東京都「アートにエールを!」プロジェクト参加のフラメンコ作品が米アカデミー賞前哨戦にノミネート

7月1日に開幕した ロサンゼルス国際短編映画祭 (LA SHORTS International Film Festival)に、日本作品『El Comienzo』(監督:佃尚能)が選出。14日から「アジア部門」で配信上映される。

「原点回帰」と「再出発」を描いた台詞のない物語

『El Comienzo』は、東京都のアーティスト支援事業「アートにエールを!」をきっかけに制作された映像作品。

フラメンコダンサー、ミュージシャン、映像制作者が有志で集い、コロナ禍で立ち止まってしまった人々に向けて「原点に返って、もう一度歩き出そう」というメッセージを込めて制作された。
※タイトルの『El Comienzo』は「始まり」「原点」を意味するスペイン語

大河ドラマ『真田丸』オープニングなどを手がける映像監督、佃尚能の構成・演出による、台詞を一切使わずにフラメンコと音楽だけで紡がれた物語は、見る人それぞれの解釈で楽しめる作品だ。

スペインの伝統舞踊と「和」の衣裳・美術が融合

『El Comienzo』の見どころの1つは衣裳・美術。

安室奈美恵、SEKAI NO OWARIなどのMVを手がける美術監督・藤枝智美と服飾家・吉田摩奈美のコラボレーションによって、スペインの伝統的なフラメンコ衣裳と「和」の着物が融合した美術空間が作り上げられている。

モチーフとなる大きな鏡から、洞窟空間の“雨のダンス”に移行する演出も圧巻。1人のフラメンコダンサーの半生が「出会い」「別れ」「旅立ち」などのシーンによって構成されている。

アカデミー賞の前哨戦、ロサンゼルス国際短編映画祭へ

Cine Flamenca / El Comienzo(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=gmq6Hg-NGiE

「LA SHORTS」 の愛称で知られるロサンゼルス国際短編映画祭は、今年で25年目を迎える北米最大の短編映画祭。映画芸術アカデミーの公認映画祭でもあり、過去に16本のオスカー受賞作を輩出する「アカデミー賞の前哨戦」とも言われるコンペティションだ。

例年は1万人を超える映画関係者がロサンゼルスに集結する同映画祭だが、コロナ禍の今年はオンラインのみで開催。『El Comienzo』は14日からアジア部門で配信上映される。

監督コメント「再出発のエネルギーを届けたい」

世界最高峰の国際短編映画祭ノミネートにあたって、佃尚能監督は

「いつか参加したかった映画祭に選んで頂けた嬉しさと(オンライン開催で)現地参加ができない悔しさが相まった複雑な気持ち」とコメント。

作品を通じて「コロナで立ち止まってしまった方々に“再出発”へのエネルギーを届けたい」と語っている。

世界55ヵ国からセレクションされた作品は、31日まで、下記映画祭HPから2.99$で視聴できる。

【公式HP】LA SHORTS
www.lashortsfest.com/asia-japan [リンク]

『El Comienzo』クレジット

【出演】入交恒子、ベニート・ガルシア、
    ガルシア想仁愛

【スタッフ】
音楽:高橋紀博 美術:藤枝智美
衣裳:吉田摩奈美 ヘアメイク:西藤恭子
撮影:江部公美 照明:小田巻実 
録音・MA:加藤恵介 特機:なるおみな
VFX:渡川豊也 グレーディング:黒石信淵
監督:佃 尚能

※ 画像提供 Cine Flamenca / 菅原康太

(執筆者: 荏谷美幸)

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