せてわかりやすく伝えることで、競技への理解が深まりより楽しめるようにすることが狙い。
▲走り幅跳びの選手の跳躍の軌道を再現したオブジェ
欧州代表に続き登場した日本代表の横瀬健斗さんが発表したアイデアは、「公園で遊ぶ子どもたちに、スポーツを見るだけではなく、体験して感じてもらうために、アスリートの『動き』を体験できる遊具や設備が常設された公園」。
横瀬さんが考える新しい公園は、「4年に一度だけでなく、人々がオリンピックやパラリンピックの雰囲気を日常的に味わえ、オリンピック・パラリンピックを見るものから体験するものへと変える公園」だという。
公園内には、アスリートの動きを取り入れた遊具が設置されており、子どもたちが遊具を通してアスリートの動きを体験することができるようになっている。
具体的には、高跳びの選手の山のようなカーブを描く跳躍の軌道を取り入れた滑り台や、水泳選手たちのリズミカルな動きを再現した飛び石、走り幅跳びの選手の跳躍の軌道を再現したオブジェなど。スマートフォンなどを通してそれらの遊具やオブジェクトを見ると、アスリートの動きが画面に映し出されるようにする。
今回のイベントでは、走り幅跳びの選手の跳躍の軌道を再現したオブジェのミニチュアが会場に設置された。
オブジェクトの制作は、パナソニックの映像機器技術を活用しアスリートの動きを撮影し、記録された膨大な2次元映像アーカイブから3次元データを抽出し作り上げた。
アドバイザーとしてイベントに参加していた東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 アドバイザーの澤邊芳明さんはミニチュアを見て、「人はこんな飛ぶの? これ見るだけでも凄い迫力。これが実際に実寸台であったら物凄いと思う。感動しますよね」と熱い反応を示した。
▲スマートフォンなどの電子機器を使って体験を拡張させる
プレゼンテーションの後に行われたディスカッションでは、国際オリンピック委員会 テレビ&マーケティング部門 マネージングディレクター/ティモ・ルメさんが横瀬健斗さんのアイデアに対して「心を奪われた。スポーツと文化が融合しているプレゼンだった」と反応したほか、国際オリンピック委員会 Young Leader /クリステル・サネさんが「人の動きをオブジェクトに作り変えていくというのは私が知る限り初めて。本当に素晴らしいアイデア」と絶賛。
パリオリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会チーフコマーシャルオフィサーのマルレーヌ・マズールさんは、「パリ2024に向けて、パリという街がオリンピックパークになりうるということにつながっていくのではと感じた。このアイデアがどこかの時点で息を吹き込まれて、パリで何かしら形になればと思う。どのようにそこまで持っていくかの回答は今わたしにはないのですが、アイデアとして本当に気に入りました。我々にとっても大切なコンセプトだと思う。横瀬健斗さんとパリ2024の文化担当者とつながりを作って、ぜひ何か形にしていきたいと強く思った」と呼びかけた。
▲アイデアについて説明する横瀬さん
イベント後の質疑応答では「各国代表のアイデアをご覧になって、テクノロジー×スポーツでバリアを超えていく可能性についてどう感じたか?」との質問に、アドバイザーの澤邊芳明さんは「各国どの案もデジタル技術をうまく使いながら、いかに観戦体験を拡張させるかというものが多くて、すごく面白かったし学びがたくさんあった。横瀬さんの案が良いと思ったのは、デジタル技術を使いながらもアナログ表現でアウトプットしているところから、もう一段階のひねりがあるところ。東京大会に向けていろんなオリパラ競技の技術的革新が起きていて、いろいろなチャレンジがあったと思うが、その中でデジタルで終わるだけじゃなく、アナログというアウトプットに最終的に形を変えてきたのは、かなり評価して良いのでは。そういう可能性を見せてくれたので、面白かった。今後への新たなる視野が開けたのでは」と感想を述べた。
イベントの最後には、パナソニック執行役員の森井理博さんが「パナソニックがオリンピック・パラリンピックのスポンサーになった理由は、グローバルでの世界平和に貢献するものというオリンピック憲章に共感したから。我々の哲学として、どうやって理想的な社会・世界に近づいて行けるかを常に考えている。その意味で我々の哲学はオリンピック憲章と似ている。オリンピック・パラリンピックを適切に理解するということが重要だと思う。それに伴って参加者を広げていくということも重要。このようなイベントのスポンサーになれて大変光栄だと思っている。ありがとうございました」と締めくくった。
取材・文/伊東秀明
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