【長野・列車旅】別所線の赤い橋・千曲川橋梁と廃線跡を巡る
ご乗車ありがとうございます。鉄道番組や鉄道コントなどでお世話になってます、お笑い芸人ななめ45°岡安章介です。みなさん、初めまして。
2019年10月に台風19号の豪雨で崩落した上田電鉄別所線の千曲川橋梁が、2021年3月に完全復活したということで、お祝いを兼ねて長野県上田市へ。別所線の橋から端、現在から過去の廃線跡まで堪能しにいきます。
東京駅
信州上田に向けて、いざ出発進行
朝6時過ぎ。JR東京駅。朝日を浴びた北陸新幹線E7系に乗り込み出発。
約1時間35分でJR上田駅に到着。
さすが! 名将「真田家」発祥の地。いたるところで真田家家紋の六文銭がお出迎えしてくれます。
上田駅
「祝」は赤い橋復活だけではなかった!
別所線上田駅のホームでは、元東急1000系、東急赤帯車両が待っててくれてます。
こちらのヘッドマークに100周年……ん? 別所線100周年!?
そうなんです!
別所線は1921年(大正10年)に開業し、廃線危機や台風被害などを乗り越えて2021年6月に100周年を迎えました。赤い橋復活に続いて、こんなにめでたいことが!
乗車。上田駅を出発してすぐの左カーブを終えると、赤備えの立派な鉄橋が見えてきます。
まるでどんな困難にも屈しない兵(つわもの)・真田幸村の甲冑のよう。千曲川をゆっくりと轟々と渡ります。
台風では、別所温泉駅側の橋のたもとが崩落しましたが、今はしっかりと修復されて平々と列車が通過して行きます。この先も沢山の人々を乗せた列車がここを通るんだなぁ。
復活おめでとうございます。
千曲川橋梁
間近で千曲川橋梁を堪能
上田駅から1駅隣の城下駅で降りて徒歩約10分、別所線千曲川橋梁のたもとへ。
復活した橋は、従来の部品の約8割を再利用したといいます。とても壮麗で鮮やかな真紅。
千曲川、上田盆地を囲む山々にとにかく映える。
橋と列車を無心で撮りましたよ。
さぁ城下駅に戻り、再び列車に乗り込み下之郷駅へ。
下之郷駅
下之郷駅でサプライズが!
下之郷駅のある塩田平地域には、「信州の鎌倉」と呼ばれるほど神社仏閣、国宝、重要文化財が点在。歴史、神社、寺、史跡巡りが好きな方にもおすすめです。
下之郷駅に到着。信州の鎌倉の名に恥じぬ神社を模した駅舎は存在感がありますね。
駅舎を撮影していると……まさかのサプライズが!
別所線開業100周年の記念と、塩田平地域を中心とする文化財群の日本遺産認定1周年を記念したラッピング車両が登場! ラッキー!
デザインは、塩田平に伝わる雨乞いの儀式にちなんだ「塩田平に進む龍」を表現しているそう。
下之郷駅
廃線跡。ひっそりと残る旧上田丸子電鉄ホーム
ホームの斜向かいには旧西丸子線のホームが残っています。西丸子線は、ここ下之郷駅を起点に南東へ進み、現在の上田市塩田地域と上田市丸子地域を結んでいました。
上田盆地を走っていた過去の路線図を上田市ホームページで見てみると……。
え? こんなに廃線に? 今は別所線だけで少し寂しい。
100周年を迎えた上田電鉄に歴史ありですな。
生島足島神社
創建年代が不明!? 由緒ある二柱の大神様を祀る神社
下之郷駅から徒歩1分の「生島足島(いくしまたるしま)神社」へ。
こちらは、生きとし生けるもの万物に生命力を与える「生島大神」と、生きとし生けるもの万物に満足を与える「足島大神」の二神が祀られています。歴代の帝や、戦国武将武田信玄公、真田昌幸公、信幸公などからも崇敬が厚く、明治天皇が首都を東京に定められた1869年(明治2年)、この二柱の大神を親祭されたそうです。
こちらの神社には珍しいものがいくつかあります。写真でご紹介。
そして、1番驚いたのはこちら!
なにぃぃ!
これは全国的にも珍しく、塩田平一帯のレイライン(※)と関係しているらしい。参道の真ん中を通るように、夏至には東の鳥居から朝陽が昇り、冬至には西の鳥居に夕陽が沈んでいくそうだ。
「田植えの時期やお祭り、収穫、雨乞いなど、神社でタイミングをはかっていた」など、諸説あるそう。
※編集部注:古墳や遺跡、神社仏閣には直線上に並ぶように建てられたものがあるという説で、その遺跡群が描く直線をレイライン(Ley Line)と呼ぶ
別所温泉駅
別所線を端まで堪能する
下之郷駅を出発。10分少々で終点の別所温泉駅に到着。別所線100周年記念のイベントで、ミントグリーンのモダンな駅舎内に誰でも弾けるピアノが設置されていました。
帰りは「まるまどりーむMimaki号」に揺られながら、塩田平の田園風景を楽しみます。
そのまま上田駅に戻り、駅周辺のホテルで一泊しました。
上田城跡公園
お城のお堀を走っていた廃線跡
翌日は上田駅から徒歩約12分の「上田城跡公園」からスタート。
濡れ上田城ってのも乙ですな。
上田城跡、櫓(やぐら)、真田石、眞田神社、と歴史探訪。
そしてもう1つの目的が。ここには廃線跡があるんです。
北東線(真田傍陽線)は、上田地域〜真田地域を結んでいた全長15.9キロの路線で1927年(昭和2年)に開業。お堀跡を利用して線路を敷き、1972年(昭和47年)の廃線後は遊歩道として活用されています。
お! プラットホームもあるある!
トンネルには架線の碍子(がいし)らしき物も残っていて、なんか嬉しいですね。
周りに誰もいないことを確認して、廃線ごっこを敢行!
手打百藝 おお西
信州そばの新たなかたち!
気づけば昼飯時に。上田城跡公園から徒歩15分ほどの「信州上田北国街道 柳町」へ。
城下町情緒あふれる石畳を歩いていくと「手打百藝 おお西」に到着。
こちらの名物「発芽そば」は、発芽させたそばの実をご店主が考案した手打ち法で仕上げているとのこと。「発芽期に発生する糖化酵素による甘みの増加……」と!
早速注文する!
そばが着丼。山菜の天ぷらも。
いただきます。
ズルッ!
お! そばの香りが鼻孔を通過。うんまい!
ん……あれ? 甘いぞ。そばの甘味が噛むたびに口いっぱいに広がり本当に旨い。箸が止まらない。山菜の天ぷらもサクサク、季節の香りとほのかな苦味がそばの甘みを引き立てる。ナイスコンビ!
あっという間に完食。大盛りにすれば良かった……。
店員さんにこの辺りのお話を聞くと、昔はバスや列車がたくさん走っていて賑やかだったとのこと。
時代とともに上田駅周辺が変わり、便利だけど少し寂しいと語ってくれました。
富士アイス
街を散策。地元グルメ「じまんやき」を体験
おお西から徒歩10分くらいの「海野町商店街」を散策していると、雨だというのに沢山のお客さんが訪れるお店を発見!
「富士アイス」は、じまんやき(税込80円)が愛される地元の老舗。
香ばしい生地にたっぷりのあんこで熱々。あずきの香りも甘みも、口いっぱいに広がり美味しい。おやつにちょうどいいサイズでした。
復活した別所線千曲川橋梁や廃線跡を巡り、上田電鉄別所線の100年の歴史に触れた2日間。次の100年に語り継がれるであろう、未来への架け橋に想いを馳せながら、上田駅から北陸新幹線で帰京します。
あれっ? そういえばせっかく別所温泉に行ったのに1ミリも浸かってない……今度はゆっくり浸かろう。
東京駅
掲載情報は2021年8月24日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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