『少年忍者』12名が夏目漱石・芥川龍之介ら文豪作品をドラマ化！井上プロデューサーに聞く「レッスンやYouTubeを見てメンバーを研究」「脚本はアテ書き」

2021/03/19 18:00 藤本エリエンタメ

ジャニーズJr.内のユニット、「少年忍者」の12名が主演を務める「WOWOWオリジナルドラマ　文豪少年!〜ジャニーズJr.で名作を読み解いた〜」が、3月21日より放送・配信開始となります。

本作は、夏目漱石、太宰治、芥川龍之介、江戸川乱歩、小泉八雲といった日本が誇る文豪たちの傑作小説群を新たに解釈した1話完結のオムニバスドラマ。過去の名作をただそのまま映像化するのではなく、現代的な視点で描いたり、異色の角度から捉えたりすることで、日本文学の持つ面白さを、若者を中心に幅広い世代に伝えようとする試みです。

今回は本作のプロデューサーを務めた、井上衛さんに、本作の見所や少年忍者の皆さんの演技についてお話を伺いました。

――本作、少年忍者×文豪というとても面白い企画となっていますが、どの様なきっかけでスタートしたのですか？

井上：ジャニーズJr.の皆さんと何度かお仕事させていただいて、「今度は10人くらい一気に出演してもらうシリーズを作りたい」とアイデアベースで話をしていたんです。地上波でJr.の皆さんが出演するドラマとなると、学園モノ、恋愛モノになると思うのですが、せっかくならアーティスティックな作品を作りたいなと。

その時、ふと本棚にある夏目漱石に目が止まって。パブリックドメインなので、現代の作家さんと違って映像化するにあたっての自由が多いんじゃないかなというちょっと計算めいた考えもありました（笑）。でも、夏目漱石や芥川龍之介って教科書では読むと思うのですが、改めて読んだりしないですよね。その魅力を若い方たちに知っていただきたいなという気持ちが生まれて。それらの作品をエンターテイメントとして見せるというのはとても意義のある事だなと思いました。

――少年忍者のファンの皆さんも若い方が多いと思うので、文豪作品って授業っていうイメージが強いでしょうから、本作は新鮮に感じそうですね。

井上：読んでいるというか、授業で読まされている感じだと思うんですよね。僕は落語が好きなのですが、学校の芸術授業とかで聞く落語って全然面白くなかったなって（笑）。夏目漱石、太宰治、芥川龍之介とか改めて読むと本当に面白いので。

――作品の選定はどの様にされたのですか？

井上：2/3くらいは「皆が知っているだろうな」という話を入れました。『注文の多い料理店』とか。後は趣味の世界ですね（笑）。泉鏡花の『外科室』は1992年に映画化されていて、それの印象が強かったり。『屋根裏の散歩者』は、明智小五郎モノなので、受け入れられやすいかなと思って入れました。明智小五郎モノは少年バージョンと大人バージョンがありますが、大人の世界観をやるなら『屋根裏の散歩者』かなと。ただ、結局、ドラマでは明智は出てこなくなっちゃいましたけど（笑）。

――井上さんが個人的に一番お好きな本はどれでしょうか？

井上：『外科室』、そして夏目漱石の『二百十日』です。「二百十日」は、あまり知られていない作品なので、男2人が阿蘇山に登るか登らないかダラダラ話しているだけの話なんですけど、そういうダラダラしている時間って自分にもあったなって。大学生の頃同級生と新宿で飲んでいて、思いつきで東海道を歩くことになり、1日かけて小田原まで行ったんですね。お互い疲れても、自分から疲れたっていうのが嫌でやめられないし、くだらない話をずっとしながら歩いて。そういう時間って今思うとすごく良い時間だったなって思うんですよね。『二百十日』もそんな話なので、面白いな〜って思いますね。

――ドラマ化するにあたって、工夫した点を教えてください。

井上：よくある「漫画で分かるシリーズ」みたいな、原作の解説ドラマにはしたくなかったので、説明過剰にしないことを心がけました。主人公の少年がいて、少年が妄想をふくらませるストーリーになっています。例えば『屋根裏の散歩者』だったら、天井から毒薬を落として人を殺せるわけ無いですし、今だったらたくさんツッコミが入りそうなのですが、江戸川乱歩の時代にはそれが無いからすごく自由なんですよね。この作品もその妄想の自由度を楽しんでいただきたいと思っています。

――少年忍者のキャスティングはどの様に決めたのでしょうか？

井上：最初はもう少し年齢層が上のJr.の皆さんの印象でいたのですが、お話をしていく中で「少年忍者で」というアイディアが生まれて。すごく若い皆さんなので、最初は迷ったんですね。文豪ってお酒だったり女性絡みだったり、退廃的なシーンも多いですから。でも逆にその若い年齢でこのお話をやるのも異質感があって面白いかもなと思い、皆さんのレッスンを見せてもらったり、YouTubeをひたすら見て。川﨑君ってこういう人なんだ、黒田君ってこういう人なんだって、すごく研究して。そうして、キャスティングが決まった後、脚本はアテ書きです。もしかしたら本人は「自分はこんな人じゃない」と思っているかもしれませんが（笑）。

――今回お仕事をご一緒して、少年忍者のどんな所に魅力を感じられましたか？

井上：少年忍者って人数が多いから、YouTubeなんかでも目立つのが大変じゃないですか。だからこそ、すごく努力をされていると思うし、自分の特技を真剣に考えているなと。そこがすごく魅力的だと思います。

――そんな皆さんが文豪作品をどう表現しているのか。私もすごく楽しみです！

井上：「お勉強」のイメージが強い文豪作品ですが、短い中にぎゅっと色々なものがつまっていて、切れ味もすごいです。そんな物語を皆さん一生懸命演じられているので、ぜひお楽しみいただきたいです。あと、イッセー尾形さんが作品の中で少年忍者のメンバーに言葉をかけるのですが、それは本当に彼らに対して発している言葉なんです。メンバーの皆がイッセー尾形さんからの言葉をすごく喜んでうけとめて、目を輝かせていたのが印象的でした。そこもぜひご注目ください。

――今日は楽しいお話をありがとうございました！

【動画】全話放送告知まとめ／WOWOWオリジナルドラマ文豪少年！～ジャニーズJr.で名作を読み解いた～
https://www.youtube.com/watch?v=HmgZTBjn3h4