書籍『ウルトラマンマックス 15年目の証言録』八木毅編(立東舎)の読みどころ

access_time create folderエンタメ

2021年3月2日に発売になった書籍『ウルトラマンマックス 15年目の証言録』は、『ウルトラマンマックス』放映15周年を記念して、スタッフやキャストが今だから話せるエピソードを披露した貴重な1冊。同書の読みどころを、特撮作品をこよなく愛するライターの秋田英夫さんにレビューしていただいた。

プロデューサー八木毅氏が自ら取材を敢行!

今年(2021年)は円谷プロの特撮テレビドラマ『ウルトラマンマックス』(2005~2006年)の放送終了から15年という節目にあたる。これを記念して、本作でプロデューサー/監督を務めた八木毅氏が中心となり、当時の製作スタッフやキャストにロングインタビューを敢行。改めて『ウルトラマンマックス』という作品そのものを深く掘り下げ、全39エピソード(+総集編1本)それぞれの魅力を見つめ直した書籍『ウルトラマンマックス 15年目の証言録』が、立東舎から発行された。

「最強! 最速!」というキャッチコピーのとおり、力強いヒーロー像を目指して企画が立ちあげられた『ウルトラマンマックス』では、ウルトラマンの“原点”に帰ることが大きなテーマとしてかかげられた。前作『ウルトラマンネクサス』(2004~2005年)ではウルトラマンシリーズの“変革”を狙い、ややハイブロウ気味のSF&ホラードラマが指向されていたため、次回作となる『マックス』はそれとは真逆の「直球」で勝負する形になったようだ。

▲三池崇史監督、脚本家・NAKA雅MURA氏の熱いインタビューは要注目

『マックス』の旨味がたっぷりと封じ込められた1冊

本書は3部構成となっており、PART1は八木氏を中心とする『マックス』立ち上げメンバー(脚本家・小林雄次氏、金子修介監督、脚本・監督の梶研吾氏、CBCテレビ岡﨑剛之氏、電通・山西太平氏)それぞれのインタビューが行なわれた。企画成立~製作開始までの流れや、初期タイトル~決定タイトルへの変遷、キャスティング秘話など、ファンにはたまらない話題が続出している。八木氏がメイン監督を務め、小林氏も脚本参加していた深夜の特撮SFドラマ『ウルトラQ dark fantasy』(2004年)があり、ここから『マックス』へと発展していったという話や、八木氏、小林氏がそろって“強い影響を受けた”と話すアメリカのSFファンタジードラマの伝説的名作シリーズ『ミステリーゾーン』(日本での放送は1960~1967年)についての話題が、個人的に興味をひいた。また、青春映画の傑作を数多く手がけた上に、平成『ガメラ』シリーズ3部作や『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001年)で特撮ファンに新しい刺激を与えた金子修介監督のインタビューでは、監督が当時つけていたダイアリーをもとに、キャスト決定からクラインクイン当日の出来事、そしてウルトラマン演出についてのこだわりポイントなど、濃厚な裏話が披露されている。

▲飯島敏宏監督のバルタン星人愛あふれるインタビュー

PART2では『マックス』のクオリティを支えた多彩なクリエイターが、参加の経緯や自作についての演出裏話などを語る濃密なインタビューが行なわれた。『マックス』では第1作『ウルトラマン』(1966年)をお手本として、ストーリーの連続性よりも「単体エピソードとしての面白さ」を重視。往年のウルトラマンシリーズで活躍したレジェンドや「特撮作品」初体験の実力派監督など、さまざまな才能が集まって作り上げられた。本書では飯島敏宏監督、三池崇史監督&脚本家・NAKA雅MURA氏、脚本家・小中千昭氏、作曲家の蓜島邦明氏、怪獣デザインのさとう けいいち氏の証言がまとめられ、読み応え満点の内容となった。『ウルトラマン』のクランクイン第1作「侵略者を撃て」で監督・脚本(千束北男名義)を務めた飯島監督は、ウルトラマンの必殺技スペシウム光線の構えを考案し、シリーズ屈指の人気キャラクター・宇宙忍者バルタン星人を生み出した偉大な功労者。バルタン星人にいとおしい我が子のような愛情をそそぐ飯島監督は『マックス』で新生したバルタン(ダークバルタン、タイニーバルタン)に「人類の反面教師」という属性を与えた。科学文明が発達しすぎた結果、故郷を滅ぼしてしまったバルタンに人類の“誤った未来”を投影したわけである。本書での飯島監督の談話からは、『マックス』を第1作『ウルトラマン』や『ウルトラQ』のように大らかなムードのウルトラマンシリーズにしたいという強い思いや、時代を超えて子どもたちに向けられた“大人からの優しいメッセージ”が感じられる。

PART3は、ウルトラマンマックスに変身するトウマ・カイト役の青山草太氏をはじめ、『マックス』の地球防衛チーム「DASH」メンバーの単独インタビューが収められた。青山氏、長谷部瞳氏、ショーン・ニコルス氏、小川信行氏、宍戸開氏はそれぞれ、15年前の日々を懐かしそうにふりかえりつつ、撮影現場でのチームワークの良さ、自身の役についての思い、そしてスタッフと力を合わせてより良い作品を生み出そうとした情熱などを、惜しみなく語っている。『ウルトラマン』でハヤタ隊員&フジ隊員として活躍した“レジェンド”トミオカ長官役・黒部進氏、ヨシナガ博士役・桜井浩子氏のコメントもうれしい。

▲八木毅プロデューサーによる全話解説も大充実

このほか、八木氏がプロデューサーの視点から『マックス』全39+1話を語る「全話解説」ページもあり、まさに本書は『ウルトラマンマックス』の旨味がたっぷりと封じ込められた1冊と言えるだろう。『マックス』の作り手は当時の子どもたちに「未来には明るい希望がある」とメッセージを送っていた。あれから15年。大人に成長して“未来”をつかんだ“あのときの子どもたち”にこそ本書を読んでいただき、少年時代に愛したウルトラマンマックスやDASH隊員、そして魅力的な怪獣・宇宙人たちに思いを馳せてもらいたい。

『ウルトラマンマックス 15年目の証言録』
八木毅 編
定価:本体2,000円+税
発行:立東舎

(レビュー執筆者:秋田英夫)

(執筆者: リットーミュージックと立東舎の中の人)

access_time create folderエンタメ
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

ガジェ通制作ライブ
→ガジェ通制作生放送一覧