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なぜ日本人の3人に1人は「自力で生活できない人を政府が助ける責任はない」と考えるのか

なぜ日本人の3人に1人は「自力で生活できない人を政府が助ける責任はない」と考えるのか

今回はあままこさんのブログ『斜め上から目線』からご寄稿いただきました。
※すべての画像が表示されない場合は、https://getnews.jp/archives/295783をごらんください。

なぜ日本人の3人に1人は「自力で生活できない人を政府が助ける責任はない」と考えるのか

去年の話になりますが、ある統計を元にした2つの記事が注目されたことがありました。

「日本の貧困対策がどれほど貧困かよく分かる数字」 2012年11月09日 『Afternoon Cafe(BLOGOS版)』
http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-1062.html

自力で生きていけない人たちを国や政府は助けるべきだとは思わないと言う人が日本では三人に一人以上もいることがアンケートでわかりました。

日本 38%
アメリカ 28%
イギリス 8%
フランス 8%
ドイツ 7%
中国 9%
インド 8%

日本はなんという生きにくい国なのでしょうか。
「人様に迷惑をかけるな」という日本的な美徳は、度が過ぎれば他人に冷酷であることの裏返しでもあります。(中略)こういう冷酷な国民性だから生活保護をサディスティックに攻撃する政治になるのか、それともこういう政治だから人々の心がささくれ立って冷酷になってしまうのか、卵が先か鶏が先かですが、どこかでこの閉じたスパイラルを断ち切らねばいけませんね。

「「成長論」から「分配論」を巡る2つの危機感」 2011年11月18日 『日経ビジネスオンライン』
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20111114/223822/

1つは、日本では「自力で生活できない人を政府が助けてあげる必要はない」と考える人が世界中で最も多くなっている点である(出典:「What the World Thinks in 2007」The Pew Global Attitudes Project)。「助けてあげる必要はない」と答えた人の割合は日本が38%で、世界中で断トツである。第2位はアメリカで28%。アメリカは毎年多数の移民が流入する多民族、多文化の国家であり、自由と自己責任の原則を社会運営の基軸に置いている。この比率が高くなるのは自然なことだ。そのアメリカよりも、日本は10%も高いのである。

日米以外の国におけるこの値は、どこも8%~10%くらいである。イギリスでもフランスでもドイツでも、中国でもインドでもブラジルでも同様で、洋の東西、南北を問わない。経済水準が高かろうが低かろうが、文化や宗教や政治体制がいかようであろうが、大きな差はない。つまり“人”が社会を営む中で、自分の力だけでは生活することすらできない人を見捨てるべきではない、助けてあげなければならないと感じる人が9割くらいいるのが“人間社会の相場”なのである。

にもかかわらず日本では、助けてあげる必要はないと判断する人の割合が約4割にも達している。日本は、“人の心”か“社会の仕組み”かのどちらかが明らかに健全/正常ではないと言わざるを得ない。この場合、政治の制度や仕組みと比べて人の心はずっと普遍的であるはずなので、問題は日本の政治の仕組みや政策にあると考えるのが妥当である。言い換えるなら、人の心をここまで荒んだものにしてしまうほどに、現行の日本の政策や制度は正しくないということになる。

これらの記事で示されたデータは、現在猛威を振るう生活保護バッシングとも合致するため、僕も「あーやっぱり日本人って貧困者には薄情なんだなぁ」と思って普通に信じたわけです。

しかし、改めて調べてみると、どうもそう簡単に言えないみたいです。今回の記事では、様々な貧困や福祉に関する価値観の調査を示しながら、日本人が貧困救済についてどういう価値観を持っているのか、考えてみたいと思います(記事では一応の結論を出しますが、自信はないです)。

要約

1. 貧困や福祉についての価値観調査はとにかく色々あるよ
2. それらのデータを無理やりまとめて解釈すると、日本人は貧困に陥った人に対して同情的だけど、それはその貧困が「社会」のせいによるもので、当人たちはきちんと勤勉に働いていると思っているかららしい
3. 「社会」のせいではなく、当人の不運により勤勉に働いてない人の場合とかには途端に厳しくなるんじゃないかな

元々のPew調査への突っ込み

上記の記事にも記されているけれど、この「自力で生活できない人を政府が助けてあげる必要」についての質問は、The Pew Global Attitudes Projectという調査での質問らしい。

『The Pew Global Attitudes Project』(pdf)
http://pewglobal.org/files/pdf/258.pdf

しかしこの質問文に対し、実は質問文の文章が良くないからこのような答えになるんじゃないかと指摘している記事がある(というか、僕自信この記事を読んだからこそ、きちんと調べなきゃと思ったわけだが)。

「「貧乏人を政府が助ける必要はない!」と答えた人:日本38%、の話」 2012年11月11日 『こにしき(言葉、日本社会、教育)』
http://d.hatena.ne.jp/TerasawaT/20121111/1352634864

しかしながら、問題は、この設問のことばづかいである。

It is the responsibility of the (state or government) to take care of very poor people who can’t take care of themselves

この設問を翻訳すると次のような感じ。なお、比較のためにさっきのBLOGOS記事の文言を活かす。

自力で生きていけないようなとても貧しい人たちの面倒をみるのは、国や政府の責任である

BLOGOS記事では「面倒を見る『必要』の有無」が焦点だったけれども、元設問は「面倒を見る『責任』の有無」が問われている。
日本語で「責任」といったとき、日常語の感覚だと、「Xを作った原因が誰々にはあるから、当然、その人はXをなんとかせよ」という意味が含まれると思う(私の勝手な語感)。つまり、因果関係を含意している。

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