「石に漱ぎ流れに枕す」の「漱ぎ」はどう読む?意味や由来を解説
「石に漱ぎ流れに枕す」とは、言い訳して逃れることを指します。
しかし、この言葉は難しい漢字が使われていて馴染みがないという方も多いのではないでしょうか?
事実「漱ぎ」は難読漢字です。
そこでここでは、そんな「石に漱ぎ流れに枕す」の意味や由来について解説します。
「石に漱ぎ流れに枕す」とは
まずは「石に漱ぎ流れに枕す」がどのような言葉なのかを見ていきましょう。
「石に漱ぎ流れに枕す」の読み方
最初に「石に漱ぎ流れに枕す」の読み方について見ていきましょう。
このことわざは「いしにくちすすぎ ながれにまくらす」と読みます。
つまり「漱ぎ=くちすすぎ」「枕す=まくらす」と読むわけです。
「漱ぎ」とは、読みさえ分かれば意味が分かりやすく、水で洗い落とすことや水で清めることを指します。
また、水で口を綺麗にすること、うがいすること、ゆすぐことなども意味します。
他にも、身に受けた恥や不名誉を除き去る際にも用いられます。
「枕する」とは、特殊な言葉のようにも思えますが、単に枕を用いることをあらわします。
枕として使って寝ることをあらわす言葉となっています。
「石に漱ぎ流れに枕す」の意味
しかし、肝心の「石に漱ぎ流れに枕す」の意味が見えてきません。
この言葉自体は漢字から予測することは難しい言葉です。
由来を知ると分かるのですが、この言葉は負け惜しみが強いことの例えとして使用されます。
また、屁理屈をこねて言い逃れをすることの例えでもあります。
自分が間違えていても言い訳をして認めないことをあらわす言葉です。
この言葉を理解するに、由来となった故事を見ていきましょう。
言い訳を由来とする「石に漱ぎ流れに枕す」
意味の分かりにくい「石に漱ぎ流れに枕す」は、言い訳を行ったが故事が由来とされています。
本当は「石に枕し流れに漱ぐ」だった
「石に漱ぎ流れに枕す」は、言い間違いから生まれた言葉です。
本当は「石に枕し流れに漱ぐ」という言葉でした。
「石に枕し流れに漱ぐ」とは、隠居して自由な生活を送ることです。
「悠々自適」や「晴耕雨読」といった言葉に近しいことばです。
それを口にしようとした人が言い間違ったことで「石に漱ぎ流れに枕す」が生まれたのです。
きっかけは言い間違いに対する言い訳
この言葉は、「晋書」孫楚伝にある故事から来ています。
その昔、晋という国に自由な生活を望む「孫楚」という人物がいました。
彼は友人に「石に枕し流れに漱ぐ」ような生活したいものだと将来の願いを言おうとしました。
しかしその時、誤って「石に漱ぎ流れに枕す」と口にしてしまったのです。
その彼の言葉に対して友人が言い間違いを指摘してしまいました。
それでも彼は言葉尻をこじつけて言い訳を始めたのです。
彼は「石に漱ぐ」は歯を磨くこと、「流れに枕す」は耳を洗うことだと言って言い逃れをしたのです。
そう言い訳することで、自分の間違いを認めなかったのだとか。
そこから「石に漱ぎ流れに枕す」という言葉が、屁理屈で言い逃れることをあらわすようになったとされています。
「石に漱ぎ流れに枕す」にまつわる豆知識
ここからは「石に漱ぎ流れに枕す」に関する豆知識をまとめます。
「さすが」を「流石」と表記する理由
「さすが」を「流石」と漢字表記することがありますよね。
これはいわゆる当て字の一種から来ています。
「石に漱ぎ流れに枕す」の故事、この言い訳を「さすが」と思った人がいたのだとか。
これが感心だったのか、この人物を負けず嫌いだと思った皮肉かは分かりませんが、そこから「流石」と表記して「さすが」と読ませるようになったのだとか。
夏目漱石との関係
文豪・夏目漱石の本名は夏目金之助です。
つまり漱石はペンネームとなるのですが、この漱石というのは「石に枕し流れに漱ぐ」を四字熟語にした漱石枕流から来ています。
もともと交友関係のあった正岡子規のペンネームの1つでしたが、それを譲り受けたものとされています。
このペンネーム、夏目漱石の負けん気の強さをあらわしているともされるのでしが、夏目漱石には確かにああ言えばこう言う逸話や負けん気の強さが分かる話が多く伝わっています。
まとめ
「石に枕し流れに漱ぐ」は、言い訳して自分の非を認めないことをあらわした言葉です。
特に明らかに間違っていても屁理屈をこねて言い逃れしようとすることをあらわします。
この言葉は中国の歴史書に残る、言い間違いにまつわる故事から生まれた言葉となっています。
さすがを「流石」と表記するのもこの言葉から来ているのだとか。
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