『半径1メートルの君〜上を向いて歩こう〜』吉本興業・神夏磯プロデューサーに聞く「エンターテイメントは人の心に直接、不思議な元気注射を打てる」
8組24人の俳優、吉本興業のタレント、クリエイターたちが異色のタッグを組んで撮りあげた短編オムニバス映画『半径1メートルの君〜上を向いて歩こう〜』が2月26日より公開となりました。
・ナインティナインの岡村隆史とアイドルグループ・JO1の豆原一成が共演した「本日は、お日柄もよく」
・霜降り明星の粗品が映画監督・脚本に初挑戦し、ミュージカル俳優・海宝直人とミキの亜生が共演した「同度のカノン」
・ピースの又吉直樹が脚本を手掛け、小池徹平とシソンヌのじろうが共演した「真夜中」
・水川あさみとハリセンボンの近藤春菜が共演し、ヨーロッパ企画の上田誠が脚本を担当した「バックヤードにて」などの8話で構成された本作。各話2人の主人公が繰り広げる“心の濃厚接触”を描いた約10分のショートストーリーが展開されています。
今回は、本作の企画・プロデュースを務める、神夏磯 秀(かみがそ しゅう)さんに見所や、こだわり、エンターテイメントにかける想いを伺いました!
Q:本作はコロナ禍において、エンターテイメントの盛り上がりを止めない様にはじまった企画だと思うのですが、神夏磯さんが特に(エンタメ分野において)危機感を感じた事があれば教えてください。
神夏磯プロデューサー:昨年2020年初頭からコロナウイルスが世界中に急激に押し寄せ、思うように外出ができない、人と人とがコミュニケーションを自由に取ることができない、マスクで顔を覆われ表情すら読み取ることができない、という、まるで近未来SF映画のような光景が現実社会に訪れました。人間の生活に密接する飲食店や小売店が大打撃を受け、それと並行して、世の中のありとあらゆるライブや番組が中止になり、弊社・吉本興業の直営劇場も休館に追い込まれました。そもそも「エンターテインメント」という産業は、存在しなくとも人の生き死には何の影響もないんです。そんな「付加価値」産業が、このままではその息の根を止められてしまうのではないか?という強い危機感を覚えました。同時に、「存在しなくても生活には影響のないはずの産業が、これまで存在してきた意味」を巣篭もり生活で何度も考えました。その結果、エンターテインメントは、決して「付加価値」産業ではないと気づいたんです。温かい衣類を作り出すわけでもない、空腹を満たすわけでもない、快適な住まいを提供するわけでもない。だけれども、「人の心に直接、不思議な元気注射を打てる」という、エンターテインメントが持つ唯一無二の必要価値に改めて気づきました。
Q:改めてこの映画を作ろう!と考えたのは、どんな想いからですか?
神夏磯プロデューサー:このままでは全てのエンターテインメントがコロナに負けてしまうのではないか?という危機感を感じ、「このコロナ禍だからこそ、あえて新しいエンタメ作品をゼロから生み出し、コロナで気持ちが沈んでいる世界中の皆さん、エンタメ同業者の皆さんに、『今だからこそ超前向きに動く姿勢』を伝えたい。世界中の人たちにエンタメの力で元気を与えたい。」という想いから、この作品の制作を決めました。もう一つ、コロナ前までは、大作でないと映画館のスクリーン数を多く確保するのが難しかったのですが、コロナの打撃を受け、多くの映画作品が上映延期され、逆に今なら小中規模の作品でもたくさんのスクリーン数を確保できるのでは?このピンチはチャンスなのではないか?という想いもこの作品を制作するきっかけとなりました。昨年夏に思い立ち、秋には撮影に突入、冬に編集、今年2月26日に公開、という、企画を思い立ってから半年も経たない間に公開を迎える超突貫作品であり、企画趣旨に賛同していただいた出演者、脚本家、監督、スタッフ、の熱い志だけで必要至急で作り上げた作品です。コロナ禍で制作延期が相次ぐ中、逆にコロナ禍で制作を開始した史上初の映画作品かもしれません(笑)。
Q:魅力的で個性的なキャスト陣、スタッフ陣が集結しています。それぞれのお話の監督とキャスト陣の組み合わせについてこだわった部分があれば教えてください。
神夏磯プロデューサー:「各々、10分前後の作品であること」「最後は前向きな気持ちになれる作品であること」というたった二つの共通テーマだけを設け、そのテーマ内で、個性強く、面白く遊んでもらえるであろう俳優、クリエイターの方々に声がけをさせてもらいました。また、長編映画のように何ヶ月もスケジュールを拘束する必要がない環境を逆に前向きに捉えて、普段は多忙で声をかけられない方々にも無邪気に声をかけさせて頂いて(笑)、「これまで見たことがない、どう化学反応するか予想ができない組み合わせ」の実現にこだわりました。
Q:品川さん、又吉さんは監督や作家として活躍していますが、粗品さん、福田さんのクリエイター側での参加が新鮮だなと思いました。粗品さんと福田さんの作品作りを見て感じたこと、すごかったなと思う部分を教えてください。
神夏磯プロデューサー:M-1&R-1チャンピオンの霜降り明星・粗品さん、THE Wチャンピオンの3時のヒロイン・福田さん、は「モノ作りの才能」「物語を生み出す才能」が間違いなくある。そんな二人の才能をネタ作り以外で世の中に知らせたい、という想いと、二人が作る映画作品を純粋に自分自身が見てみたかった、という想いで今回の企画への参加をお願いさせてもらいました。粗品さんは初監督も務めてもらいましたが、その才能には痺れました。これからの日本のエンタメ界の先頭を突き進んでいく人物だと思います。
【動画】『半径1メートルの君 〜上を向いて歩こう~』予告編60秒
https://www.youtube.com/watch?v=b_y-n1tWnms [リンク]
Q:演技力に定評のある豆原さんのお芝居をスクリーンで観る事が出来るのは、ファンの方も楽しみにしていると思います。101から豆原さんをご覧になっている神夏磯さんから見て、豆原さんのお芝居はいかがでしたか? 成長を感じた部分があれば教えてください。
神夏磯プロデューサー:豆原くんは、本人自身が普段から役者業に興味があり、今回が純粋なお芝居としては初演技となりましたが、JO1のミュージックビデオでの演技や表情、普段の立ち振る舞いを見て、その光るセンスを感じていましたので、絶対に良い芝居ができると確信していました。想像通り、いや、想像以上に、豆原くんにしかできないすごく素敵な芝居をしてくれました。アーティスト活動と並行して、これからいろんな可能性が広がっていくことが楽しみです。
Q:本作全体を通した見所、どんな方にご覧になっていただきたいかメッセージをお願いします。
神夏磯プロデューサー:豪華クリエイター陣が集結した8つの全く違う個性の作品が一挙に楽しめる、あまり存在しなかったスタイルの新感覚映画です。コロナで暗く沈む世界中の人たちの気持ちを1ミリでも元気にしたい、この映画を観終わったあとに上を向いて青い空を眺めてほしい、という強い気持ちだけでクリエイター&スタッフの方々と作り上げた映画です。この作品を、映画館という魔法の空間で体感していただき、一人でも多くの人に「心の栄養」を摂ってもらいたいです。世界を激変させるような大きなことは間違ってもできませんが、「ちょっぴり元気になって、ちょっぴりスキップを踏める前向きな明日」をお届けできると思います。
Q:吉本興業は芸人さんのネタ配信を行うなど、率先してエンタメを盛り上げていました。神夏磯さんご自身がハマった、好きな、自宅で楽しめるコンテンツを教えてください!
神夏磯プロデューサー:弊社が手がける配信コンテンツやたくさんのタレントさん達のYOUTUBEチャンネル、NETFlIXやAmazonなどの大型コンテンツ、TikTokやインスタなどのSNS投稿、など凄く面白い映像コンテンツが溢れかえっていて、チェックリストが追いつかない時代だと思いますが、その中で、バカみたいに笑ってちょっぴり元気になれるコンテンツを挙げるとしたら、ジャルジャルのYOUTUBEチャンネル「JARUJARU TOWER」ですね。夜中に見て、よく一人でケラケラ笑っています。あと、たまに更新されては謎のタイミングで消去されるジミー大西さんのインスタグラムですね(笑)。消去を繰り返して、今はほとんど投稿が残っていませんが(笑)。
【動画】『リモート面接でめっちゃふざける奴』
https://www.youtube.com/watch?v=Hm0eFTcVEPs [リンク]
2021年2月26日(金)、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
企画・製作・配給:吉本興業 制作プロダクション:共同テレビジョン
(C)「半径1メートルの君~上を向いて歩こう~」製作委員会
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