役所広司×仲野太賀、2人の交流が社会の光と闇をあぶり出す… 西川美和監督『すばらしき世界』2月11日公開
(c)佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会
西川美和監督の最新作『すばらしき世界』が2021年2月11日に公開される。
まだまだ2021年の前半も前半ながら、この丑年に公開される映画の中で最も心に突き刺さる問題作だと断言できる程のパワーを感じさせる内容となっているオススメ映画だ。
『復讐するは我にあり』で直木賞を受賞した佐木隆三の小説『身分帳』を原案とした本作は、人生の大半を獄中で暮らした実在の男性をモデルに、出所後に戻った社会の中で必死に生きる元殺人犯の姿を描いていく。
13年の刑期を終えて出所した役所広司演じる元殺人犯・三上正夫を、仲野太賀演じる若手テレビディレクター・津乃田役が密着取材していく…その流れを軸とする物語の中で、社会の様々な理不尽さと寛容さ、人が持つ優しさや温かさ、そして冷酷さがあぶり出されていく。
次々に襲ってくる様々な壁にぶつかりながら、時に狂気を爆発させながらも懸命にもがき生きる主人公のまっすぐさは、彼と触れ合う多くの登場人物たちの心を動かし、その人生に巻き込まれていくのだが、最も心を動かされるのはきっと、この作品を見終わった時のあなただろう。
これまで一貫してオリジナル作品にこだわり続けた西川美和監督が初めて実在の人物をモデルとし、緻密な取材を経て、舞台を約35年後の現代に置き換えて作り上げた所も見どころのひとつだが、一度レールを外れてしまった人間に待ち受ける様々な“障害=生きづらさ”を、圧倒的な存在感で見事に演じきった役所広司の鬼気迫る様子は必見。
その強烈な存在感で2020年度第56回シカゴ国際映画祭にて【観客賞】【最優秀演技賞】2冠の快挙を達成している。
そして役所に全く負けず劣らずの姿で見事に立ち振る舞った仲野太賀こそ、この映画のMVPかもしれない。今後の日本映画界を確実に支えていくであろうポテンシャルを見せつけているのだ。
そんな『すばらしき世界』は2021年2月11日(木・祝)より全国公開。
見た人それぞれの『すばらしき世界』の場所をきっと教えてくれる、羅針盤の様なこの作品、是非劇場でご覧になっていただきたい。
(c)佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会
作品タイトル:すばらしき世界
公開日:2021年2月11日(木・祝)全国公開
配給:ワーナー・ブラザース映画
出演:役所広司
仲野太賀 六角精児 北村有起哉 白竜 キムラ緑子
長澤まさみ 安田成美 /梶芽衣子 橋爪功
●ストーリー
下町の片隅で暮らす短気ですぐカッとなる三上は、強面の見た目に反して、優しくて真っ直ぐすぎる性格の男。しかし彼は、人生の大半を刑務所で暮らした元殺人犯だった――。
一度社会のレールを外れるも何とか再生したいと悪戦苦闘する三上に、若手テレビマンがすり寄り、ネタにしようと目論むが…。三上の過去と今を追ううちに、逆に思いもよらないものを目撃していく――。
(c)佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会
●公式サイト
https://wwws.warnerbros.co.jp/subarashikisekai/
●映画『すばらしき世界』本予告
●映画『すばらしき世界』15秒CM(問題作編)
●映画『すばらしき世界』15秒CM(ドラマ編)
文:増田崇志
テレビリサーチャーで、生粋のテレビウォッチャーでありながら、映画やラジオもチェックしまくるエンタメ大好き人間。
大学卒業後、主にテレビ番組を手掛ける映像制作プロダクション勤務を経てリサーチャーへ。
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