たった一人でスタートし独学で制作期間に7年間を費やし完成…! SFストップモーションアニメ『JUNK HEAD』堀監督インタビュー
たった一人で独学で作り始め7年かけて完成させた、 奇跡のSFストップモーションアニメ『JUNK HEAD』が3月26日よりアップリンク渋谷、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺他順次公開です。
たった一人でスタートし、映画の作り方は独学、制作期間に7年間を費やし、総ショット数約14万コマ・フィギュアはすべて手作りという本作。本職の内装業を行いながらこの映画を完成させたのが堀貴秀監督です。
【動画】映画『JUNK HEAD』予告編/3月26日(金)公開
https://www.youtube.com/watch?v=H9IhR00WF0c
北米最大のジャンル映画祭の呼び声も高いファンタジア国際映画祭で最優秀長編アニメーション賞を受賞し、ギレルモ・デル・トロから「同じ高みを目指す才能」として激賞された堀監督。制作について、作品への想いなどお話を伺いました。
――本作大変楽しく拝見させていただきました! まず驚いたのが、ストップモーションアニメでこれまで観たことの無い様なダイナミックなカメラアングルです。
堀監督:ありがとうございます。僕の頭の中にはハリウッド大作のような映像のイメージがあって、それをいかに再現するかを考えて作業していました。コマ撮り用に小さくしたカメラスタンドを作って、実写のようなアングルを狙って作っていました。もともと本業で工場を持っていまして、そこで制作しました。フィギュアは1/6サイズで作っていて、結構大きく感じると思うのですが、6分の1は海外ではポピュラーなスケールなんです。小さい人形で狭い場所で作ると、いかにも「人形を動かしている」という感じで、それも意図によっては効果的だと思うのですが、僕が作りたかった作品とは違ったので。
――なるほど、大きさがあるからこそのダイナミックな動きがカッコ良かったです。現物をすごく見てみたいです!
堀監督:実は、今回『JUNK HEAD』を上映する劇場に現物を展示する予定です。劇場によって異なる世界観を再現しているので、ぜひ見ていただけたら嬉しいです。
明日3/26(金)より公開#堀貴秀 監督作『JUNK HEAD』
二階ロビーにて人形展開催中
ぜひ間近でご覧ください‼︎※3/27(土)堀貴秀監督舞台挨拶
詳細は→ https://t.co/ANgZiNwxar※先着でオリジナルステッカープレゼント#JUNKHEAD #シネマロサ pic.twitter.com/YKCLX6XvpM
— 池袋シネマ・ロサ (@Cinema_ROSA) March 25, 2021
――監督が映画好きだからこそのアツい展開、間のとりかた、映画好きに刺さる描写が多いと感じたのですが、どの様な作品に影響を受けましたか?
堀監督:『不思議惑星キン・ザ・ザ』が昔から一番好きな映画で、シュールな展開とかは似ている部分があるかもしれません。あとは『エイリアン』や『ヘル・レイザー』とか好きです。漫画だと弐瓶勉さんの『BLAME!』も好きなので、世界観の影響はあると思います。
――『不思議惑星キン・ザ・ザ』の不思議な感じと、『BLAME!』のシリアスな感じと…もちろん『JUNK HEAD』は全く異なるオリジナリティーあふれる作品ではあるのですが、見事に融合されていますね。映画大好きな監督が、実際に映画を作ってみていかがでしたか?
堀監督:もともと自分で作れるとは全然考えていなかったんですよね。何からやっていいかも分からないですし。でも、新海誠さんなどが個人で映画を作ったなんて話を聞いて、一人で作れるものなんだと思ったんです。新海さんは知識も持たれていて、アニメーションの仕事もしていたので僕とは環境が違うのに、なぜか自分も作れると思ってしまって。本当に大変でした(笑)。
――しかも、特に時間のかかるストップ・アニメーションというジャンルで。
堀監督:自分が今までやってきた色々な経験を組み合わせれば、映画を作れるんじゃないかと思い、絵や彫刻、操り人形を作っていたこともあるので、そういう人形を動かせば映画を作れるんじゃないかという軽い感じで最初は始めました。実際には色々なことを覚える必要があって大変だったのですが。
――完成までに7年の年月をかけられているわけですものね。100分としっかりと尺もありますし。
堀監督:2009年に30分版の短編を最初に作って、その後に70分ほど追加して、長編は合わせて7年ですね。内装の仕事は自営業で自分でコントロールが出来たので、月に1週間から10日間程度に抑えて、生活出来る収入を得て、仕事以外のすべての時間はこの作品の制作をしていました。
――途中で投げ出そうと思ったことはありませんでしたか…?
堀監督:とても大変でしたけど、思わなかったんですよね。楽しかったんです。あと、これを実現できれば、誰も真似できないものを生み出せるかもしれないという想いがモチベーションだったと思います。
――実際に国内外で高い評価を受けていますね。
堀監督:自分では一番面白い作品だと思って作っていますから、自信はあったんですけど、嬉しいけど信じられない気持ちです。でもまだ関係者や報道の方がメインに観ている段階ですから、これから映画が公開して、お客さんからどんな反応をもらえるのか楽しみでもあり、怖くもあります。映画は、お客さんにお金を払って観たいと思ってもらえないとプロとは言えないですから。
――きっと皆さんこの映画を大好きになって、そして特に三バカ兄弟のファンになると思います!
堀監督:気に入っていただけたら嬉しいです。自分の好きな物をとにかく詰め込んだ作品なので、それがどこまで皆さんに受け入れられるか楽しみ半分、不安半分でもあったのですが、三バカ兄弟は意外と女性の反応も良くて。好きになってもらえたら嬉しいです。
――気の早い発言かもしれませんが、ぜひ監督の次回作も拝見したいので楽しみにしております。
堀監督:『JUNK HEAD』は3部作の構想で、続編は1000年前の世界を描きたいと思っています。ストーリーも、絵コンテもすでに出来上がっているので、この作品が当たってくれれば作れると思うので、ぜひ多くの皆さんにご覧になっていただきたいです。よろしくお願いします。
――今日は貴重なお話をどうもありがとうございました!
【ストーリー】
遺伝子操作により長寿を得た人類は、その代償に生殖能力を失う。
さらに環境汚染、ウィルス感染により世界の人口は激減。人類滅亡を止めるカギは、地下世界に生息する繁殖能力を得た人口生命体マリガンにあった。今、未来を救うために“主人公”が、地下迷宮へと潜入する――。
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