これからの住宅には「3S(ソーラー・ストレージ・スマートグリッド)」が重要 消費者の調査でも太陽光発電と蓄電への関心の高さが明らかに
太陽光発電協会(JPEA)の発表によると、太陽光発電システムを設置した住宅は100万件を突破しているとのこと。余剰電力を電力会社が買い取る売電制度や経産省による導入支援策を背景に、住宅への太陽光発電システムの導入が一般家庭でも検討されるようになっています。大手家電メーカーが2012年3月に全国の男女1万6852人を対象に実施した太陽光発電システムに関する調査では、太陽光発電システムについての関心の高さと発電した電気の蓄電についての関心の高まりが明らかになりました。
太陽光発電システムについて「導入を検討している」「導入検討はしていないが非常に興味・関心がある」「少し興味・関心がある」と回答したのは全体の66.8%。東日本大震災から1年後に実施したというこのタイミングでは、自然エネルギーへの期待の大きさがうかがえる結果となりました。
同社はここで「興味・関心がある」と回答した全国の男女1500人に、「もし今後、太陽光発電システムを導入するとしたら、期待することは何ですか」という調査を実施。各選択肢に「非常に期待する」から「まったく期待しない」までの5段階で、期待度を調べました。
「非常に期待する」「やや期待する」いずれかの回答があった期待度の高い上位3項目は「電気代の節約(93.1%)」、「自宅で使う電気の一部を自給自足すること(90.1%)」、「災害時などの非常用電力の確保(87.7%)」というもの。太陽光発電システムの経済性が注目される一方で、災害発生時の計画停電の記憶も新しいことから、何かあったときに自宅の電力を自前で確保できることに期待していることが分かります。
続いて80%以上の期待度があった項目は「昼間に発電した電気を蓄電して、夜に使うこと(86.5%)」、「蓄電をして、日常の電力消費に使いながらも非常用の電力を確保すること(82.7%)」、「地球環境への貢献(81.1%)」、「昼間に発電した電気を非常用として蓄電しておくこと(80.7%)」と、環境への貢献のほかは発電した電気を蓄電して利用することに期待が大きいことが分かりました。
東京工業大学教授の小長井誠氏はこの調査結果を受け、これからの住宅に「われわれ研究者は、“3S(ソーラー、ストレージ、スマートグリッド)”が重要だと考えています」とコメント。太陽光発電の「ソーラー」、蓄電池を指す「ストレージ」については、既に消費者も高い関心を寄せているようですが、通信・制御機能を持たせて電力供給を最適化する「スマートグリッド」についてはどうでしょうか。
前出の太陽光発電システムへの期待度の調査では、スマートグリッドに関連する項目で「家庭内のすべての電気機器との連携(72.7%)」、「オール電化との組み合わせで電気代をさらに節約すること(59.1%)」という結果に。80%を超える数字ではないものの、比較的関心が高いことがうかがえます。調査時点ではスマートグリッドのイメージが具体的につかみにくかったことも、蓄電ほど関心が高くない結果に結びついていたのかもしれません。
センサやITを活用して住宅内の「エネルギーを見える化」して、さらに「エネルギーを自動制御」するシステム“HEMS(Home Energy Management System)”は、スマートグリッドを実現するための中核技術。電力消費のピーク時にエアコンを節電運転したりIHクッキングヒーターの火力を調節する、スマートフォンやモニターで発電・蓄電・電力消費を見えるようにするなど、HEMSを採用した“スマートハウス”は一部実用化されています。
さらに、前述の「3S」を目指した実験的な計画も進行中。神奈川県藤沢市の工場跡地19万ヘクタールに建設中の『Fujisawaサスティナブル・スマートタウン』は、約1000戸の住宅と商業・公益施設を開発して2013年度中に街開きを目指しており、2018年には約3000人が生活する街となる予定です。すべての住宅や施設には太陽光発電システムと家庭用蓄電池を標準で装備し、公共空間では電気自動車やプラグインハイブリッド車向けの充電インフラやソーラー駐車場を設置。これらの仕組みを支援するアプリケーションも提供されるというこのプロジェクトが完成すると、今まで具体的にイメージしづらかったスマートグリッドの姿が見えてくるかもしれません。
調査概要
実施期間 :2012年3月
実施形態 :オンライン調査
調査主体:パナソニック
調査対象 :
(1)太陽光発電システムへの興味の有無問わない全国の男女1万6852人
(2)太陽光発電システムに興味がある全国の男女1500人
ウェブサイト: https://getnews.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。