香りも楽しめる春咲き球根植物「スイセン」の育て方
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冬から早春にかけて美しい花を咲かせる、貴重な草花「スイセン」。丈夫な球根植物ではあるけれど、しっかり丈夫に育て、たくさんの花を咲かせるための育て方のポイントを紹介します。
紀元前から人々に愛されてきたスイセンを育てよう
人とスイセンのかかわりは深く、紀元前800年には、ギリシャの詩人・ホメロスによって詩に紡がれています。当時から栽培もおこなわれていたのだとか。今や世界各国で愛される香り高い花を、ぜひあなたのお庭に!
スイセンってどんな植物?
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スイセン(ヒガンバナ科 )は、地中海沿岸などが原産。スイセンの原種は約35種類といわれますが、長年にわたり品種改良が進められ、今や英国王立園芸協会(RHS)には1万種以上が登録されるに至りました。日本には平安時代の終わりに、シルクロード経由で伝わったとされ、各地で野生化しています。
スイセンの花期は品種によって異なり、早いものは11月半ばから咲きはじめ、多くはチューリップよりも早く、早春に咲きそろいます。
庭に植えられた園芸種はもとより、まだ寒々しい早春に、たくましく自生する姿もあちこちに。田んぼのあぜ道や海岸近くの丘などに、目の覚めるような黄色や白の花が風に揺れて咲く景色は圧巻です。
スイセンのもうひとつの魅力は、大ぶりな花から香ってくる素晴らしい芳香。群生していると、風に乗って甘い香りが遠くまで拡散します。
現在も貴重な天然香料として、香水の原料用に栽培されるスイセンも。香りを楽しむ「フレグランスガーデン」にも用いたい草花です。
スイセンの球根の選び方・植え方
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きれいなスイセンの花を咲かせるためには、よい球根を選ぶことが大切です。スイセンの球根は、電球型に膨らんだ形がベスト。ほっそりしたものは開花しないこともありますので注意して。
スイセンの球根を選ぶ際には、手にもって確認するのがベスト。表面がデコボコしておらず、汚れがついていないこと、しっかり重みを感じる固太りの球根を選びましょう。
何球かまとめてネットに入れて販売されているものでも、ぜひ触ってみてから購入を。外側から触ると、柔らかい球根があるかどうかだいたいわかります。
スイセンの球根は、10~11月に植え付けます。スイセンは日当たりを好む性質なので、よく日光浴できる場所を厳選して植えてください。
また、スイセンは排水のよい砂質の土壌がベストです。粘土質の土壌は避けましょう。スイセンの植えつけは、小~中サイズの品種は15㎝、大きな球根は20㎝間隔に。地植えの場合は、球根3個分が深さを目安に植穴を掘ります。
スイセンは、3年ほどは植えっぱなしで大丈夫です。分球が進み、狭くなってきたら掘り上げて植え直して。
スイセンの水やり・肥料
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庭植えのスイセンの場合、定期的な水やりは不要です。乾燥した日が続いて、目に見えて土が乾いているときのみ、水やりする程度で充分。
鉢植えにしたスイセンには、表土が白く乾いた段階で、鉢底穴から水が滴るくらいにしっかり水を与えます。スイセンの肥料は、元肥として緩効性肥料をすき込んでおくのがおすすめ。
その後は、発芽~花が散った後まで、規定量の液体肥料を与えましょう。
スイセンの花後のお手入れ
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スイセンの花が終わったら、茎を付け根からカットしてください。しかし、葉は花が終わっても切ってはいけません。花後も球根を太らせるため、しっかり光合成しなくてはならないからです。
スイセンは3年ほどは植えっぱなしでもよいのですが、植え替えをしたいなど、球根掘り上げたい場合には、葉がすっかり枯れてしまってからにしましょう。
スイセンの球根を掘り上げる際には、葉をつかんで抜いて引き抜き、土を払い落とします。その後に軒下など、日が当たらず、風通しのよい場所でしっかり乾燥を。すっかり乾いたら、葉や茎、根をカット。ネットの袋に入れて、涼しい日陰で保管してください。
スイセンの病害虫
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スイセンは比較的病害虫に強く強健ですが、軟腐病に注意してください。軟腐病は気温が高い時季に発生し、葉が灰色に変化して枯れ込んでしまいます。伝染性の病気なので、かかってしまったら残念ですが、抜き取って処分してください。
また花の時期には、アブラムシの被害にあうこともあります。専用薬剤で早めに退治して。病害虫退治は、日ごろの観察眼がものを言います。
葉の状態、虫がついていないかどうかなど、常にチェックを欠かさずに。
おわりに
いかがでしたか? スイセンの香るお庭、ベランダガーデン…一足早く春を満喫してくださいね!
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