「人流」は本当に新語なのか?
新型コロナ関連のニュースで最近聞く「人流」という言葉。
SNSでは違和感がある新語(あるいは造語)だと言っている人も多いが、「いやいや新語なわけないだろ」と思っている人も多いだろう。もちろん新語ではない。
近年、観光や街づくりの分野においてAI・IoTなどを駆使して人の流れを解析している事例が多数あり、これらのニュースで「人流」という言葉よく目にするようになっていたから新語ではないことは明白である。ただ、テクノロジー系・あるいは観光系のメディアに偏っている部分はあるので、それらのニュースに関心がない人が新語だと勘違いしてしまうのも仕方がない部分もある。
では観光や町づくりのマーケティングのために最近生まれた言葉なのか?
確かめるために「国会図書館サーチ」で“人流”というキーワードで検索してみた。すると3784件もヒット!・・・これは「殺人流行の世相–いのちの価値」や「浪人流れ星」などの図書も検索に引っ掛かってしまうためである。
近年ニュースで耳にする人流と同じ意味だと思われるものとしては1971年3月刊行の「日本建築学会東北支部研究報告集」に掲載されている報告書「再開発に於ける流動計画 その3 : 宮町地区に於ける人流現況」の人流があった。国会図書館サーチの検索で引っかかるものとしてはこれが一番古かった。
「人流」という言葉は、ここ10年くらいでよく耳にするようになった言葉というイメージであったが、“少なくとも”50年前には存在していたようだ。
※参考
◆2018年8月27日 IT MEDIA「観光地の“地域データ×人流データ”を観光マーケティングに活用――松江市と日本ユニシスが共同実証」
https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1808/27/news102.html
◆2014年8月14日INTERNET WATCH「iBeaconで人流解析、名古屋PARCOに300個のビーコン発信機」
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/chizu/662154.html
◆2016年11月10日RBB TODAY「駅の混雑状況をリアルタイムに可視化する人流分析システム」
https://www.rbbtoday.com/article/2016/11/10/146868.html
(written by 山崎健治)
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