人類VS.エイリアンの壮絶な戦いが遂に完結『スカイライン-逆襲-』監督インタビュー「常に “エイリアンの星へのミッション” を描きたいと思っている」
人類VS.エイリアンの壮絶な戦いを描いた、『スカイライン-征服-』、『スカイライン-奪還-』に続く待望のシリーズ第3弾『スカイライン-逆襲-』が2月26日より公開となります。主⼈公ローズを演じるのは、⼤ヒットドラマ『THE 100/ハンドレッド』(14〜20)のリンゼイ・モーガン、『ザ・レイド』シリーズのヤヤン・ルヒアンが前作に続いて激しいアクションを披露します。
メガホンをとったのは、前2作の製作・脚本や監督も⼿がけたリアム・オドネル。今回はリアム・オドネル監督に、本作のこだわり、シリーズへの想いなどお話を伺いました。
■本シリーズがここまで世界中の方に愛された理由はどんな事にあると思いますか?
リアム・オドネル監督:なによりもまずは私たちのつくりあげたVFXや、エイリアン、宇宙船のデザイン、それから大量の人間を一気に連れ去る方法などに、多くの方が魅力を感じてくれたのかなと思っています。加えて作品を作るうえで様々なジャンルをブレンドして想像もできないような方向へ物語が向かうよういろいろと試行錯誤もしました。だから、限られた予算の中で生み出された素晴らしいプロダクションバリューと、一方でインデペンデントならではの感性や姿勢を持ち合わせていること、それを皆さんが楽しんでくれたのだと思います。私たちも皆、本当に楽しみながら作品に携わり、常に自由に色々なことをやろうと考えていました。そして毎回作品の世界観に完璧にマッチしたキャストたちにも恵まれ、彼らもまたこの作品を楽しんでくれました。物語が進むにつれどんどんと登場人物にフォーカスしていったことで、ローズとエイリアンの兄妹トレントとの絆が「スカイライン-逆襲-」やこれまでのシリーズに物語の一番核となる部分を与えてくれたと思っています。
■エイリアンの星「コバルトワン」の描き方がとても新鮮でした。
リアム・オドネル監督:ありがとうございます。ハーベスター(エイリアン)たち自身やその構造、そして彼らの収穫船をベースにインスピレーションを膨らませました。私は子供のころから宇宙のことや太陽系について学ぶことが大好きで、中でも土星の輪に夢中だったんです。それで、単に宇宙にある石があつまって輪になっているのではなく、あの輪が生命体の構造を持った惑星だったらかっこいいんじゃないかと考えました。
渓谷や荒れた地形の部分に関してはスペインのグラン・カナリア島へ行き撮影も行っています。その場に行き綺麗な渓谷を実際に見れたので、そこでロケーションを決めイメージを膨らませることもできましたし、VFXを使用するシーンと撮影シーンの両方にできるだけこのグラン・カナリア島で見た印象を取り入れようと思いました。
あとは別の映画作品という意味で言うと、「エイリアン」シリーズや「スターシップ・トゥルーパーズ」「ピッチブラック」「リディック」などにも影響を受けていると思いますし、「ロード・オブ・ザ・リング」のモリア鉱山などからもインスピレーションを得ましたね。
■プレス資料での「このジャンルの業界への責任を果たすためにも」という言葉が印象的でした。このコロナ禍において、映画業界も大きなダメージを受けたと思います。監督がこの状況で考えた事、映画作りへの想いへの変化などあれば教えてください。
リアム・オドネル監督:あの言葉はオリジナルの独立したジャンル作品をいちから作りあげることがどれだけ大変か、ということにまつわる言葉だったかと思います。
続編を作るというのはあきらかに1作目をつくるよりも少しだけハードルがさがります。ですので、私たちはこの「スカイライン」シリーズを1作ずつ独立した作品のようにもしていますが、そこに続編だということをうまく利用できたような気がしています。
この1年のコロナの状況やロックダウンの中では、これまで自分が進んできた道やキャリアを振り返り改めてそのすべてに強い感謝の気持ちを抱きましたし、これまで関わってきたすべての方々と一緒に働くことをとても恋しく感じました。「スカイライン-奪還-」では私たちはインドネシア、トロント、そしてロサンゼルスで撮影を行っており、その期間は生涯でも忘れられない素晴らしい時間でした。「スカイライン-逆襲-」は2019年に撮影を行いましたが、この時は大部分をリトアニアで撮影し、3ヶ月間サマーキャンプを実施しました。キャストとクルーが全員で楽しみながら一緒に過ごしましたが、こうして映画を作り上げるのはこの時が初めての経験でした。
「スカイライン-逆襲-」が公開されるにあたって一番つらかったのは、東京国際映画祭のプレミアに参加し、大きなスクリーンで皆さんと一緒にその場で上映を楽しむことができなかったこと。映画館で他の観客と一緒に映画を見れない状況、さらにはそれまで作品の公開へ向けて尽力してくれた人たちとさえも一緒に見れない状況というのは、まさに自分の生活にぽっかりと大きな穴が開いてしまったかのようです。
ですので、もしこのパンデミックが自分にもたらしたものが何かあるとすれば、映画を作り続け、現場に戻り、必ず自分の友人や仲間たちと一緒に美術や造形をつくり続けるという自分の決意をただただ強くした、ということだと思います。
■前作から、エイリアンの造形には監督の意見が反映されていると思います。前作のインタビューでは、 監督が「物語作り」に目覚めたきっかけをお伺いしましたが、美術や造形など、影響を受けた作品や 興味を持つきっかけになったものを教えてください。
※前作インタビュー記事https://getnews.jp/archives/2085662
リアム・オドネル監督:そうですね、「スカイライン」シリーズには私が初めて携わった作品「AVP2 エイリアンズVS.プレデター」(Aliens Vs. Predator:Requiem)の影響がとても多くあると思います。私はこの時、監督であるグレッグ・ストラウスとコリン・ストラウスのために書くことをはじめ、スタジオへのピッチに同行し、そして彼らのスクリプトをすべて脚本家へ伝えるということをしていました。プリビジュアライゼーション(pre-biz)という、監督が他のことを進めている間にもストーリーを組み立て、アクションをデザインする部門のアーティストたちがいますが、そのチームでも働きました。なので様々な点でこの時の彼らを手本とさせてもらっているところが多いと思います。それに私自身この「エイリアン」シリーズが大好きなんです。子供のころから何度も何度も映画を見て、「AVP2」の制作時も改めて見返しました。なので、「スカイライン」シリーズには様々な面でこういった自分のこれまでの経験が反映されていると思いますが、一方で企画当初から自分たち独自の世界を作りだそうということは意識していました。ただ、私は常に “エイリアンの星へのミッション” 映画 を作りたいとは思っているんですけどね。
前作「スカイライン-奪還-」でリンゼイ・モーガンがハーベスターたちとの闘いを率いる成長したローズ役として登場したのですが、その撮影を終えた時すぐに、ついにこの物語の進む先を見つけた、と感じました。リンゼイのスクリーンから溢れる存在感やユーモア、自信にとても魅了され、彼女を主人公にした物語を描きたいと思ったんです。そして前作が完成してすぐ、その数カ月後にはこの「スカイライン-逆襲-」のトリートメントを描き始めていました。
ローズというキャラクターの主なインスピレーションはSFのクラシックと言えるような過去の名作の女性アクションヒーローから来ています。サラ・コナーやトリニティ、エレン・リプリーなどですね。でも少しだけフランク・グリロが演じたマーク・コーリーの要素をローズの癖や態度に残そうと意識しました。なので今回の作品にも「スカイライン-奪還-」のレガシーを感じられると思います。
美術の側面では、この映画をより色鮮やかでポップなものにしたいと思っていたので、今回はネオンやサイケデリックな要素を多く取り入れました。「スカイライン-奪還-」では手持ち撮影用のカメラを多く用いて撮影していましたが、「スカイライン-逆襲-」はドリーを使用しての撮影を多くし、キャラクターにより一層感情移入できるようスローモーションや寄りの構図も増やしました。
■ありがとうございます! いよいよ『スカイライン』三部作が完結となります。今のお気持ちを教えてください。
リアム・オドネル監督:こうして10年にもわたりシリーズを3作品も続けられたこと、特にこのパンデミックの時期にこうして3作目を無事終えられたことをとても誇りに感じています。しかし、いろいろな意味で、今始まったばかりだ、という気もしていますよ!次の「スカイライン」作品はどうなるんだろうなんて思わせるような部分もありますし、私自身この物語を話し、作ることが大好きだと自分でも認めていますからね。私はたった6年前に自分で監督をはじめたばかりです。次の「スカイライン」なのか、それとも全く別の作品になるのか、それはわかりませんが、私はとにかく映画を作ることが心の底から大好きです。何があっても必ず次の作品と一緒に日本を訪れると約束しますし、できる限り大きなスクリーンで皆さんと一緒にその作品を見たいなと思っています。次の映画でまたお会いしましょう!
【あらすじ】15年前、地球に出現した宇宙船は、⻘い光を放出し⼤量の⼈間を吸い上げていった。彼らエイリアン〈ハーベスター=収穫者〉の⽬的は、⼈類を資源に使うこと。捕らわれた⼈々は、脳を⼈造⼈間〈パイロット〉に移植され奴隷として使われた。⻘い光の影響で特殊なDNAを持って⽣まれたローズは、⽗親代わりのマークらと抵抗軍を結成。10年後、リーダーに成⻑した彼⼥は、⻘い光のパワーの源コアドライブを積んだアルマダ艦を打ち破り〈ハーベスター〉は地球から姿を消した。
それから5年、戦いで⼼に傷を負い抵抗軍を離れていたローズは、コアドライブが敵の惑星コバルトワンに転送されていたことを知らされる。すでに〈ハーベスター〉は反撃の準備を整え、洗脳から逃れ地球で暮らす30億もの〈パイロット〉を再び操りはじめるという。残された時間は72時間。ローズは精鋭部隊や〈パイロット〉にされたマークの息⼦らとコバルトワンに向かった。謎の怪物たちの襲撃をかわしながらコアドライブを捜索する彼らの前に、〈ハーベスター〉のリーダーが現れる。いっぽう地球では〈パイロット〉の群れが⼈々を襲いはじめて…。
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