「シンプルにダサい」「どこに炎上要素があるかわからない」 レッドブル『くたばれ、正論』広告に賛否両論渦巻く

レッドブル・ジャパンは、2021年2月1日から主力となる『レッドブル・エナジードリンク』『レッドブル・シュガーフリー』(250ml)を現行の241円から190円(税別)に下げるなどの価格改定を発表。成人式に合わせて読売新聞全国版朝刊に「くたばれ、正論」と題した広告を掲載して、賛否両論を巻き起こしました。

クリエイティブディレクターの辻愛沙子氏(@ai_1124at_)や評論家の勝部元気氏(@KTB_genki)は次のように批判。

よくもこんなコピーを世の中に発信できたなと目を疑った。
同じ広告クリエイティブの仕事を担う者として、正直怒りで手が震えた。

“面白い”と感じた誰かの身勝手な本能とやらによって、美しくある余裕も持てず、まっすぐになることもできず、踏みつけられ翼を折られた人たちが沢山いるというのに。

この世の中は、「正しさ」が行き過ぎているどころか、それが足りないせいで力ある者の身勝手な衝動・バカ・本能を抑えられず、苦しみ悩まされている人たちがたくさんいるというのに。
翼をさずけなければならない人たちの翼をへし折る人たちに翼をさずけるような最低な広告だと思いました。

ほかにも「不愉快」「シンプルにダサい」という声が上がっていたほか、創業者のディートリヒ・マテシッツ氏がEUの移民政策に批判的で、左派の政治家・活動家にしばしば辛辣な発言をしていることから、「DHC会長みたいな人間」という意見もありました。

一方で、ネット論客として知られる青識亜論氏(@BlauerSeelowe)は、次のようにツイート。

これのどこに炎上要素があるんだろう……まったくわからない。世の中のいわゆる空気的なものから自己の個性を守れって主張、左派リベラルの皆さんが大変好んだもののような気がするんですが。

また、「何に関して正論だという話は全くしてない」「正論ばかり気にせずエナジードリンク飲もうぜ、ということでは?」といった反応が上がっています。また、同社がサッカーやF1のほか、エクストリームスポーツなどのサポートに注力していることから、「わからないでもない」という意見も寄せられていました。

レッドブル広報に問い合わせたところ、「具体的なお答えができかねます」とコメントは避けましたが、広告出稿の意図に関して「新成人たちに向けて、自分たちの信じる道を歩み、新しい社会を作ってほしいという思いを込めている」としており、同社が2021年1月11日に開催したオンラインイベント『Red Bull 成人祭』では、次のように趣旨を説明しています。

世の中の常識にとらわれない自分らしい道の歩き方の”答え”を探る
普通の成人式のように、「大人はこうあるべき」という押し付けはしない。
それぞれが、世の中の常識や正しさに流されることなく、多様な自分らしさを生き抜くこと。それぞれの生き方を賞賛し、それぞれの生き方に全力を注ぐ成人と新成人から学ぶ。

批判と擁護が飛び交ったレッドブルの広告。議論を生んだという時点で、広告コミュニケーションとしては成功していると捉えることもできるのではないでしょうか。

※画像はTwitterより
https://twitter.com/redbulljapan [リンク]

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ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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