自閉症者の内面の感情や思考を描いた日本人著者によるベストセラーを映画化『僕が跳びはねる理由』本編映像 

会話のできない自閉症という障害を抱える作家・東田直樹がわずか13歳の時に執筆した『自閉症の僕が跳びはねる理由』(エスコアール、角川文庫、角川つばさ文庫)。今まで理解されにくかった自閉症者の内面の感情や思考、記憶を分かりやすい言葉で伝えた内容が大きな注目と感動を呼び、34か国以上で出版、現在117万部を超える世界的ベストセラーとなりました。

この書籍をもとにドキュメンタリー映画化された『僕が跳びはねる理由』(4/2公開)。この度「僕らはきっと文明の支配の外に生まれた」「多くの命を殺し地球を壊してきた人類に、大切な何かを思い出してもらうために」―これまで虐げられてきた自閉症者に対する過酷な現実と、東田本人の想いを象徴するかのような本編映像が解禁となりました。

【動画】『僕が跳びはねる理由』本編映像 日本人著者によるベストセラーをドキュメンタリー映画化
https://www.youtube.com/watch?v=jC-jTG568BI

「自閉症は長年、悪霊や呪いのせいとされた。20世紀前半には知能の遅れだと不当に虐げられてきた。我が子に重ねるとつらい」と話すのは、本作を英訳、トム・ハンクス、ハル・ベリー主演の映画『クラウド・アトラス』(2012)の原作などで知られるイギリスのベストセラー作家デイヴィッド・ミッチェル。日本に滞在していた経験もある彼は自らも自閉症の息子を育てており、対応に困り果てていた我が子の行動に対する疑問の答えをこの書籍の中に見つけ、「世界中の自閉症の子を持つ親にもこの本を読んで欲しい・伝えたい」という願いから翻訳、2013年『The Reason I Jump』として出版した、世界中のベストセラーのきっかけを作った当事者でもあります。

そして彼が「自閉症者は差別されてきた、自閉症でない人間が理解しなかったせいでね」と、これまでの自閉症者に対する国や社会からの態度を裏付けるように「問題のある子の一部は、グループになじまず独自の世界に生きています。“精神疾患”の症状です」「自閉症の子供には非常に特徴的な欠陥がある。理解力と認知能力です」「優生学は遺伝の法則を応用し、人類の退化を防ぎ、質を高めることを目指す」という世界中さまざまな国や地域でアナウンスされていた自閉症者に対する誤った認識、さらにはナチス・ドイツの悪名高い“障害者を断種“が国の制作として行われていた“優生政策”を思わせる<与えるべきは安楽死です><哀れな者たちを無為な人生から解放してやりましょう>という声明が続いて流れます。

原作『自閉症の僕が跳びはねる理由』を東田直樹が執筆していた13歳の頃を思い起こさせるような“自然の中を歩く少年の姿”も登場する本映像。「僕らはきっと文明の支配の外に生まれた」「多くの命を殺し地球を壊してきた人類に、大切な何かを思い出してもらうために」―その著作の中で東田本人が語るその言葉、そして、本作の監督であるジェリー・ロスウェルが「より多様性を受容する世界で成長するかもしれない、ある種次世代を代表する存在の象徴として映画の中で登場させた」ように、その多くの人の願いを象徴するようなシーンとなっています。

「自閉症と呼ばれる彼らの世界が“普通”と言われる人たちと、どのように異なって映っているのか?」を世界各地の5人の自閉症の少年少女たちの姿やその家族たちの証言を通して追い、明らかにし、そして「自閉症者の内面がその行動にどのような影響を与えるか」を斬新な映像表現や音響効果を駆使、彼らが見て・感じている世界をあたかも疑似体験しているかのように体感できる、これまで誰も観たことのなかった驚きと発見に満ち溢れている本作。

2005年当時わずか13歳だった少年が紡いだ言葉が海を越え、今もなお世界中の自閉症者やその親たちに希望を与え続け、また”普通“と言われる人たちにも新しい気付きを与えてくれる作品となっています。

「普通とは?」「個性とは何か」という普遍的な疑問、「会話(=コミュニケーション)の大切さ」「多様性の重視」など…本作を通して、他者と分断されている今を生きる誰もが共感し、問いかけることができるような感動の“体感”ドキュメンタリー映画である『僕が跳びはねる理由』。ご注目を。

(C)2020 The Reason I Jump Limited, Vulcan Productions, Inc., The British Film Institute.

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

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