ヤンマガ回収問題は本当に「講談社の立件見送り」だけで終結するのか?

ヤンマガ回収問題は本当に「講談社の立件見送り」だけで終結するのか?

 

講談社の漫画雑誌『ヤングマガジン』2013年7号に掲載されたグラビア写真に児童ポルノ禁止法違反のおそれがあるとして回収された問題で警視庁少年育成課は同誌編集部からの事情聴取など捜査を進めていましたが、12日までに「自主回収措置を取るなど流通の防止に努めている」として講談社の立件を見送る方針を固めたと各社により報じられています。もっとも、問題となったAKB48・河西智美さんの胸部を男児が覆い隠している写真の違法性については捜査幹部が「写真自体は児童ポルノに該当する可能性がある」とコメントしたと13日付の朝日新聞で報じられており、それが事実であれば今回の講談社立件見送りをもって事件そのものの終結とはならない可能性があります。

 

まず、問題の写真が雑誌に掲載されたか否かに関わらず、撮影した行為そのものに関してはカメラマンが製造罪に問われる可能性が依然として残っています。次に、問題の写真が掲載された7号は回収される前に少なくない量が人手にわたっており、特に奈良県と京都府では条例により購入者が逮捕される危険性が高いことは1月18日の記事でも指摘した通りです。さらに、回収が発表された前後から問題の写真を無修正ないし個人が特定・類推可能な状態でブログに掲載したり画像アップローダーや『Twitter』で共有(リツイートを含む)する行為が見られましたが、いずれもその時点で頒布罪が成立しています。もし警察が講談社の立件見送りで一旦は捜査を終結させる方針だとしても、第三者の告発次第では問題の写真を何の気なしにアップロードやリツイートで拡散した人たちが一網打尽で逮捕される事態も十分に予想されるのです。よって、今回の事件はこれで「幕引き」になったわけでは全くなく、むしろ国会での法案審議や栃木県議会に提出されている全国3番目の単純所持禁止規定を含む条例案の審議も絡んでなお継続していると見た方が良いでしょう。

 

それにしても、今回の事件で一つ不思議なのは「とにかく何が何でも児童ポルノ禁止法を強化して単純所持と非実在青少年の性表現禁止を早くやれ」と強硬に主張している諸団体が、講談社への抗議などを含めて余り積極的に動いていないことです。会田誠展への抗議の方にリソースを取られているのでしょうか?

 

画像:東京・音羽の講談社本社ビル

画像ソース:Wikimedia Commons([リンク]

撮影者:Lombroso(CC-BY-SA 3.0)

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