[山菜の栄養]ふきのとうやワラビなど種類によってこんなに違う
山菜は、山野で育った、食べられる野生植物のこと。独特の苦味や香りが特徴で、ポリフェノールなどの物質を含むといわれます。今回は、代表的な山菜の栄養と、おいしく食べる調理法を紹介します。
ふきのとうやワラビなど、山菜の栄養と食べ方
山菜の栄養成分は野菜と同じで、タンパク質や脂質はあまり含まれません。種類によって異なりますが、食物繊維のほかβ-カロテンやビタミンCなどのビタミン類やカリウムなどのミネラルを含むものもあります(以下、各山菜の栄養素量は、生、可食部100g当たり)。
●ふきのとう
ふきの花の、つぼみ状態の「花茎(かけい)」の部分。独特の苦みと香りがある。
●栄養の特徴
食物繊維6.4gとビタミンE(α-トコフェノール)3.2mg、ビタミンK92μg(マイクログラム)、葉酸160μgを多く含み、カリウム740mgを含む。
●おいしい食べ方
[下処理の仕方]
塩を加えた熱湯で茹で、ゆで汁を捨てたあと冷水にさらしてあくを抜く。
[調理法]
天ぷら、味噌汁、あえ物、煮物、ふきのとう味噌など。
あく抜きについて
ふきやふきのとうには、ピロリジジンアルカロイド類という天然毒が含まれているので、しっかりとあく抜きをして食べましょう。
ピロリジジンアルカロイドは水に溶けるため、記事で紹介している伝統的なあく抜きは、安全性を高める観点から有効と考えられています。
健康に有害な影響を及ぼさないと考えられる一日当たりの摂取量は、2022年1月時点では設定されていませんが、安全に美味しく食べるため、しっかりあく抜きし、大量に食べたり、食べ続けないようにしましょう。
詳細は下記をご確認ください(農林水産省ふき・ふきのとうに関するリンク)。
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/naturaltoxin/attach/pdf/pyrrolizidine_alkaloids-4.pdf
●ワラビ
日本全土に自生しており、春に出る若芽を食べます。地下茎から摂れるでんぷんはワラビ粉として和菓子の材料になります。
●栄養の特徴
ビタミンB2 1.09mg、葉酸130μgが豊富で、ビタミンE(α-トコフェノール)1.6mgや、食物繊維3.6gを含む。
●おいしい食べ方
[下処理の仕方]
重曹をふりかけて熱湯を注ぎ、落とし蓋をしてひと晩置く。冷水を替えながら水にさらしておく。
[調理法]
煮物、おひたし、あえ物、炒め物など。
memo
ワラビには、プタキロサイドという天然毒が含まれることが分かっており、調理する場合は丁寧なあく抜きが必要です。あく抜きをすることにより、そのほとんどが除かれるため、通常の食用頻度では問題ありません。
●うど
さわやかな香りとシャキシャキとした歯ざわりが特徴。穂先から茎、皮まで、ほとんど捨てずに食べられます。
●栄養の特徴
カリウム220mgなど。
●おいしい食べ方
[下処理の仕方]
皮をむいて切ったものを、酢水にさらす。
[調理法]
天ぷらやフライなどの揚げ物、酢味噌あえ、きんぴらなど。
●タラの芽
タラの木の若芽。こくがある味わいが特徴です。
●栄養の特徴
ビタミンE(α-トコフェノール)2.4mg、ビタミンK99μg、葉酸160μgを多く含み、食物繊維4.2g、カリウム460mg、ナイアシン2.5㎎などを含む。
●おいしい食べ方
[下処理の仕方]
根元の硬い部分を切り、はかまを取り除く。
[調理法]
おひたし、ごまあえ、マヨネーズあえ、天ぷらなど。
●つくし
スギナという植物の胞子茎。
●栄養の特徴
β-カロテン1,000μgを豊富に含む緑黄色野菜。また食物繊維8.1g、ビタミンE(α-トコフェノール)4.9mg、葉酸110μg、ビタミンC33㎎などが豊富で、カリウム640mgを含む。
●おいしい食べ方
[下処理の仕方]
はかまを取り除き、ひと晩水に浸したあと塩を加えた熱湯で茹でてから水にさらす。
[調理法]
炒り煮、卵とじ、炒め物、つくだ煮など。
●ゼンマイ
ワラビと並ぶ代表的な山菜のひとつ。春の若芽を食べる。
●栄養の特徴
葉酸210μgと多く、食物繊維3.8g、ビタミンK34μg、ビタミンC24mgを含む。
●おいしい食べ方
[下処理の仕方]
綿毛を取って、重曹を加えた熱湯に入れて置いておき、冷めたら水洗いする。
[調理法]
煮物、炊き込みご飯、おひたし、あえ物、汁の具など。
●ふき
葉と茎の部分を食べます。独特の香りと苦味に特徴があります。
●栄養の特徴
カリウム330mgなど。
●おいしい食べ方
[下処理の仕方]
葉と茎に分け、それぞれ熱湯で茹でてから、すぐに水にさらす。
[調理法]
つくだ煮、あえ物、煮物、天ぷら、きんぴらなど。
●こごみ
シダの仲間のクサソテツの若芽。あくが少なく、さっと茹でるだけでぬめりと食感を楽しめます。
●栄養の特徴
β-カロテン1,100μgを含む緑黄色野菜。ビタミンK120μg、葉酸150μgも多く、食物繊維5.2g、ビタミンE(α-トコフェノール)1.7mg、ビタミンC27mgなどを含む。
●おいしい食べ方
[下処理の仕方]
茎の硬いところは取り除き、少量の塩を入れたお湯でさっと茹でる。
[調理法]
おひたし、あえ物、炒め物、天ぷらなど。
memo
山菜は、ワラビやふきのとう、ふきのように天然毒を持つものもあります。植物がこうした天然毒を持つのは、一説には動物からの食害や病気の原因となる微生物の侵入を防ぐための自己防衛のためだという考え方もあります。
最後に
山菜の栄養や特徴を知って、料理に生かしてください。
最終更新:2022.12.10
文:アーク・コミュニケーションズ
イラスト:螢子
監修:カゴメ
参考文献:
『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』白鳥早奈英・板木利隆監修(高橋書店)
『改訂9版野菜と果物の品目ガイド』(農経新聞社)
出典:
文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」(野菜類)
農林水産省 aff(あふ)2010年5月号 特集2 食材まるかじり いきいき山菜賛歌!(1)(山菜の種類と特徴)
独立行政法人農畜産業振興機構 月報 野菜情報「山菜のすすめ」(山菜の栄養)
J-STAGE「有毒な山野草」(植物が毒をもつ理由)
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