床下収納のメリット・デメリットは?有効な活用で生活空間に広がりを
部屋の外観を変えずに収納量アップが見込める床下収納。これから新築やリフォームを検討されている人にとっては気になる設備ですよね。床下収納は優秀な収納ですが、メリットとデメリットが存在します。特徴をおさえて活用し、広々生活を目指しましょう。
床下収納の特徴
床下収納とは
床下収納は、床板と基礎の間に設けられたスペースを有効活用した収納です。特に収納が少ない住宅や狭小住宅では室内の収納力が限られているため、最適な設備だといえるでしょう。床としての機能も重要なことから、蓋は重く分厚い形状です。
明治時代にはすでに収納庫として使用されていた床下収納は、ぬか漬けや酒、保存食の保管に利用されていました。昔から床下のデッドスペースを効果的に使っていたのですね。
設置場所は主にキッチンや洗面所ですが、タイプによって幅広い場所への備え付けが可能です。高断熱や高気密を確保する製品も販売されているので、住まいに応じて検討してみてくださいね。
どんな種類がある?
収納タイプや扉タイプにより、床下収納の種類はいくつかに分けられます。
収納ボックスの種類
固定タイプ→床下に収納ボックスを固定して設置。家庭では一般的なタイプ
スライドタイプ→床下にスライドが可能な収納ボックスを複数設置。固定タイプよりも収納力が高い
大型タイプ→たたみ1畳ほどの大容量ボックスを設置。大きなモノを収納可能
浅型タイプ→収納力は限られるものの、深さがないのでモノを取り出しやすい。戸建ての2階にも設置可能
蓋の種類
蓋が取り外せるタイプ→蓋を別場所に置けるため、モノの出し入れが容易。ただし蓋の重さにより、開閉の負担が発生する
扉タイプ→蓋の置き場の確保が必要なく、開閉がスムーズ。しかしモノの出し入れの際に扉が邪魔になる可能性がある
電動タイプ→壁のスイッチにより電動で蓋を開閉させるため、開閉時に力を必要としない。取り付けの費用は一般的な床下収納よりも高額
設置に必要な費用の相場は?
床下収納の設置費用は、収納の容量や扉のタイプで異なります。新築にせよリフォームにせよ、一般的なタイプであれば収納本体や設置工事費のトータル費用は10万~15万円前後を見積もっておくと無難でしょう。一方、電動タイプは約15万~25万円が相場です。
リフォームとなると既存の床を解体して床下収納を設置しなければなりません。しかし建築前であれば、あとから無駄な施工をせずに済みます。タイプの選択で費用の幅が生じるため、活用目的を明確にしてから取り付けましょう。
床下収納の設置におけるメリット・デメリット
ここでは床下収納のメリットおよびデメリットを紹介します。
床下収納のメリット
収納スペースの増加
デッドスペースである床下を有効的に活用し、家の収納力を拡大できます。収納は主に棚やラックの使用を考えますが、どうしても設置する場所には限界がありますよね。床下収納ならば家の居住空間を削らなくて済みます。狭くなりがちな場所でも床下収納の収納力で広々と使えるでしょう。
収納場所が床下なので目立たない
棚やラックにモノをそのまま収納すると、生活感があらわとなってしまいます。しかし収納場所が床下ならば人目につかず、視覚的に生活空間を圧迫しません。室内をスッキリさせながらモノの管理が可能です。
一戸建てでは床下の点検口としても使用
床下収納の収納ボックスが取り外し可能であれば、床下点検口として利用可能です。床下は湿気が多く、いつの間にかシロアリなどの害虫被害に遭っている可能性も……。住宅の基礎部分である床下に、点検場所があると安心ですね。
床下収納のデメリット
モノの出し入れが不便
設置の特性上、モノの出し入れには、かがむ姿勢とモノを持ち上げる動作をおこなう必要があります。足腰や力の弱い人には負担となり、不便と感じる場合もあるでしょう。頻繁に利用するモノや重たすぎるモノは取り出しに支障をきたしやすく、避けたほうが無難です。
床に僅かな段差ができる
床下収納の設置には、床に金具や部品の取り付けが必須です。そのため歩行時のつまずきや掃除機が引っかかる可能性があります。製品によって差はあるものの、どうしても僅かな段差が生じるのは否めないでしょう。日常的によく使う動線への設置は、段差への違和感を考慮したうえでの実施をおすすめします。
温度や湿度の変化が大きい
床下は外気の影響を受けやすく、温度や湿度の変化が大きい場所です。特に夏場や梅雨時期には湿気がこもってカビの発生が考えられます。収納物を劣化させないように、収納ボックスの底に新聞紙を敷いたり除湿剤を設置したり、暑い時期は湿気対策を講じておきましょう。
掃除の手が届きにくい
蓋を閉じていても収納ボックスの隙間からホコリが入り込みます。普段は蓋を閉じて生活しているので、掃除が必要な状態となっていても気づきにくいのです。定期的な掃除の心がけ、収納ボックス内を清潔に保ちましょう。
床下収納には、具体的に何を保管すればいい?
収納力において優秀な床下収納ですが、場合によっては扱いにくくなる懸念があります。床下収納はどのような場所でどのようなモノの保管が適切なのでしょうか?場所別におすすめする収納物の一例を紹介します。
床下での保管に適切なモノ
キッチンの床下収納
キッチン下は配管が多いために湿度が高くなりがちです。長期保存が可能なモノや湿度の影響を受けにくい食品、あまり使わない調理器具の保管が、キッチンの床下収納に適しているでしょう。
缶詰やレトルト食品
ペットボトルやビン入りの飲料
調味料のストック
食器用洗剤などのキッチンで使う日用品のストック
調理器具(土鍋、ホットプレート、かき氷機など)
洗面所の床下収納
キッチンの床下収納と同様、洗面所の床下も湿気が発生しやすい場所です。日常生活用品や掃除関連など、湿度管理の必要がないモノの保管に洗面台の床下収納を活用しましょう。
日用品のストック(洗濯洗剤、トイレットペーパー、シャンプーなど)
掃除物品のストック
非常用グッズ
カップラーメンなどの保存食
花瓶や使用頻度の少ない雑貨
寝室・和室・2階の床下収納
配管の配置にもよりますが、寝室・和室・2階の床下収納は外気の影響を受けにくい場所です。大切なモノや捨てられないモノ、季節で使うモノや衣類、状況に応じて使うものなど、棚や押入れではかさばるモノの保管に適しているでしょう。
思い出のモノ
カーペット
季節に応じた衣類(コート、マフラーなど)
来客用の座布団
レジャー用品
床下での保管に適さないもの
すぐに使う食品
賞味期限が短い食品や使用頻度の高い食品は、床下収納での保管に適しません。重い蓋の開閉が必要な床下収納は、頻回に繰り返すと面倒と感じてしまいます。すぐに食べるものは、取り出しまでのアクションが少ない収納場所や冷蔵庫での保管が適しています。
米や根菜類
水分を多く含む食品や生ものは床下収納に適さないと想像がつきますが、実は米や根菜類も床下収納での保管には向いていません。湿度が高くカビが発生しやすい床下収納は、常温であれば日持ちするはずの食品も早々と腐る可能性が高いのです。
重いモノ
床下収納へのモノの出し入れは、収納物をかがんで取り出す動作が必要です。腰や腕の負担が大きく、床下収納自体の使用が億劫となりかねません。あまりにも重い物品の収納は控えたほうが無難でしょう。
マンションでも床下収納は設置可能?
現在マンションにお住まいの人も、床下収納を検討されている場合があると思います。マンションのリフォームで床下収納の後付けはできるのでしょうか?
結論からお伝えすると、「かなり難しい」と言わざるを得ません。マンションでは床下を自由に作りかえられないケースがほとんどです。たとえ床下収納の後付けが可能であっても、高い工事費用の発生や完成までの日数が長くなる覚悟は必要といえるでしょう。
しかし床を小上がりの状態にする置き型タイプの収納ユニットならば、部屋の一部に簡易的な床下収納が作れます。大掛かりな工事なしで部屋の収納力がアップする方法は嬉しいですね。収納ユニット上部をフローリングやたたみなどの床材を使用することで、室内のちょっとしたアクセントにもなるでしょう。
まとめ
床下収納はメリット・デメリットを踏まえれば非常に便利な収納方法です。床下収納に何をどれだけ収納したいのかを考慮して設置し、スッキリ広々とした快適空間を楽しみましょう。
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