観光列車「おいこっと」で【長野・日本の原風景】を巡る旅

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観光列車「おいこっと」で【長野・日本の原風景】を巡る旅

みなさん、こんにちは! 女子鉄アナウンサーの久野知美です。最近は、時節柄「架空鉄」を楽しんでいましたが、久しぶりに万全の対策をして旅に出てきました!

どこか懐かしい、日本の原風景やあたたかな人々に出会う観光列車「おいこっと」の旅。都会の喧騒を忘れ、心が洗われる列車旅に出発進行です!!

東京駅

「和」の未来を感じる北陸新幹線!

旅はJR東京駅から。7時20分発の北陸新幹線・E7系に揺られてJR長野駅を目指します!

E7系は2015年3月、北陸新幹線の金沢延伸開業でデビューした新幹線車両。首都圏と北陸新幹線沿線を結び、日本の伝統文化と未来をつなぐという意味から「和の未来」が車両のデザインコンセプトとなっています。

北陸新幹線

長野駅までは、あっという間の約1時間20分。ここで、さらに日本の「和」を感じられる観光列車に乗り継ぎます!!

長野駅

心のふる里「おいこっと」でゆったり列車旅

おばあちゃんの家に来たような気分にさせる、ほっこりとした色合いとビジュアルが魅力の「おいこっと」。しなの鉄道北しなの線・JR飯山線の長野駅から新潟県のJR十日町駅間を運行する快速列車です(運行日はこちら)。キハ110系を改造してつくられた車両で、北陸新幹線の金沢延伸開業と同じ2015年にデビュー!

おいこっと

「おいこっと」が走る飯山線は「日本人のこころのふる里」を代表するローカル線。「おいこっと」には、訪れる人すべてにやすらぎと癒やしを提供したいという思いと、山や川、田園風景など日本人が思い描くふる里(田舎)をイメージして欲しいという願いが込められているそうです。

そんなふる里のイメージが東京の真逆にあるという意味で、TOKYOを反対(OYKOT)にし、幅広い層に親しんでいただけるように「おいこっと」とひらがなで表現したのが名称の由来とのこと。ちょっと変わった名前ですよね。

おいこっと 車内

車内に一歩足を踏み入れると、コンセプト通りのほっこりとした空間が広がります。シートカラーは、外装と同じくエンジ色に統一され落ち着いた雰囲気。遮光カーテンには「障子風」のデザインがあしらわれています。

ロングシートはもちろん、2人掛け、4人掛けのボックスシートも完備。少人数利用でもプライベート空間を維持しながら旅を楽しめます♪

筆者 おいこっと車内

時刻は9時17分。長野駅を発車します!

ほどなくして「おいこっと あてんだんと」さんが野沢菜漬を配ってくださいます(※)。信州にはお茶うけに漬物を出す慣習があるそう。こうした地域に根付いたおもてなし、嬉しいですね♪

※編集部注:下り(長野駅→十日町駅)乗車時のみ

おもてなしで配られる野沢菜漬

列車は千曲川(信濃川)沿いをゆったりと北東へ。大きな窓から見える大きな空が、乗客ひとりひとりを歓迎するように包み込んでくれます。まさに、飯山線のキャッチ―フレーズ「いいかわ いいそら、飯山線」どおりの風景。

おいこっと 車窓 車内で流される観光案内

車内では『まんが日本昔ばなし』などでおなじみ、沿線の木島平村出身の故・常田富士男さんのナレーションによる観光案内も! 乗車時間を最大限に楽しむためのおもてなしがいっぱいです。

飯山駅駅員のお出迎え

40分ほどで着いた最初の長時間停車駅は、JR飯山駅。北陸新幹線との接続も可能なターミナル駅です。駅構内では「おいこっと まるしぇ」が開かれ、ここでお土産を買うこともできます!

飯山駅 おいこっと まるしぇ

まるしぇの開催は、「おいこっと」運行日の9時〜16時半(2021年5月現在)。乗客以外でも利用可能なので、新幹線で駅を使う際などもぜひ立ち寄りをお勧めします! 私は、ゆっくりお土産を悩みたいので帰りのお楽しみとしておきます♪

なお、普段なら停車駅で「すげぼうし」を被っての写真撮影なども楽しめますが、今回は感染症対策のため、あいにくのお休み。こちらも、またの機会にとっておくことにしましょう!

森宮野原駅

大迫力! 日本最高積雪記録駅のシンボル!?

15分間の停車時間を満喫。「おいこっと」は再び十日町駅を目指して走り出します。車窓には飯山名物・菜の花の絨毯が広がります!

車窓 菜の花

11時1分。定刻通りJR森宮野原駅へ到着です! 

今回は、ここ、長野県の最北端に位置する森宮野原駅で下車して、栄村観光を堪能することにします♪

森宮野原駅交流館 ふきのとう

森宮野原駅には、森宮野原駅交流館「ふきのとう」が併設されていて、地元の特産品販売や そば・うどんがいただけるお食事処も! 物販コーナーでは、栄村トマトジュースや豆類などお土産を購入することができるとのこと。(2021年5月現在、変則営業中。詳しくは施設にご確認ください)

筆者 日本最高積雪地点の標柱

駅前には、国鉄時代の1945年2月に7.85mの積雪を記録したことを受け、JR線における日本最高積雪地点をあらわす標柱が。いかに豪雪地帯を走っているかを思い知らされます。

大迫力の標柱と記念撮影をしたら、栄村秋山郷観光協会の「むらちゃり」でレンタサイクル(※)。いざ、サイクリングに出発進行〜!!

※編集部注:むらちゃりは、森宮野原駅前の複合施設「栄村震災復興祈念館 絆」にて貸出返却を受付。坂道の多い村内に便利な電動アシスト付きをレンタルできます

筆者 レンタサイクル 千曲川を望む

森宮野原駅から、国道沿いをゆっくり走り抜けていくと奥信濃の美しい山々が広がります。多少の起伏はありますが、女性でも楽々サイクリングできるコースです♪

北野天満温泉

「学問の湯」北野天満温泉へ

40分ほどで、学問の湯として知られる「北野天満温泉」に到着! 宿泊施設ですが、日帰り温泉、お食事処も完備(※)。泉質はナトリウム塩化物温泉で、神経痛や筋肉痛などに効果があるそう。昼食では、栄村産そば粉を北野の名水を使って手打ちしたおそばが味わえます!

※編集部注:2021年5月現在、お食事処の昼食営業は臨時休業中

北野天満温泉

北野天満宮

神秘的なパワー溢れる、長野の北野天満宮

北野天満温泉から、自転車で10分ほど走り進むと「北野天満宮」が見えてきます。
平安時代の学者で政治家であった菅原道真は「学問の神様」としても知られていますが、その死後、菅原道真を祀ったのが京都にある北野天満宮。その流れをくむ神社です。

北野天満宮 北野天満宮

壮大な杉林に佇む存在感は凄まじく、シュッと背筋が伸びるような空気感が漂います。本殿には、学生さんたちが志望校合格を祈願した絵馬が掛けられていて、神聖な空間の中に多くの夢や進路への願いが満ちているようでグッときます。

お参りを済ませ、再び森宮野原駅へ。16時8分発の「おいこっと」に再乗車です♪ 「おかえりなさい」の言葉とともに、乗車記念のしおり(※)をいただきました!

※編集部注:上り(十日町駅→長野駅)乗車時のみ

おいこっと 乗車記念のしおり

復路の「おいこっと」も堪能し、17時3分に再び飯山駅に到着。

おいこっと

野沢温泉ライナーバスで本日の宿泊地、野沢温泉へ。温泉にゆったり浸かって、身体を労ってあげることにしましょう。

北飯山駅

懐かしの「誰か」に会える? 高橋まゆみ人形館

翌朝は、野沢温泉ライナーバスでJR北飯山駅へ。徒歩約5分の「高橋まゆみ人形館」に向かいます!

筆者 高橋まゆみ人形館

高橋まゆみさんは、飯山市在住の人形作家。1998年ユザワヤ創作大賞部門での大賞受賞をはじめ、新世紀人形展、日本工芸美術展などで受賞され、NHK『みんなのうた』に登場する人形たちを手がけられています。また、テレビ朝日『徹子の部屋』に度々出演されるなど幅広く活躍されています。

館内 ギャラリー2

ギャラリー2 ©︎高橋まゆみ人形館

作品の特徴は、ご自身が「忘れたくない、残したい風景」を取り入れていらっしゃること。優しさ・たくましさ・思いやりを感じる人形たちに癒やされます。

人形 家族のだんらん

「家族のだんらん」写真撮影:嶺村 裕 ©︎高橋まゆみ人形館

「おじいちゃんおばあちゃんのしわが好き」と高橋さんがおっしゃっているように、その思想から「人生のいいことも悪いことも覚えて刻んでいる、しわを折り重ねて笑う美しさ」が一体一体の人形から溢れ出ています。

人形 祈り

「祈り」写真撮影:嶺村 裕 ©︎高橋まゆみ人形館

人形たちが纏う衣服も、どなたかが愛用されていた古布が使われていて味があり、温もりの演出に一役買っているよう。魂を感じる人形館にはリピーターが多いというのも納得です。

ギャラリー3

ギャラリー3 ©︎高橋まゆみ人形館

併設されている「café 花あかり」は、人形館に入らなくても利用OK! 素材にこだわって手づくりされたメニューがいただけます!

筆者 店内

旬の食材を使用するピザトーストと、定番メニューのアップルパイを味わいました(※)。
「菜の花のピザトースト」は、サクサクの2段重ねトーストに、たっぷりのチーズ、そして酸味の効いたトマトソースが絶妙。ほっこり優しいお味がします♪

菜の花のピザトースト 信州リンゴのホットアップルパイ

ご自慢の「信州リンゴのホットアップルパイ」は、もちろん信州産のリンゴを使用。丁寧に折り重なったパイ生地は程よい甘さ。いただくだけで幸せな気分に……!

奥の席は、踏切が一望できちゃう、ちょっとした「トレインビュー席」でした♪

※編集部注:café花あかりのメニューは季節により変わります

飯山駅

歴史ある仏壇通りを抜け、三たび飯山駅へ

飯山駅まで約20分のお散歩。豪雪地帯ならではの雪よけ屋根=雁木(がんぎ)が並ぶ「愛宕町雁木通り」は、由緒ある仏壇店が軒を連ね、別名「仏壇通り」とも呼ばれています。雪の日はもちろん、雨の日もほぼ濡れずに歩けます。

愛宕町雁木通り 鉄砲町児童公園

途中、SL公園とも呼ばれる「鉄砲町児童公園」への寄り道も楽しみながら、飯山駅に到着。「おいこっと まるしぇ」でお土産タイム。

今回は、名物のおやきをゲットです! 帰京したら、祖父母に差し入れに行こうかな。

おやき

この旅で受けたおもてなしや、日本の原風景ともいえる自然は、とても優しくあたたかく……ふる里が一つ増えたかのような「癒やし列車旅」になりました。都会の喧騒に疲れたら、ぜひみなさんも訪ねてみてくださいね!

東京駅

掲載情報は2021年6月25日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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